日本農業は既に死んでいる。兼業の維持が必要

1月25日
アベノミクスの立役者、原田泰の講演を聞いた/日本の農業に話が及んだが、「日本の年金制度を維持すること」「日本の経済を維持すること」が「日本の農業を守ることになる」と言っていた。「兼業農家のメーン収入源を守ること」「年金農家のメーン収入源を守ること」が日本農業維持になる、と

つまり、農水省の「専業農家を増やせば、日本農業は発展する」「農業を大規模化すれば、日本農業は発展する」のシナリオを、ハナから原田泰氏は信用していない。「日本農業を守るには、兼業農家、それも農外収入の方がメーンな兼業農家を守るしか方策はない」のシビアな見方

そもそも農業に言及した際に、「『このままでは日本農業が崩壊する』と懸念する声が多いですが、そもそも日本農業はとっくに崩壊していますから」と無慈悲な宣告

申し訳ないが、自分も原田氏の味方に賛同。「専業農家化、大規模化で日本農業を救える」というのは幻想でしかない/一部に専業農家で成功している事例があるのは事実で、マスコミはそういう成功例を盛んに喧伝/でも定性的には専業農家は成立しても、日本全国で定量的に専業農家は成立しえない

原田氏の話を意訳すると、コメ農業に関しては、「産業」「職業」としてのコメ農業は既に破綻していて、現状が既に「趣味のコメ作り」「健康維持のコメ作り」という状況。ただコメ作りは「ラク」なので、趣味のコメ作りだけでも、国内自給を賄っちゃう

なんか日本には原理主義者が多くて、「教科書通りじゃない状態は異常だから、是正すべし」という人を良く見かける。「趣味のコメ作りに支えられたコメ農業は異常だから、是正しよう」「高齢者の介護と医療に支えられた地方経済は異常だから、是正しよう」

自分はちゃらんぽらんな人間なので、「教科書に反した状況でも、それで世の中うまく回ってるんなら、それ温存しといていいんじゃない?」とも思うのだが。

前「高齢者の年金・医療・介護が、実は地方経済のエンジン」「でも、高齢者数が地方では減少に転じるので、地方経済のエンジン役が無くなる」「だから団塊世代を東京から地方に移出して、地域経済を維持しよう」と増田で投稿したら、はてな民に猛バッシングされた。「そんな異常な経済は見直すべき」と

コメ農業政策に関していえば、もはや「経産省的な産業政策」という建付けじゃなく、「厚労省的な健康生きがい維持政策」「環境省的な田園維持政策」「国交省的な治水維持政策」という建付けに変えた方がうまくいくと思うのだが。

それはすなわち「コメ農業の、産業としての白旗宣言」ということで、農水省の敗北を意味する/敗北を自認したくない農水省が、必死に大規模化とか専業化とかの悪あがきを試みているという現状