医療ブレーク36・首都圏の性比の歪みについての仮説

医療ブレーク36・首都圏の性比の歪みについての仮説
(なんでも掲示板 06年11月 投稿済)

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この辺はcornucopia様がご専門? 投稿者:スルッとKANTO 投稿日:11月 7日(火)08時13分31秒


http://ka-i-go.jugem.jp/?eid=1535
元は読売の科学記事
(たしかにまる様がおっしゃるように、読売の科学はスマッシュヒットが多い)

>新生児に占める男児の比率が1970年代以降低下傾向が続き、
>特に、首都圏で減少の目立つことが、順天堂大学医学部の丸井英二教授らの
>分析で明らかになった。
>環境悪化による可能性もあり、詳しい原因の究明が急がれる。

>日本全国での出生男児の減少傾向は以前から指摘されているが、丸井教授らは、
>1899年から2004年まで106年間分の厚生労働省の人口動態統計を使い、
都道府県別の推移を詳しく調べたという。

>全国では、1971年に男児が女児の1・071倍だったが、2004年は
>1・052倍に低下したのだそうだ。

都道府県別でみると、70年代以降に男児割合が明らかに低下したのは
>北海道、山形、埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪で、半分以上が首都圏に集中していた。
>しかし一方、青森や秋田、宮崎、鹿児島など上昇した県もあった。

>東京は70年が1・076倍で、記録上、最も男児が多かったが、
>2004年には1・048倍に低下し、大阪は1971年の1・077倍から
>2004年に1・046倍に落ちている。

男児減少の原因は分かっていない。
>70年代にイタリアで起きたダイオキシン汚染事故や、水俣病が発生した当時の
熊本県水俣市など、極端な環境汚染があった時に男児が減った事例は知られているが、
>いずれも一時的な現象だった。
>海外でも男児減少の傾向が確認されており、米国では出生性比が1・055倍(70年)
>から1・048倍(02年)に下がっている。

>丸井教授は「首都圏は流入人口も多く、単純には地域の環境悪化と結びつけられないが、
>全国的に男児の死産も急増し続けている。原因の究明が必要だ」と話している。

仮説その1)首都圏において高齢出産が急増している。
      高齢出産の場合、男児の死産率が上がるために、
      結果として首都圏の男児出産比率が減少している。

仮説その2)出生前胎児診断により、遺伝病を避けた人工受精が首都圏を中心に、
      厚生労働省の認識を超えて普及している。
      ダウン症等は男児に多発するため、遺伝病を回避する人工受精が多発した場合、
      結果として男児比率は下がる。

仮説その3)もっとストレートに、「産み分け」がなされた。
      (希望以外の性の胎児を流産させる中国式産み分け(というか間引き)ではなく、
       最初から希望する性の胎児を産める様、体質やタイミング?を工夫する)

      中国の場合は「男児希望」が多くて、性比のアンバランスが社会問題化しているが、
      成熟社会の日本では、
      ★育てやすい
      ★母親が友達感覚でいられる
      ★介護も期待できる
      という「女児希望」の方が多くて、特に首都圏でその傾向が強い。



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死産性比 投稿者:cornucopia 投稿日:11月 7日(火)21時55分25秒


 記事の間違いの訂正から。

> 全国では、1971年に男児が女児の1・071倍だったが、2004年は
> 1・052倍に低下したのだそうだ。

統計表1 出生数・出生率(人口千対)・合計特殊出生率・出生性比の年次推移
 −明治32〜平成16年−
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo05/syussyo6.html
「1971年に男児が女児の1・071倍」は1970年。

 明治後半、大正、第二次世界大戦までは、男児の出生性比が低い年が多かった。
おそらく母親の栄養・衛生状態が悪かったのだろう。1960年代後半が男児
出生性比が高かった。その後は元に戻り、若干少なめに推移しているようです。

> 全国的に男児の死産も急増し続けている。

 男児の死産数は急増していません。減少しています。上昇しているのは「死産性比」。
死産性比=(年間の男子死産数/年間の女子死産数)×100

http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2003/toukeihyou/0004652/t0098814/ME010_002.html
1970年の男子死産数は63,684件。2005年の男子死産数は13,979件。
上の表のとおり毎年減り続けています。

