住宅展示場の経済学とアンパンマン

9月8日
欧米的には、乳幼児の通過儀礼は「きかんしゃトーマス」らしい。きかんしゃトーマスが攻めきれないのが日本の乳幼児市場 / “なぜ必ずと言っていいほど乳幼児はアンパンマンを好きになり、突然卒業するのか? - Togetterまとめ” http://htn.to/VtxBUhj

住宅業界にいれば、アンパンマンの有り難さはよーく判るハズ。住宅展示場のセンターハウス主催のイベントの鉄板

前にもツイートしたが、アンパンマンのライセンス取得に成功したハウスメーカーがいたら、かなりなアドバンテージになってしまう。丁度アンパンマンな乳幼児を抱えるファミリーが、ハウスメーカーのメーンターゲット

住宅展示場の経済学/住宅展示場を企画する会社(サンフジ企画とかライダースパブリシティーとか)は、展示場適地が見つかれば、まず積水ハウスに「お伺い」を立てる。積水ハウスが参加しなければ、企画はお流れになる

住宅展示場の経済学/一般的には「区画数が大きい展示場の方が、メーカー側から見ても、優良な展示場」とされる。横浜平沼橋展示場とか、ABC立川展示場とか、千里展示場とかが、優良とされる「巨大展示場」

住宅展示場の経済学/区画数自体は多くても、空き区画が多い展示場は、「歯抜け感」がしてしまって、連担性がなくて賑わいを感じられないからダメ展示場となる。

住宅展示場の経済学/つまり、出展する側からすれば、「1区画を除いて、全て埋まっている」的な、人気展示場に出展できるとベスト/というか、満区画状態の展示場に、たまたま退店が出て、そこに入り込むのがベスト

住宅展示場の経済学/展示場の中でも、「いい区画」と「ダメな区画」がある。駐車場の近くは「いい区画」だし、奥は「ダメな区画」/いい区画は積水ハウスが先に押さえる、という都市伝説もある

住宅展示場の経済学/積水ハウスクラスだと、大規模展示場には複数のモデルハウスを建てている。鉄骨系と在来木造シャーウッドの2つとか/最近、一条工務店も複数モデルハウス出展してる、、

住宅展示場の経済学/区画が満杯な場合、その展示場の隣の土地を借りて、単独展示場を建てているハウスメーカーもいる(中小メーカーに多い)/展示場来場者から見たら、別に「展示場の、敷地内のメーカーか、敷地外のメーカーか」なんて気にしないから、敷地外展示場も訪れる

住宅展示場の経済学/そこの展示場ハウスメーカースタッフの「質」を見極めたいのかなら、大雪の翌日に行けばいい/教育されたハウスメーカーであれば、キチンと展示場回りを除雪している。お客様にケガをさせない/ダメなハウスメーカーは除雪しない

住宅展示場の経済学/戦前にも、東京朝日新聞が「成城住宅展」というイベントやってたらしい。これが住宅展示場の元祖だが、暫く歴史から途絶えた/現在の住宅展示場の流れは、大阪朝日放送積水ハウスと組んで始めた大阪の住宅展示場から。これが大成功して、全国に広まった

住宅展示場が全国に普及する前は、「御三家」と言われる在来注文住宅請負会社(メーカーとは呼べない)がシェア持ってた。殖産住宅、日本電建、太平住宅/御三家は住宅展示場への出展が遅れてしまって、衰退消滅してしまった

ハッキリ言えば、積水ハウスがシェア日本一になったのは、「住宅展示場」というイノベーションを発明したから。そもそも住宅参入は、積水ハウスは後発だった(プレハブ住宅そのものを発明したのは大和ハウス)

当時は東芝とかヤクルトとかもプレハブに参入してたんだよね/そういう後発参入組の中で、積水ハウスが頭抜けられたのは、「住宅展示場」という仕組みを編み出したから。結果として先発の大和ハウスを追い越した

因みに東芝は、プレハブ参入時に、大和ハウスから大量に社員を引き抜いた。以降、東芝大和ハウスは20年以上冷戦状態となった

元の話はアンパンマンだったよな。いつの間にか住宅展示場の経済学と歴史の話になった/住宅展示場の経済学と歴史って、まとめて語る人が皆無だから、いつか語りたいと思ってた。アンパンマンをきっかけに語ることが出来た

9月11日
先日「アンパンマンは乳幼児界最強」なはてブがあったが、ブコメのなかに「自分の子は、乳幼児検診時にアンパンマンに興味示さなかったから、発達遅れ扱いされた。あのショックは忘れない」というブコメがあった/保健所の発達遅れ検診、実は「相当、いい加減で、誤診も多い」/誤診の弊害は重大

というか、「アンパンマンに興味を示さない乳幼児は、知恵遅れ」という安直な、エビデンス皆無な診断法って、どうよ?/乳幼児の発達障害検診って、「誤診」があっても、親が対抗できない点が、一番始末に負えない。しかも診断するのは医者でも有資格者でも、なんでもない

これ前にも書いたが、こういう「発達障害診断の現場」って、絶対「摘発ノルマ」があると思う。「今月は発達障害認定された乳幼児がゼロのママで、ヤバイ。診断規準を思いっきり緩くして、なんとか月末までに、最低一人だけでも発達障害認定してやろう」な感じ

たまたま「摘発ノルマ未達で、ヤバイ」状況でやって来た乳幼児が、応対したら、なんだかアンパンマンに興味示さなかった。そりゃ、「飛んで火に入る夏の虫」で、「赤ちゃんなのにアンパンマンに興味示さないのはオカシイですよ、他の赤ちゃんは全て興味示しますよ」と説教して、発達障害認定する

まあ逆の誤診もあるんだろうな。「今月は発達障害認定の赤ちゃんが5人も出てしまった。これ以上増やしてしまっても、支援センターのキャパがたりなくなっちゃうから、今月はこれで「打ち止め」にしてしまおう」で、発達障害の症状が強い赤ちゃんがこの後来ても、「あえて、認定しなく」なっちゃったり