【7月18日→8月9日 文明レベル可視化装置が国家には必要】

7月31日
★鉄道史研究家の原田勝正氏によれば、維新政府の新橋横浜間鉄道開設の目的は、経済的実用性でも軍事的実用性でもなく、「維新日本の技術力の可視化」が主目的だったらしい。
★維新政府は陸蒸気を国内に走らせることで、1.「日本は鉄道を走らせる国力があるんだぞ」と列強にアピールして、不平等条約の改訂に繋げたい、2.国内保守派に陸蒸気を見せ付けて、科学技術の凄さを肌感覚で判らせる
★なので、「とにかく陸蒸気が走りさえずれば」、乗客ガラガラでも、経済的にペイしなくても、目的の大半は達せられる、ということになる。「走りさえずればよかったから、国際標準軌じゃなく狭軌で良かったのでは?」
★これって、立ち居地がなんかスパコン「京」と一緒。「2位じゃダメなんですか?」と問いかけるのは、維新政府に「馬車鉄道じゃダメなんですか?」と問うようなもの。
アメリカのアポロ計画なんかは、まさに「国力、科学力の壮大な可視化」。科学がよく判らない人でも、「月に人類が行った」と聞けば、「何かワカランけど、兎に角スゴイ」となる。
★そう考えると、現代日本では、総合的な科学技術力を一般人に可視化させる「装置」が不足している。個別の科学力を見て回るには、大学研究室を巡回したり、つくばを巡回したり、ビッグサイトを巡回したり、手間ヒマかかるし、科学リテラシーが不可欠
★因みに維新政府部内にも、鉄道の価値が判らない高官が多かった。西郷隆盛がその筆頭。陸海軍もその価値を理解してなくて、新橋横浜の鉄道計画に軍用地が削られることにいちゃもんつけたりしてた。
★その後、西南戦争日清戦争で鉄道の重要性に初めて気付いた陸海軍は、一転して鉄道推進、国有化を主張するようになるから、結構身勝手。
★「東京〜近畿の鉄道は、敵の艦砲射撃を受けないよう、内陸の中仙道を通すべき」と陸軍が主張した、とされるのは、実は俗説らしい。当時の陸軍は、そもそも鉄道を軍事利用する発想がなかった。
★軍部が鉄道建設に介入するのは日清戦争以降。山陽線が広島以西のルートで内陸寄りコースを取るのが多いのは、陸軍の影響らしい。今の岩徳線ルートが、旧山陽線