人口動態総覧の年次推移
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii05/soran2-1.html
「死産数」自体は、出生数の減少以上に急激な減少傾向が続いています。
昭和45年(1970年)出生数1,934,239 死産数135,095(男63,684 女48,166 不詳23,245)
平成17年(2005年)出生数1,062,530 死産数 31,818(男13,979  女6,104 不詳11,735)

 産婦人科・周産期医療の進歩によって死産数が減ってきたが、死産数減少の進行に
従って、助かる比率は女の子のほうが多くなったといえます。



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現代生物学的疑問 投稿者:まる 投稿日:11月 7日(火)22時07分29秒


>>明治後半、大正、第二次世界大戦までは、男児の出生性比が低い年が多かった。
>>おそらく母親の栄養・衛生状態が悪かったのだろう。

私のつたない生物の知識によりますと、子供の性別は父親から受け継いだY染色体
有無によって決まるものと思われます。ですので、受精の時点における性別の決定は
父親のみに依存するのではと・・・。

母親の栄養・衛生状態が子供の性別の決定に影響を及ぼすことはあるのでしょうか?
卵子Y染色体を持たない精子を選んで受精するなんてことはないですよね。



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性比と丙午 投稿者:cornucopia 投稿日:11月 7日(火)22時52分41秒


>>明治後半、大正、第二次世界大戦までは、男児の出生性比が低い年が多かった。
>>おそらく母親の栄養・衛生状態が悪かったのだろう。

> 子供の性別は父親から受け継いだY染色体の有無によって決まるものと思われます。
>ですので、受精の時点における性別の決定は父親のみに依存するのではと・・・。

 それはその通りです。

死産数,自然−人工・性・妊娠期間(早期−正期−過期)
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2005/toukeihyou/0005543/t0121491/E050002_001.html
 今でも、流産、死産は男(XY)のほうが女(XX)よりも圧倒的に多いです。
昔、男児の出生性比が低かったということは、男の胎児のほうが生物学的に
相対的に脆弱というか、ダメージを受けやすく死にやすいためだったのでは
ないでしょうか(という意味で書きました)。

それから少し脱線しますが、
統計表1 出生数・出生率(人口千対)・合計特殊出生率・出生性比の年次推移
 −明治32〜平成16年−
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo05/syussyo6.html
 明治39年(1906年)の出生数が減少し、男の出生性比が飛び抜けて
高くなっています。次の昭和41年(1966年)も明治39年ほどではないものの、
同じ傾向が見られます。60年ごとの丙午で、少なくとも一部の人が「何をしたのか」
想像ができます。



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ネタ元忘れましたが 投稿者:スルッとKANTO 投稿日:11月 8日(水)08時10分37秒


受精時のヒトの性比は
男:女=5:3と聞いたことがあります。

で、実は受精卵のうちかなりの数が、「その母親も気付かないうちに」
着床失敗したり着床しても未熟な状態で「流れてしまう」そうです。
その過程でXYの受精卵の方がXX受精卵より流れやすくなっているらしい。

なので、「受精」⇒「妊娠発覚」にまで成長する受精卵自体、全体の半分も
ないのではないでしょうか?

XX 24→20 (4死亡)
XY 40→21(19死亡)
のようなイメージ?



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人工授精増加により性比が変わるメカニズム 投稿者:スルッとKANTO 投稿日:11月 8日(水)08時22分46秒


もっと正確に書けば
  受精時 妊娠発覚時 出産
XX 24 →22   →20
XY 40 →24   →21

のようなイメージでしょう。
で、ここで「1割が人工受精」に移行したとして、
人工受精の性比=1:1にして、全てが着床成功したとすれば

【自然受精】
XX 21.6 →19.8   →18.0
XY 36.0 →21.6   →18.9

【人工授精】
XX 3.2 → 3.2   → 2.9
XY 3.2 → 3.2   → 2.8

【合計】
XX 24.8 →23.0   →20.9
XY 39.2 →24.8   →21.7
となって、性比=100:103.8となります。



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性比の仮説の検証 投稿者:cornucopia 投稿日:11月 8日(水)21時08分33秒


