不動産よもやま話(42)司法が都市計画を作る?

不動産よもやま話(42)司法が都市計画を作る?
(なんでも掲示板 05年10月 投稿済)

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2題  投稿者: スルッとKANTO  投稿日:10月24日(月)12時55分14秒

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/free/NEWS/20051021/125531/main.shtml

先日の日経。
静岡で、道路拡幅の都市計画決定に基づき土地収用された住民が、
計画決定の無効性を訴えた訴訟で、高裁が住民勝訴の判決を出した。

国立マンション訴訟を小生は「法治国家のありかたが問われている」として
しつこくマンション業者側支持の意見を書いている。
その理由は、
「マンションの高さ制限をしたいのなら、正式な法的手続きに則って
行うべきだ」という考えである。
国立市が正式に都市計画に基づき高さ制限を行うのなら、小生も
従うまで、という考えであった。

しかし、この静岡の件の場合、都市計画法による正式手続きですら、
場合によっては違法になりうる、という判決であり、小生の考えの
根底を壊す判決である。

高裁判決のロジックとしては
「道路拡幅が必要である、という県の考えは、
 人口・交通量が増大する、という需要予想に基づいているが、
 その予想には合理的根拠がない」ということらしい。

このロジックを国立にあてはめれば、仮に国立市が絶対高さ制限規制を
導入したとしても、裁判所が
「このエリアにおいて、私権制限に繋がる絶対高さ制限を認める
 合理的根拠がない」として市の規制による処分を否定する可能性もある、
ということになる。

となると、「まちづくり」のために、事細かな都市計画を自治体が策定したとしても、
司法の場で「合理的根拠なし」として否定される危険性が生じるということであり、
「住民の多数の意見を吸い上げて」それを都市計画決定に生かす、という日本の
都市行政スタイル自体が問われるということになる。

>住民側代理人の飯田豊浩弁護士は「こちらが知る限り、高裁レベルで都市計画決定
>違法としたのは初めてだ。今後、各自治体の都市計画決定に与える影響は大きいだろう」
>と話している。

こうなると、「どうやって街作りのルールを作ればいいんじゃい!」と叫びたくなるのが
自治体担当者のホンネではないか?

http://acplanning.at.webry.info/200510/article_6.html
にもあるが、
「事実上司法が都市計画を作ってしまう」危険性があるのである。

一見、川辺川ダム訴訟みたいに、「昔作成された過大な公共工事に司法がメスを入れた」
画期的判決のように見えるのだが、この判決は日本の都市計画行政に対する重大な
挑戦であり、ある意味で国立マンション訴訟よりもヒドイ迷判決である、と
言えるかもしれない。

http://lm700j.at.webry.info/200510/article_23.html
でも問題視しています。

http://d.hatena.ne.jp/Raz/20051021/p1
http://blog.livedoor.jp/you136/archives/50155654.html
http://d.hatena.ne.jp/szkn/20051020/p4