解約不可、クローズドエンドな投信の需要は根強い

11月18日
知人のキャリア官僚(一時期年金も担当)が、「運用するなら、インデックス投信」って言ってた。それ、完全に責任回避な役人のロジックじゃん

一般論としては、「投資信託」は、満期時期が未確定だったり、中途換金の可能性がある人に、向いている投資ビークルだと思う。一方で、「この先5年間、このおカネを使う可能性は、1%以下」なんて人が、オープンエンドな投信に投資するのは、どうなんだろうか?

実際、自分は「5年間使う予定がない」「10年間使う予定がない」というカネがあり、運用先に困ってる。換金性・流動性を重視している投信は、逆に言えば「5年後、10年後の最終利回り」が低い。「5年間解約するつもりの無い人向けに、最適化された商品設計」じゃない。

逆に言えば、「5年間使う予定がない」場合、「5年後に満期を迎える債券」を購入するのが、ベストな選択なんだと思う。その場合、万一の中途換金時の目減りリスクは承知の上で、満期時の最終利回りが最大化出来る。

「2020年まで、解約出来ない(ないし、多額のペナルティ)」という前提条件で、各種の「2020年満期債券」をパッケージにした、「クローズドエンド投信」というのがあれば、案外ヒットするんじゃないか?中途で換金すれば損だが、2020年まで持てばリターンが大きいという商品設計。

その知人のキャリア官僚は、見たところ5年、いや10年は、使う予定の無いカネが溜まっていそうな奴。そういう人が、オープンエンドなインデックス投信に投資するのは、金融リテラシーが少ないということか?

「換金性・流動性」と「最終利回り」はトレードオフの関係にある筈。もうちっと「換金性を低くして、その分利回りを高めた」金融商品は、出てこないのか?

「数年間の中途解約リスクを犠牲にしながら、数年先の最終利回りパフォーマンスを最大化する」。日本国内の国債・地方債・社債だと、利回りパフォーマンスは知れているが、外債だとパフォーマンス高い。後は為替リスクをどこまでヘッジできるか。

自分が野村の投信の勧誘を断り続けた上でトルコリラ債を購入したのは、そのような金融思考を踏まえてのものである。

トヨタの個人向けAA債が大人気だったのも、そういう文脈だよね。当初5年間は市場で取引できないから流動性は低い(というか、全くない)が、その分見返りも大きい。世の中、流動性なんて無くていい、という投資家は、案外多い。

所謂金融工学系な取引は、100%な流動性が確保されるのが大前提。だから高速取引、裁定取引でサヤが抜ける/だから、金融市場の多数派、「声の大きいプレーヤー」は、流動性嗜好が圧倒的。だが、「老後の資金作り」な庶民投資家は、そうじゃない。

年金や地銀などの機関投資家が、100%な流動性を有する上場リートより、流動性に難点がある私募リートを指向するという「パラドックス」も、同じ文脈。機関投資家と言えども、流動性は必須じゃない。