管理人さまの仮説の検証です。以下、計算ミスご容赦。
> 仮説その1)高齢出産の場合、男児の死産率が上がる

とりあえず2年分。
平成17年人口動態調査
妊娠満22週以後の死産数,性・母の年齢(5歳階級)・都道府県(15大都市再掲)別
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2005/toukeihyou/0005543/t0121493/E070000_001.html
        総数 男2,050 女 1,854
母の年齢20〜24歳 男 245 女 199
    25〜29歳 男 567 女 541
    30〜34歳 男 709 女 678
    35〜39歳 男 403 女 322
    40〜44歳 男  70 女 73

平成16年人口動態調査
妊娠満22週以後の死産数,性・母の年齢(5歳階級)・都道府県(15大都市再掲)別
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2004/toukeihyou/0004983/t0108902/E070000_001.html
        総数 男2,197 女 2,005
母の年齢20〜24歳 男 260 女 258
    25〜29歳 男 650 女 588
    30〜34歳 男 795 女 693
    35〜39歳 男 354 女 344
    40〜44歳 男  75 女  68

「妊娠満22週以後の死産数」では、「高齢出産の場合、男児の死産率が上がる」とは
いえないことが示唆されます。それでは母親の年齢によって出生性比が変わるかどうかですが、
過去9年分でみると、

出生数,性・母の年齢(5歳階級)平成9年  1.052
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/1997/toukeihyou/0001795/t0023064/b040_001.html
母の年齢20〜24歳 男 93,498 女 88,981 1.051
    25〜29歳 男254,597 女241,880 1.053
    30〜34歳 男191,761 女183,058 1.048
    35〜39歳 男 55,606 女 52,387 1.061↑
    40〜44歳 男 6,597 女 6,232 1,059↑

出生数,性・母の年齢(5歳階級)平成10年 1.054
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/1998/toukeihyou/0002717/t0048993/b040_001.html
母の年齢20〜24歳 男 90,695 女 86,500 1.048
    25〜29歳 男252,813 女239,879 1.054
    30〜34歳 男199,421 女188,873 1.056
    35〜39歳 男 58,427 女 55,301 1.057↑
    40〜44歳 男 6,811 女 6,444 1,057↑

出生数,性・母の年齢(5歳階級)平成11年 1.056
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/1999/toukeihyou/0002675/t0048098/b040_001.html
母の年齢20〜24歳 男 85,531 女 80,605 1.061
    25〜29歳 男244,844 女231,271 1.059
    30〜34歳 男198,016 女188,623 1.050
    35〜39歳 男 59,693 女 56,750 1.052↓
    40〜44歳 男 6,943 女 6,686 1,038↓

出生数,性・母の年齢(5歳階級)平成12年 1.058
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2000/toukeihyou/0003651/t0059904/b040_001.html
母の年齢20〜24歳 男 82,870 女 78,491 1.056
    25〜29歳 男242,106 女228,727 1.058
    30〜34歳 男203,949 女192,952 1.057
    35〜39歳 男 65,090 女 61,319 1.061↑
    40〜44歳 男 7,561 女 7,287 1,038↓

出生数,性・母の年齢(5歳階級)平成13年 1.055
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2001/toukeihyou/0003832/t0064478/b040_001.html
母の年齢20〜24歳 男 80,519 女 76,558 1.052
    25〜29歳 男231,391 女218,622 1.058
    30〜34歳 男204,980 女194,828 1.052
    35〜39歳 男 65,281 女 62,055 1.052↓
    40〜44歳 男 7,754 女 7,293 1,063↓

出生数,性・母の年齢(5歳階級)平成14年 1.057
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2002/toukeihyou/0004213/t0082191/b040_001.html
母の年齢20〜24歳 男 78,238 女 74,255 1.054
    25〜29歳 男219,131 女206,686 1.060
    30〜34歳 男208,839 女197,643 1.057
    35〜39歳 男 67,289 女 63,751 1.055↓
    40〜44歳 男 8,174 女 8,026 1,018↓

