認定こども園論争

論争の元となる「なんでも掲示板」の投稿を、ここにまとめておきました。

要約すると、小生が
認定こども園で従来は学校法人会計基準と社会福祉法人会計基準の双方の作成を求められていたのは、
 縦割り行政の弊害だ」と投稿したのに対して、行政に詳しいお二人(うちお一人は現役キャリア官僚)が
「縦割りの弊害ではない」と反論されています。



1)もろもろ 投稿者:スルッとKANTO 投稿日:2010年 1月27日(水)19時31分13秒 返信・引用
  あじあ号様が、
  「縦割り行政、縦割り行政、と良く批判されるが、それって具体例を示してくれないと
   批判になっていない」とおっしゃっている。

  以前「認定こども園厚労省文科省の縦割りのためになかなか普及しない」と
  書いたような記憶もあるが、その当時は「縦割りの具体例」を示せなかった。

  で、先日日経に載っていた記事は、「なるほど、縦割りの具体例とはこういうことか」と
  思ってしまった。
  認定こども園がその調子なら、他の縦割り案件も、似たようなレベルの問題を抱えている、と
  邪推しているのだが、いかが?

  ※認定こども園の縦割りの具体例(を示す日経記事)
  ・・・認定こども園は「学校法人会計基準」と「社会福祉法人会計基準」の
  2種類の会計帳簿を作成する必要があり、事務負担が膨大になっていたので、
  これを「どちらか一方を作成すればいい」ように改正する予定、とのこと。

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2)Re:認定こども園の縦割りの具体例(を示す日経記事) 投稿者:時を娶ろ 投稿日:2010年 1月29日(金)02時39分49秒 返信・引用
  > ・・・認定こども園は「学校法人会計基準」と「社会福祉法人会計基準」の
  > 2種類の会計帳簿を作成する必要があり、事務負担が膨大になっていたので、
  > これを「どちらか一方を作成すればいい」ように改正する予定、とのこと。

  これはすなわち、
  学校法人が設置した幼稚園と社会福祉法人が設置した保育所とから
  構成される認定こども園についての話か?
  あるいは、
  認定こども園を構成する幼稚園と保育所とが両方とも同一の学校法人もしくは
  同一の社会福祉法人によって設置された場合における認定こども園についての話か?

  学校法人と社会福祉法人とが並列して存在するなら、それぞれの会計基準に 
  のっとった書類を作成しなければならないのはごくごく自然なことで、それを縦割りと呼ぶにはあたらない。

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3)Re: 認定こども園の縦割りの具体例(を示す日経記事) 投稿者:あじあ号 投稿日:2010年 1月30日(土)18時28分21秒 返信・引用
認定こども園がその調子なら、他の縦割り案件も、似たようなレベルの問題を抱えている、と邪推しているのだが、いかが?
  ※認定こども園の縦割りの具体例(を示す日経記事)
  ・・・認定こども園は「学校法人会計基準」と「社会福祉法人会計基準」の
  2種類の会計帳簿を作成する必要があり、事務負担が膨大になっていたので、
  これを「どちらか一方を作成すればいい」ように改正する予定、とのこと。
  ・・・
  時を娶ろさん御掲示ありがとうございます。
  私も同様の疑問を持ちます。

  これは、新聞記事の正確な全文なのですか?主語がないので、不明確ですね。

  時を娶ろさんの疑問の言い換えでしょうが、例えば、学校法人が作った
  幼稚園を母体に認定こども園を作るときも、従来は「社会福祉法人会計
  基準」による会計帳簿を作る必要があったのですか?
  今、知人の大学の教育学の先生に聞いていますが、そちらでも調べてはどうか?
  日経に書いているから正しいというので間違ったことがあるでしょう。
  http://www.youho.go.jp/index.html

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4)このページがいい 投稿者:スルッとKANTO 投稿日:2010年 1月31日(日)00時33分43秒 返信・引用
http://www.kumazawa-tax.com/gallery/gallery-134-4683.html

  さて、新年第1回目の熊澤会計ウイークリーは「認定こども園」についてお話させて頂きます。
  「認定こども園」を御存知でしょうか?

