いつの時代にも「活性化された地方」はある。広まらないだけ

1月25日

1月24日日経夕刊5ページがなんとも。島根大名誉教授の保母武彦氏の地方創生論だが、根拠もなく「2010年以降の人口動態は2010年までと違う、若者の間でUターンIターンが流行ってる」と書いている

国勢調査データは2010年しか最新データはないが、住民基本台帳データで見る限り、東京圏への転入傾向は(震災の影響が強かった2011を除いて)一層加速している。メディアの『Uターン等が増えてる』報道は、現時点でエビデンスがない

メディアはちゃんと流入人口流出人口のエビデンスを取得したうえで『Uターンが増えている』と報道している訳じゃない。極端な話、Uターンな人が1人/年から2人/年に増えれば、1万人の地方⇒東京の転入があっても、『Uターンが増えた』とメディアは報道する

保母教授は『海士町がUターンIターンの好例、こういう自治体が出現した点が以前との違い』と言いたいんだろうが、1980年代にも、1990年代にも、2000年代にも今の海士町みたいにUターンIターンの成功例はあった筈。そういう自治体が増加している、のエビデンスあるのか?

例えば1980年代とか、大分県の平松知事が『1村1品運動』で、地方を活性化させたともてはやされていた。1980年代の成功自治体数と、2010年代の成功自治体数を比較したら、残念ながら成功自治体数は減少している恐れ

いつの時代にも、全自治体数の1%程度は『UターンIターンの成功自治体』が定性的に出現する。しかし、その成功例は他の99%の自治体に水平展開されない。つまり定量的な効果は確認できない。