榊淳司「2025年東京不動産大暴落」

7月17日
さかーきーの文庫本を読む/さかーきーが「不動産が暴落する」の論拠の一つが「黒田総裁は再任されない。金融業界の評判悪いから」の見立て/オッキーは「安倍首相は9年間総裁を務め、アベノミクスも黒田総裁も暫く続くから、不動産は下がらない」と逆の見立て/つまり不動産価格は黒田総裁の再任次第

さかーきーによると「国交省コンパクトシティ政策は、10年経って全て失敗していた」とのこと。中心市街地活性化基本計画の目標値を達成したのが44計画中で0だった/ただ、コンパクトシティそのものの考え方が間違っていたとは思えないのだが。各地方都市で中心部のタワマンはそこそこ売れている

コンパクトシティ計画に、最初からデベロッパーをバンバン関与させておくのが良かったのかも。三井に関与させて、中心部にららぽーと&タワマンを作っておけば、中心部の「空洞化」は防げた/但し、商店関係者の利権は失われる

そういえば、地方都市中心部活性化目的の「ららぽーと」って、見かけないな。大体が3セクだったりする

中心部活性化の大型SCと言えば、イオンモール岡山なんかが該当するのかも/おしいのは、タワマンとの複合開発までは行ってないこと

さかーきー本に戻ると「公示地価に騙されるな!あれは役人天下り目的の遺物の制度だ!」とのこと/それこそ、公共の土地鑑定に「不動産AI査定」が使えないのか?

イオンモールとかららぽーととかは、大規模駐車場の存在を前提にしてるから、コンパクトシティとして中心部に埋め込むには、まとまった土地(工場跡地とか)が無いと難しいんだろうな。再開発スタイルは首都圏以外だと採算取れない

ソニー不動産は、ご自慢の不動産AI査定システムを、国交省に売り込んで、「公示地価の代わりになりますよ!」とアピールすればいいのに

さかーきー曰く、「公示地価は、つまり国交省希望価格であり、実勢地価が下落していても、国交省希望価格には実勢価格の下落をあまり織り込まないようにする」ことで「地方の地価下落を抑える役割を果たしてる」とのこと

昔鑑定の仕事を少し手伝っていたが、確かに鑑定価格の決め方は「感覚論」な面はある。感覚で(恣意で)2〜3%は価格を変えれる/今の地方みたいに、殆ど地価が動かないエリアなら、鑑定担当者次第で「1%上昇」になることもあれば「1%下落」になることもある訳だ

暴論だが、不動産移転登記に売買価格の登録を義務づけるような法改正がなされて、取引価格データを第三者が閲覧できるようになれば、鑑定制度も公示地価も不要になるのかも

遠くない将来に、AIが路線価とか固定資産税評価額を決める未来は到来するだろうが、果たして納税側は、「AIが定めた路線価を大人しく受け入れて相続税を支払う」のか?/多分、「このAIの査定はオカシイ!もっと評価額は安いハズだ!」というクレーマーが出てくるんだろうな

そう考えると、実際の値付け作業はAIにさせるとしても、一応は「人間の鑑定士が、土地の評価をしました」という体裁は守り続けるんだろうな

さかーきー曰く、「500万円で買える中古マンション」のラインが、2010頃だと千葉市だったのが、今は船橋市まで「接近してる」らしい/ストックは経年化するし、ストックのボリュームは蓄積するから、まあそうなるわな

逆に言えば、新築価格とのアービトラージ(裁定)によるマネタイズの余地は広がってるということか。リノベ分譲とか

「500万円で買える中古マンション」がどんどん都心に寄っていってるのなら、逆に言えば東京一極集中は更に加速するだろうな。

さかーきーは「35年ローンは止めるべきだ!これは地価が右肩上がりな時代の遺物だ!」と力説/「会社が潰れたりリストラされるリスクもある。その際に暴落していたら売れなくなる」とのことだが、「賃貸に回す」という発想は、無いのか?

日本の場合、単身向けの狭い賃貸は大量供給されるから「借り手がつかないリスク」が高い/が、ファミリー向け賃貸はあまり供給されないから、賃貸に回せばそれなりの賃料が取れる/リストラされてローン返済が厳しくなっても、持ちマンションを賃貸に回して自身は安アパートに転居すればローンは返せる

ただ、人に貸す場合に「徒歩10分以内か、否か」はかなり大きなポイントになってくる。おさーむーが言うには「徒歩7分以内か、否か」らしいが

さかーきーは「クレヨンしんちゃんの家は、売れるか?」を議論してる。春日部駅から徒歩7分以内かどうかがポイントだろうな/移住住み替え支援機構の大垣代表によれば、ファミリータイプの場合、「売るより貸す方が経済的メリットは大きい」らしい

さかーきーは「レインズを一般消費者に開放すれば、不動産価格の透明化が図れる」と説く/大意では賛成だが、レインズも100%じゃないからね。仲介業者を介さない不動産取引(デベによる直接用地買収)などはレインズ登録されないでしょ?

そういう「不動産仲介を介さない不動産取引」まで把握して、不動産取引価格のビッグデータ解析を社会的に行いたいのなら、やはり移転登記に売買価格情報の登録を義務づけるのが、一番となる

単身向け賃貸経営が「有利」だったのは、昔は大学生のような「若い」入居者が大半だったから、入居入替りによる敷金礼金収入が多かった、というのもあるんだろうな/今後、高齢単身者が「死ぬまで」入居するようになると、その辺の回転率が落ちて、敷金礼金収入も減るんだろうか

さかーきーや、おさーむーのような「不動産ペシミスト」は、いづれも東京の人口を「日本人だけで」規定しちゃってる点が欠点/実際には、無視できない数の外国人流入が、都内の人口を下支えしている

あと、さかーきーの本も、おさーむーの本も、「不動産は下がる」と書いてるが、どのセグメントの不動産なのか明示してない。マンションと戸建(建売)とで、下がりやすさに違いが出てくる/変な話だが、マンションの方が「ハンドリングがしやすい、スペックが可視化されてる」から「下がりにくい」

現在、23区内とかで「オープンハウスな一戸建ての方が、マンションよりも価格が安い」という逆転現象を示してるのは、つまり10年後20年後の「マンションの方が価格下がりにくい」という特性を織り込んだ価格設定がなされてるから、とも言える

マンションの場合、物件のブランド性なんてのも加味されたりする訳でして、「その地域に一つしかない」という希少マンションだと、経済合理性を超えた価格を将来も維持されたりする。プライド立川なんかはその典型

ごめん、変換うまくいかなかった。プライド立川じゃなくてプラウド立川