  幼稚園と保育園の機能を併せ持った第3の施設で
  ?幼保連携型:許可幼稚園と許可保育園が連携して一体的に運営
  ?幼稚園型:許可幼稚園に保育所的な機能を付加
  ?保育所型:許可保育園で共働き以外の子供も受け入れ幼稚園的な機能を付加
  ?地域裁量型:幼稚園、保育所いずれの許可もない教育・保育施設
  上記の4タイプの施設が存在します。

  認定こども園は就学前の教育・保育のニーズに対応する新たな選択肢で、
  「保護者が働いている・いないにかかわらず利用可能」、
  「集団活動・異年齢交流に大切な子ども集団を保ち、すこやかな育ちを支援」、
  「少子化及び就労している母親の増加により入園者が減少する幼稚園を想定し、
  その施設を有効活用することにより待機児童を解消する」、
  「充実した地域子育て支援事業で、子育て家庭を支援」することを趣旨・背景とし、
  平成18年10月から「就学前の子供に関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」
  が施行され、認定こども園制度が始まりました。

  保護者の視点で考えると新たな選択肢が増えて素晴らしい制度と思えますが、
  法律施行後2年半の平成21年4月1日現在に於ける「こども園」の認定件数は全国で
  たったの358件となっています。

  理想的な制度の「こども園」の設置数が増加しない理由は様々な問題があるといわれています。
  開設時の申請書類が膨大で手続きが大変、会計処理が煩雑、保育園部門の保護者と
  園との直接契約の問題、行政からの補助制度の問題、教職員の資格・配置の問題、
  給食・お弁当の問題等、改善すべきことが数多くあるのが現状のようです。

  その中でも会計処理を実務で経験してみると、かなり面倒だと実感いたしました。
  まず、学校法人会計基準と社会福祉法人会計基準の二重会計の問題です。

  例えば、学校法人が運営する「こども園」(幼稚園型)については
  幼稚園部門・保育園部門を学校法人会計基準で会計処理を行い全体としての財務諸表を
  作成しなければなりません。さらに保育園部門を社会福祉会計基準で会計処理を行い財務諸表を作成します。

  固定資産計上基準・減価償却資産の耐用年数等、両会計基準では様々な相違点がありますが、
  会計処理を行う者が学校法人会計基準と社会福祉法人会計基準の両方の知識を
  持っていなければなりません。

  また、1つの支出に関して園の配布基準等により幼稚園部門と保育園部門に
  区分しなければならず、1つの支出が同じ会計基準を適用しているのに、
  教育と保育との根本的な考えの違いから科目が違う現象が起きてしまい矛盾を感じております。

  例えば前述の通り、幼稚園型の施設では学校法人会計基準での会計処理となりますが、
  下記のような支出があった場合、施設全体の会計処理は次の通りとなります。

  ブランコ・・・300,000円
  園児数による配布割合
  幼稚園50%・・・150,000円 科目名:教育研究用機器備品(固定資産計上)
  保育園50%・・・150,000円 科目名:その他の機器備品 (固定資産計上)

  同じ固定資産でも保育園部門に関しては教育という概念が無いため、このような矛盾が発生して
  きます。

  今後の認定こども園制度の会計処理については、
  「学校法人が保育所を運営又は社会福祉法人が幼稚園を運営する場合においても、
  それぞれの法人会計基準に基づく会計処理で対応を可能とすべく検討」することとされ、
  平成21年度中に結論を得ることとなっていて、文部科学省も学校法人会計基準の改正を予定とあります。

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5)Re:このページがいい 投稿者:時を娶ろ 投稿日:2010年 1月31日(日)02時11分55秒 返信・引用
> 幼稚園と保育園の機能を併せ持った第3の施設で

  残念ながら『第3』の施設ではない。
  学校教育法にいう幼稚園の制度と
  児童福祉法にいう保育所の制度をそれぞれ残しつつ
  その両者を総合的に提供するものとして知事の認定を受けた施設に対して
  『認定こども園』という名称を付与したに過ぎない。

