不動産業界の主流派が突き進めたREITの破綻

「ニューシティ・レジデンス破綻」


本来REIT(リート)は「ミドルリスク・ミドルリターン」といわれ、
その「リスク」というのも、「投資口が東証で下落するリスク」であっても
「破綻リスク」である、とは意識されていなかった。
少なくとも、2001年にREITを推進した業界主流派の
「説得材料」は、そうだったはずだ。

2001年にREITが大手不動産会社を中心に推進され、
「これからはREITが不動産取引の中心」ともてはやされた。

大手不動産会社が参入し、中堅不動産会社もあれよあれよという間に
参入していく中、唯一大手の中でも某社は参入をしなかった。
業界内では「他社が相次いで参入するのに、なぜ某社は参入しないのか?」と
不審がる声も見られ、その疑念の声は国土交通省金融庁でも聞かれた。
挙句の果てには、日経新聞は「大手会社はすべからくREITに参入すべき」との
ドグマに基づき、「某社もREITに参入予定」という誤報を報道する始末である。

しかし、某社は7年間静観し、参入を見送った。
本来電力株と同様に「安定的配当期待商品」であるはずのREITは、
いつのまにかマネーゲーム商品に変質し、安定運用を望む個人投資家にとって
うかつに手を出せない商品になっていった。

本来、REITは賃貸不動産の賃料を原資として配当をすればよく、
投資家への返済義務を本来は負わないので、破綻はありえないはずだった。
しかし、REITの事業拡大のスキームとして、
銀行等からの融資(デット)調達を容認するように変質する。
融資調達が認められれば規模拡大は自由にできるが、
その分「返済義務」が発生し、それは「破綻リスクが新たに加わる」ことになる。

融資を認めた時点で、REITと不動産会社の一般株式との本質的相違は
なくなるのであるが、その辺を慎重に議論した形跡はない。
融資焦げ付き・貸し渋りによる破綻というのは、どうやら関係者の想定外だったらしい。

結局、やっていることはサブプライムアメリカと大差がない。

大手不動産や金融関係者が妄信していた「REITは不動産金融の王道」という
ドグマの化けの皮ははがれ、某社が行っていた「傍流」「非主流」の
「優先劣後型・メザニン設定型不動産特定共同事業商品」の路線が、
結局は間違っていなかったことが証明された。

それでも日経は「某社はREITに参入予定」と飛ばし記事を書くつもりか?