たたき台:老朽アパート除却REIT

制度創設目的:国の税制支援と、REITの組み合わせで、老朽アパートの除却を進めよう、という話。

【条件】
★大家だけでなく、老朽アパート入居者が全員同意していること
★木造、築50年以上のアパート
★23区内に立地、路線価が一定水準以上のアパート
★敷地面積100?以上300?以下

【イメージ】
★老朽アパート敷地について、一定期間経過後(例:5年後)に
 土地を売却する前提で、信用金庫がREIT発行し、投資家に売却
 発行金額は、敷地の路線価評価額
★このREITについては、国(又は自治体)が、
 発行額に対して上限30%まで下落分保証。
★大家(地主)には、路線価の92%の現金を渡す
 残り8%のうち、3%は発行体(信金)の手数料、5%は立ち退き同意金
★国・自治体は、満期到来時の土地優先買取交渉権あり。
 買取価格は、REIT発行時の路線価に、「国債利回り+1%」の利回りを
 足し込んだ金額。
 →国・自治体が満期時に土地買取を実施した場合、
 投資家は「国債利回り+1%」で資金運用できたことになる。
 例=国債利回り=2%であれば、買取価格は
 当初路線価比、(2%+1%)×5年+100%=115%での買取となる。
★国・自治体が土地優先買取に応じなかった場合、
 その土地は競売に回される。
★競売価格が額面(=発行時の土地路線価)を上回る場合、それをそのまま投資家に償還。
 例えば、額面の130%で競売されたなら、そっくりそのまま130%分を投資家へ渡す。
 (この場合、単利計算で6%で回ったことになる)
 つまり、土地値上がりの場合、投資家は値上がり益をそのまま享受する。
 (但し、土地値上がり局面でも、国・自治体が優先買取に応じた場合は、国債+1%の運用にとどまる)
★競売価格が「REIT発行時路線価の70%掛け価格を上回る」場合、
 額面がそのまま償還される。(投資家は得もしないが損もしない)
 (額面と競売価格の差額は国・自治体が負担)
★競売価格が「REIT発行時路線価の70%掛け価格を下回る」場合、
 額面割れして償還。
 例えば、競売価格がREIT発行時路線価の60%掛け価格だった場合、
 償還金額は額面の90%。(30%分は国・自治体が負担)
★ただ、実際には、都内の土地が、「わずか5年のうちに、30%値下がり」するようなことは、
 そんなには考えづらい。
 なので、投資家サイドから考えれば「元本割れの蓋然性は、ほとんどない」と判断するのでは?
 ましては、この場合、もともと老朽古アパートが上モノになっていて土地減価を起こしていたのが、
 上モノ(邪魔者)が無くなるので、土地値上がりする蓋然性の方が、高いのでは?

【大家のメリット/デメリット】
★メリット=現金収入(路線価の92%相当)
★メリット=税優遇
★デメリット=土地・建物所有権喪失

【入居者のメリット/デメリット】
★メリット=立ち退き同意金が貰える(路線価の5%相当÷入居者数)
 (一種の引越し代相当金)
★メリット=家を探す時間的猶予がある(5年間)
★デメリット=5年内の退去義務
 (借地借家法の保護を外す)

【投資家のメリット/デメリット】
★メリット=元本保証に近い(安全性が高い)
★メリット=周辺で再開発が進行したような場合は、土地値上がり益を享受できる可能性あり
 (但し国・自治体が優先買取請求しなかった場合)
★メリット=国・自治体が優先買取請求した場合には、国債利回り+1%の運用
★デメリット=地価の30%以上下落で、かつ優先買取請求非行使の場合、元本割れ
 (ただその場合も、丸々損するのではなく、損失の30%は国・自治体側の負担)
★デメリット=中途解約が認められていない
 第三者譲渡は可能ではあるが、流通市場は未整備なので、転売できる可能性は少ない
 

信金のメリット/デメリット】
★メリット=路線価の3%が手数料収入として入る
★メリット=大家に対して各種コンサルできる
★メリット=投資家に対しても各種コンサルできる
★メリット=入居者が退居するまでの家賃は、信金に帰属する(家賃水準はREIT開始時家賃水準とする)
★デメリット=手数料収入の枠内で、土地・建物の固定資産税、建物解体費用を負担する
★デメリット=入居者との管理手間を負担する
 (入居者管理のようなこまごま業務があるので、都銀でなく信金の商品にした)

【国のメリット/デメリット】
★メリット=防災強化になる
★メリット=土地優先買取交渉権がある(買わなくてもいい)
★デメリット=競売価格によっては損失を一部被るおそれ
★デメリット=地主に課税優遇を与える必要あり(税収減)


役人が古アパート街をローラーして、全員同意アパートを探し出し、
そこの大家を説得する運用イメージ?

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類例として「老朽持家戸建除却REIT」も考えてみた

基本的な仕組みは老朽アパート除却REITと共通

★東京23区内の、木密エリアの一定年数以上経過(例:50年)した木造戸建が対象
★一定年数経過後に取り壊し
 (その時点までに退去義務あり)
REIT利回りは国債+α
★国ないし自治体が3割劣後出資
 (3割以上下落しなければ元本保証)
★取り扱いは信用金庫
★基本的に期間満了時に競売、国(自治体)に優先買取権

老朽持家戸建除却REITの方が、アパート除却REITより関係者が少ないので、
より捗るような気がする。
家賃をいくらに設定するかが課題ではあるが。

誰かこの辺のスキームをブラッシュアップできないものか?