  学校教育法にいう幼稚園でもなく
  児童福祉法にいう保育所でもない
  まったく新たな、それこそ『第3』の仕組みであるにもかかわらず
  その中の幼稚園的な部分に対して幼稚園法令を適用し
  保育所的な部分に対して保育所法令を適用しているというのならば
  『縦割り』と言ってもよかろう。
  しかし、既存の制度を残し、その両者にまたがって
  共通の統一した名前である『認定こども園』というシャッポを載せたに過ぎない。

  モンカ本舗が製作した『ヨーチエン』シチューと
  コウロウ堂が製作した『ホイクショ』スープとを
  一つのギフトセットに詰め合わせて販売し、
  その商品を『コドモエン』と名づけたようなものだ。
  同一のギフトセットに詰め合わせられていたとしても
  シチューにはシチューの調理法があるし、
  スープにはスープの調理法がある。
  それを『縦割り』とは呼ばない。

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6)邪推です 投稿者:あじあ号 投稿日:2010年 1月31日(日)10時35分1秒 返信・引用
認定こども園がその調子なら、他の縦割り案件も、似たようなレベルの問題を抱えている、と邪推している
  認定こども園については、時を娶ろさんがお詳しいので、お任せしますが
  (大学教育学教官も同旨としていました)、それは別として、これは邪推です。
  縦割りを理由とされる課題について、原因が縦割りかどうかはいちいち見ていかないといけません。
  そういえば、NHKはこんにゃくぜりーに政府が対応しないことを縦割りを原因として、
  消費者庁ができれば対応できるようなことを報じていましたが、対応してますか?
  してないのなら、それは縦割りが原因ではなかったということでは?

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7)(無題) 投稿者:スルッとKANTO 投稿日:2010年 2月 1日(月)08時32分12秒 返信・引用
>学校教育法にいう幼稚園の制度と
  >児童福祉法にいう保育所の制度をそれぞれ残しつつ
  >その両者を総合的に提供するものとして知事の認定を受けた施設に対して
  >『認定こども園』という名称を付与したに過ぎない。

  なんか観点が行政的な気がします。

  利用者の立場から言えば、根拠法が学校教育法なのか児童福祉法なのかは
  「どうでもいい話」であり、
  「教育にもなって預けられる施設」であれば、
  根拠法は学校教育法でも児童福祉法でも第三の法律でも、
  なんだっていいのです。

  それを、行政側の都合で、学校教育法・児童福祉法に「割り振られた」訳でして、
  利用者側から「割り振ってください」とお願いした訳ではない。

  結果論としては、「第三の仕組み」を作ってくれた方がよかったのでは?と思います。

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8)もうこの件は関心ないかな 投稿者:時を娶ろ 投稿日:2010年 2月 1日(月)21時06分1秒 返信・引用
> なんか観点が行政的な気がします。

  『就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律』のつくり、制度だてがそうなっている。
  つまり、既存の幼稚園制度・保育所制度を土台にして、その上に乗っかった形になっている。

  > 「教育にもなって預けられる施設」であれば、
  > 根拠法は学校教育法でも児童福祉法でも第三の法律でも、
  > なんだっていいのです。

  だったら、幼稚園そのものに子どもを通わせればよい。
  あるいは、保育所そのものに子どもを通わせればよい。
  制度が熟していない認定こども園にそんなにこだわる必要はない。

  幼稚園だと4時間しか子どもを見てくれないということはない。
  幼稚園の大半は今では「預かり保育」を実施している。
  以前はいわゆる予算事業だったが、先年の教育基本法改正に伴う関連法改正の中で
  学校教育法に根拠が規定され、幼稚園教育要領(義務教育の学習指導要領にあたるもの)も
  改正されて、その中で「教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動」という表現で
  ガイドラインが示された。

  保育所のほうも教育的なことをしてくれないということはない。保育所保育指針が改正されるたびに
  三歳児以上の教育内容は幼稚園教育要領に酷似させてきている。

  つまり両者は接近してきているのだ。児童福祉法に言うところの「保育に欠ける」子どもは保育所
  通わせればよいし、そうでない子どもは幼稚園に通わせればよい。