マスコミのアジェンダセッティングに関連して。
かつて80年代には「クロヨン」「トーゴーサンピン」という言葉が流行った。
サラリーマンは税金をがっぽり取られて、自営業者は「必要経費」の名目で
脱税を繰り返し、農家はさらに税を免れている、という「不公平税制」を
象徴する言葉であった。
80年代の新聞を見れば、1週間に1回は「クロヨン」「トーゴーサンピン」という
言葉があったのではないか?
83年の参議院選挙では、不公平税制是正を目指した「サラリーマン新党」が
議席を獲得したりした。
それほどまでに注目された「アジェンダ」だったが、2000年代になると
「死語」と化してしまった。
今の高校生、いや20代に聞いても「クロヨン」「トーゴーサンピン」なんて
言葉は知らないだろう。
では「クロヨン」「トーゴーサンピン」という事象が無くなったのか?と言えば
そんな訳はない。
相変わらず、自営業者は「領収書天国」である。
では、なぜマスコミは「トーゴーサンピン」をアジェンダから「外した」のだろうか?
ここからは憶測だが、「クロヨン」「トーゴーサンピン」をアジェンダにしようと
「仕掛けた」勢力がいたのでは?、という気がしてならない。
その勢力とは、ズバリ大蔵省(現財務省)である。
当時の大蔵省は、大型間接税の導入が「悲願」であった。
しかし、愚直な手法で大型間接税の必要性を訴えた大平首相は、総選挙で大敗してしまった。
そこで、正面突破作戦ではなく、
「サラリーマンの皆さん、これだけ実質租税負担ではサラリーマンは重税なんですよ」ということを
世の中に訴える「搦め手作戦」に出た訳である。
「直接税中心税制(シャウプ税制)から間接税中心税制に変更すれば、不公平税制緩和の一助に
なりますよ」ということである。
本音は「税をとりやすいから、上げやすいから間接税」ということなんだろうが。
ともあれ、四苦八苦の末に消費税の導入を果たした大蔵省であったので、導入後は
「トーゴーサンピン」のプロパガンダ活動をあっさり放棄してしまい、
マスコミのアジェンダからもフェードアウトした、という訳である。