出生数,性・母の年齢(5歳階級)平成15年 1.055
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2003/toukeihyou/0004648/t0095833/B040_001.html
母の年齢20〜24歳 男 72,855 女 69,213 1.053
    25〜29歳 男203,414 女192,561 1.056
    30〜34歳 男209,726 女198,859 1.055
    35〜39歳 男 71,506 女 67,983 1.052↓
    40〜44歳 男 8,950 女 8,528 1,049↓

出生数,性・母の年齢(5歳階級)平成16年 1.052
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2004/toukeihyou/0004983/t0108864/B040000_001.html
母の年齢20〜24歳 男 69,832 女 66,654 1.048
    25〜29歳 男189,717 女180,503 1.051
    30〜34歳 男213,641 女202,262 1.056
    35〜39歳 男 77,035 女 73,187 1.053↑
    40〜44歳 男 9,590 女 9,200 1,042↓

出生数,性・母の年齢(5歳階級)平成17年 1.053
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2005/toukeihyou/0005543/t0121455/B040000_001.html
母の年齢20〜24歳 男 65,498 女 62,637 1.046
    25〜29歳 男174,571 女164,757 1.060
    30〜34歳 男207,444 女197,256 1.052
    35〜39歳 男 78,597 女 74,843 1.050↓
    40〜44歳 男 10,035 女 9,715 1,033↓

 便宜的に総数と比較して矢印をつけました(統計的な意味は無いです)。
 40〜44歳の場合、平成11年以降↓が続いています。高齢の場合、妊娠中絶が
多いし、仮説2、3の影響が僅かに出ているかもしれない。しかし40歳以上の高齢出産の
影響は(ごくマイナーな要因となりうるかもしれないが)件数自体が少ないため、決して
大きいとはいえないです。



                                                                                                                                                              • -



性比の仮説の検証2 投稿者:cornucopia 投稿日:11月 8日(水)21時12分7秒


> 仮説その2)出生前胎児診断により、遺伝病を避けた人工受精が首都圏を中心に、
>       厚生労働省の認識を超えて普及している。

 日本では倫理的問題があり、さすがにそれほど普及はしていないでしょう。

死産数,自然−人工・性・妊娠期間
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2005/toukeihyou/0005543/t0121491/E050002_001.html
を見ると、人口死産(中絶)は自然死産よりも男の割合が多いものの、件数の差は出生比率に
ほとんど影響を与えていないと思われます。

> 仮説その3)もっとストレートに、「産み分け」がなされた。

 男女産み分けは、以前は「パーコール法(精子を重さで分離)」が知られていました。
その他、民間療法に近いものから「おまじない」程度のものまでいろいろあるようです。

> 成熟社会の日本では、
> ★育てやすい
> ★母親が友達感覚でいられる
> ★介護も期待できる
> という「女児希望」の方が多くて、特に首都圏でその傾向が強い。

 「女児選択指向」が強いのは事実で、「産み分け」がある程度できるとすると、
影響が出ないとは言い切れません。

仮説その1)の派生ですが、

男の子が減ってきている?
http://lynx.let.hokudai.ac.jp/lab/papers/thesis/1999/hoshi.html
 「卒論」の抄録によると、「死産における男児比の増加が、男児出生率
減少を起こす要因の一つであると示唆する結果」となったというのが、
主要因でないにしても正解のひとつなのでしょう。



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沈黙の春? 投稿者:cornucopia 投稿日:2007年 9月19日(水)21時40分5秒


医療ブレーク36・首都圏の性比の歪みについての仮説
itaru-m.hp.infoseek.co.jp/health/36.htm

Arctic Monitoring and Assessment Programme (AMAP)のレポートを
直接検証したわけではないので、今のところコメントできませんが、

Man-made chemicals blamed as many more girls than boys are born in Arctic
http://www.guardian.co.uk/international/story/0,,2166996,00.html

日本語のページを探してみました。

北極イヌイット、女児が男児の2倍の村も 化学物質が原因
jp.epochtimes.com/jp/2007/09/html/d62831.html