平均寿命のターニングポイント

日本の平均寿命が短縮し、女性は香港に抜かされた、とのこと。
厚生労働省は短縮の主因は大震災とし、副因を自殺増加と肺炎としている。

私見だが、終戦後一貫して「順調に伸びてきた」平均寿命が、
歴史的転換点に立っているような気がしてならない。

日経のデータ見ると、女性寿命は、
「仮に震災がなかった場合の寿命」も、前年度比で短縮されている。
これって、結構由々しき事態じゃないか?

「肺炎の増加が一因」としているが、
これは
「超高齢化と医療費増大、医療疲弊により、高齢者への看病体制が手薄になっている」
ことの表れではないのか?
※ニッセイ基礎研は、「肺炎が3大死因になってしまう」として、早期の対策を求めている。

昔だったら、キチンと入院させて静養させるケースでも、
病床不足で入院させられず体力が悪化するとか、
昔なら丁寧な介護が出来ていたのに、介護がパンクしているために
充分な介護体制が敷けなくて、介護事故に遭う、
そのような諸々の「医療体制不備」「介護体制不備」が、
結果的に寿命の短縮、という格好で表面化している、そういうことはないか?

あと、昔の日本人は「健康的な日本食で長寿」だったが、
戦後生まれの日本人などは、「欧風食生活、ジャンクな食生活」に慣れてしまって、
成人病に罹患しやすく、戦前生まれより寿命を縮めてしまう、そのようなことはないか?
沖縄と奄美の事例が興味深い。
かつてはいずれも長寿を誇っていたが、米軍占領により、
一気にステーキ等のアメリカ風食文化になった沖縄本島は、徐々に寿命を縮めているらしい。
気候的には大差ない奄美地方は、伝統的食文化が比較的残っているので、寿命を維持しているんだとか。
或いは、肉体労働が当たり前だった戦前生まれと、ホワイトカラーが多数派となった戦後生まれでは、
寿命維持に必要な運動量にも差が付いてしまい、結果として戦前生まれの方が長寿、と
いうこともありえるかもしれない。

平均寿命が一気に5年も10年も短縮する、ということはあまり考えづらいが、
30年後、50年後の平均寿命は、医療介護の破綻と体質変化で
1〜2年程度短縮していても、おかしくない気がする。