日本にメイド文化が根付かない理由

2月1日

メイドは日本のアッパークラスに何故か普及してない。超合理主義者の堀江としては、潜在時給高い筈のアッパーが、家事「ごとき」に忙殺され、日本経済成長がダウンするのが耐えられない / “ホリエモン「家事を自分でやってる奴は馬鹿。月に2万…” http://htn.to/seZ7Pd

香港基準・シンガポール基準なら、湾岸タワマン入居世帯の半分程度がメイド雇うんですが、日本基準だと1割いるかいないかでしょう。経済力の割にはメイド市場の市場規模が小さすぎる/戦前はそんなことなかった。いわゆる「ホワイトカラー」と言われた層は、大体お手伝いさんを雇ってた

湾岸タワマンで、ダンナ800万奥さん500万年収世帯が、家事に振り向ける時間を、メイドにアウトソーシングさせ、その分彼らが「本業の仕事に邁進」したら、彼らの年収がアップする。日本経済が成長する/堀江はそれを指摘している

萩本欽一が最近日経に「私の履歴書」載せてたが、萩本家は昔はボンボンで、お手伝いさんがいたと書いてた/コラムニスト泉麻人も幼少時にお手伝いがいた、と/泉麻人自身の生活余裕レベルは幼少時と今で大差ないと思うが、泉麻人は多分今はお手伝いさん使ってないだろう

多分戦前だと、言わば「ステータスシンボルのアイコン」として、お手伝いさんを多少無理してでも雇っていたんだと思う。「財閥の課長に昇格したんだから、部下の手前もあるから、お手伝いさんを雇おう」/30年前に「部長に昇格したから、クラウン買おう」と同じメンタリティ

それが今では「家事もできないようでは嫁失格」な風潮がアッパークラスでも存在してる。だからメイドが経済力の割には普及しない

昔の華族階級とかは、「嫁」であっても、家事はしなくて良かった。家事を嫁自らがしたら、お手伝いさんが「お嬢様に、そんなことされたら困ります」とすっ飛んで来た。「上流階級は家事はしない、いや『してはならない』」な不文律があった

華族の本を読んでると、「上流階級は、家事や雑事をしなくていい、いや、してはいけない」の不文律が崩壊したのは終戦直前のようだ。勤労動員で、華族のお嬢さんだろうが、工場の雑事を強制してた

そもそもホリエモンが離婚したのは、この辺の価値観の差だったんだよね。堀江は「俺たち金持ちなんだから、家事はメイド雇って任せればいいじゃん」堀江嫁「家事は私がやります。あなたも少しは子供の相手して下さい」→離婚

堀江の「月2万円家事代行しないのはバカ」発言に対して、「月2万円でまともな家事代行なんてこないだろ、ホリエモンは家事代行業界の相場を知らない」的な揚げ足取りツイートする人が多いが、堀江の言いたい本旨は「アッパークラスはもっと家事代行を活用しろ」だろ。本旨を外れた金額論争は不毛

大体、堀江からすれば、月2万円も月20万円も「誤差の範囲内」だろ?

金額論争は重要じゃない。「家事代行サービス、メイドサービスを利用できる経済余裕があるにもかかわらず、そういうサービスを活用する発想自体を思いつかない」アッパー層に対して、堀江が注意喚起をしている、ということ。

人間って、結構思考の幅が狭いし、情報に偏りがある。例えば世帯年収2馬力で1,500万円な家庭が、最初から「家事代行サービスは、世帯年収5,000万円以上が使うもの」と思い込んで、家事代行サービスの相場を調べもしない、ということが、案外多いんじゃないかと思う。

例えば、最近まで自分は株式に関心がなかったので、高配当株の存在を知らなかった/出来心で、小一時間株式について調べてみると、結構薬品株とかみずほ銀株などは、配当利回り3%もあると知ってビックリした/このように「小一時間調べれば、わかる話」を、小一時間調べないから、知らない話は多い。

だから、堀江の話は、「いっぺん、家事代行サービスの内容について、騙されたと思って、小一時間調べてみては?」というサジェスチョンだと思う。

「小一時間調べれば・・・」的な話は随所に転がっていて、たぶん自分も「小一時間調べりゃわかる話なのに、知らない話」がゴマンとあると思う/不動産系って、「小一時間調べれば・・・」系の話がテンコ盛りだったりする。皆、自分の常識に囚われちゃって、調べようとしない。

例えば、「東京通勤圏でも、2,000万円程度の新築戸建がある」「東京通勤圏でも、1,000万円を割る中古マンションがある」なんて事実は、小一時間調べればわかる話なのに、それを調べずに「東京で持ち家を持つのは絶望的だ」と諦めている人が実に多い。

ただ、自分達の不動産のプロは、「2,000万円程度の新築建売=飯田産業系パワービルダー戸建」は「庭も狭いミニ戸建てで、将来の資産価値は少ない」とか「1,000万円を割る中古マンションは、管理費修繕積立等に問題ある可能性」と注意喚起する義務はある/それを承知で買う人は買えばいい。

例えば、75歳で資産5,000万円シニアが、旧耐震で断熱性も低い築40年の家に住んだままだったりする。要は35歳の時に建てたマイホームにそのまま居住。時々キッチンとか屋根とかを補修している程度で、本格リフォームせず/冬の寒い日も、震えながら過ごしている。

そういうシニアは、「冬は寒いものだ」「一戸建ては寒いものだ」という常識が定着してしまっている。「1,000万円掛けて断熱フルリフォームする、2,000万円で一条工務店の断熱新築する」と、「冬でも暖かく」なるのだが、小一時間調べてそういう情報をゲットする、という発想がない。

このエントリに全ての本質が現れている。「家事代行なんて頼んだら、向こうのお母さんに顔向けができないと実母が反対」/結局、家事代行が日本で普及しないのは、経済的理由じゃなく歪んだ伝統的価値観が原因 / “家事代行サービスは賢い選択か…” http://htn.to/qAgKdHk

そして、堀江が言いたい点も「歪んだ伝統的価値観なんて無視して、合理的に家事代行を活用しようよ」という話。皇太子の移動に伴う交通規制にイチャモンを付けた堀江にすれば、家事代行を阻む伝統価値観なんて、さっさと打破すべき存在

で、いわゆるアッパークラスほど、「伝統的価値観」に囚われているから、家事代行ニーズが盛り下がる訳です。

生活支援サービス・ベンリーコーポレーションの講演会で、ベンリーの部長が話していた。「創業当時のネックは、上のクラスの家庭になればなるほど、『近所の目があるから、ベンリーのクルマで自宅へ駆けつけないでください』と言われた」/生活支援サービスの普及を阻むのは、姑の目と近所の目

なんで前半にマトモな発言して、後半に炎上させるかなあ?/炎上に付き合う必要ないのかもしれないが、前半発言を自分は支持してるだけに、後半にツッコミ入れざるを得ない / “藤沢数希氏「深夜残業するサラリーマンは浮気してる」 - Tog…” http://htn.to/PcFj9F

言い方変えれば、『向こうのお母さんに顔向けできない』『あそこの嫁は家事ができない、と近所で後ろ指さされたくない』なネガティブ因子を全部除去したら、日本の家事代行・メイド市場って爆発的に成長すると思うのだが。それこそ今の10倍規模に拡大できるだろう。