読書ノート・千畝

★千畝の首切り:GHQ占領で日本の外交権喪失、外交官が不要になったため
加藤寛「千畝をクビにしたのは曽野明」
 (ソ連課長、キャリア外交官)
講和条約後、外交権復活で大半の外交官が復職
 むしろ問題にすべきは「千畝が復職できなかったこと」
★講和後、シベリア抑留などでソ連との外交は最重要課題
 ロシア語堪能でソ連通の千畝をなぜ復職させないか不可解
★「ユダヤから金貰ってビザ書かせた」説
 :そもそもユダヤはビザは東京公認のビザと思い込んでいて、訓令違反ビザだ、という
 ことを知らない。
 金払う必要性自体、認識できるはずがない
★訓令違反ビザであることをイスラエルが認知するのは1969頃
 運悪く、このころ千畝のライバル、牛場信彦が外務次官に
 ⇒イスラエルの顕彰の動きを知り、封じ込めへ。
ノモンハン:平坦地
 戦車等の近代化したソ連が戦いやすい土地
日本陸軍:戦車近代化に消極的
ソ連発足直後:スターリンは日本が攻め込むこと恐れる
 ⇒ソ連軍は(実力以上に)強力である、とのウソ情報を日本参謀本部に掴ませる
 ⇒ポーランド情報(ソ連あまり強くない)と食い違い
 参謀本部ポーランド情報信じず
東郷茂徳:元駐ソ大使
 東京裁判で死刑にするな、とスターリンが要請
★しかし、同じく駐ソ大使だった広田はスターリン救済せず
 (広田は対日戦主張したため)
★千畝のリトアニア派遣:ノモンハンが原因
ノモンハン:実はソ連の方が被害大きかった説
ノモンハン:急遽停戦
 (ソ連側がポーランド侵攻に向ったため)
シベリア鉄道ノモンハンまで日本人通過NG
 ⇒ノモンハン後OKに。
 同時に「日本のビザあれば通過OK」に。
蘆溝橋事件:実はソ連陰謀論説紛争
 ソ連が日中戦を機に満州に攻め込む
★陸軍諜報員・橋本欣五郎(ロシア専門家)
 千畝に陸軍諜報員になるようスカウトするが断わられる
ゾルゲ:独ソ開戦予告⇒スターリン無視
 予告できたのはゾルゲと千畝だけ
★日本南進のゾルゲ情報⇒極東ソ連軍は40万人から1万人に一気に減らした
 (ドイツへ向う)
★1945年1月、参謀本部
 「日本人の安全な満州からの引き上げルート」をスタディしていた。
 (ソ連満州侵入をこの時点で予測)
★シベリア抑留決定:8月23日
 「北海道の半分をソ連に渡す計画」を8月16日にトルーマンが知り、拒否
 ⇒仕返しにシベリア抑留
ソ連崩壊:大日本帝国のような国家資料の焼却行為はなかった
旧ソ連:実はKGBの存在は隠されていた
 (知らない国民もいた)
辻政信
 ノモンハンの最初の衝突を軽視
 モンゴル軍だけの動きと判断
 (ソ連軍介入を予測せず)
★1727年キャフタ条約
 清国とロシア間で締結
 「山または河がある場合、そこが国境」
 ⇒ハルハ河近くは目印がなかったのが混乱の一因
 (しばし流れが変わる)
★ハルハ河東岸:資源が無い不毛地帯
 紛争する合理的理由がない
 ⇒「(ソ連は)紛争したかったから、紛争した」
★ハルハ河西岸:高台
 東岸:低湿地
 西岸側に陣取るソ連側が圧倒的に有利
ソ連:開戦前時点でハルハ河に人工浅瀬を極秘裏に構築
 ⇒開戦時に一気に渡河
満州の新聞:ソ連が対日戦準備していることを開戦前に報道
 なぜ辻政信はこれを無視したのか?
日本陸軍ソ連部隊の兵站距離を250キロと想定
 実際は750キロ
 日本の想定は人馬想定、実際は石油(自動車)で移動
★独ソ密約で、ドイツのポーランド侵攻後、直ちにソ連も侵攻の手筈
 しかしノモンハンのためにソ連側はなかなか動けず。
 ⇒ドイツ側がソ連を催促
 ⇒ソ連は急遽ノモンハン停戦へ
★ドイツの開戦理由
 「ポーランドの正規軍がドイツを攻撃」
ソ連の開戦理由
 「ポーランド内のウクライナ人・白ロシア人救援」
ノモンハンの停戦協定内の一文
 「日本の通過ビザがあればシベリア鉄道通過可」
 なぜわざわざこの一文が入れられたか?
 第二次大戦開始後、各国民の脱出ルートが狭まり、ソ連に対して通過要求が出ていた
シベリア鉄道通過可・・・日本とコトを荒らげたくないソ連の寛大策
 (バルト三国フィンランド侵攻を控えていたため)
日本通貨ビザ:敦賀〜神戸、とルートが決まっていた
★千畝:ソ連の計画経済を研究
 608ページの大著、「ソビエト連邦国民経済大観」著す
★千畝:一旦「日本国外交官」でなく「満州国外交官」になる。
 ⇒北満鉄道交渉に臨む
★千畝:満州国から本国への異動を希望
 理由1:橋本欣五郎少佐のスパイ勧誘から逃れたい
 理由2:満州国関東軍の横暴に耐えられない
★本国復帰後、モスクワ派遣予定⇒ソ連拒否
 やむなくヘルシンキ派遣⇒シベリア鉄道の利用すら拒否
 仕方なく海路でヘルシンキ
田中上奏文問題
 「中国を手始めに欧米まで侵略したい」と天皇に上奏
 ・・・偽書なのだが、外国では本物と思われ、対日警戒心を生んだ
 実はソ連による偽書
★原爆がソ連の対日参戦を早めた
ノモンハンの経験⇒終戦直前の満州侵略に生かされる
★最終的に中国大陸が共産党支配下になったため、満州は中国領土に
 国民党支配下だったら、当然のように満州ソ連邦内共和国になっていた
★大島駐独大使が独ソ開戦を見誤った理由:偽情報を掴まされた
カウナス閉鎖後の次の千畝の行き場:独領ケーニヒスベルク
 (ソ連情報収集のため)
 ドイツ側にも千畝は警戒された
★千畝:ポーランドルートで情報収集
 これがドイツは気に入らない
 又、カウナスのビザの1件が知られてきた⇒ケーニヒスベルクからブカレスト
カイテル偽作戦情報
 「ドイツは次にイギリスに進む」(対ソ戦のカモフラージュ)
 これをソ連も日本も信じた。(大島大使もスターリンも信じた)
★騙されなかった千畝と小野寺
 ・・・ドイツは「小野寺は騙されていないようだ」と気付く
★モスクワ駐在ドイツ大使ですら偽情報を信じていた
★千畝:「ドイツ人将校が、初級ロシア語を身に付けるように、との司令有」の
 情報をキャッチ
★千畝:よく「ドライブ旅行」を装って、各地の情報収集
★千畝の暗号電報:ソ連に解読されている
スターリン:ドイツを信用して食糧輸出までしている
 北部国境問題でもドイツに譲歩
スターリン:千畝より大島の方がヒトラーに信用されている、
 その大島の情報なら・・・ということで、大島情報の方を信用
★日本のマスコミ:「独ソ戦開戦近し、は英米のデマ」
★戦後の隠語:「大磯=吉田茂
★1960ごろ:欧米が対日輸入抑制していた
 ⇒対ソ輸出に期待
吉田茂ソ連嫌い
★民間は対ソ貿易に期待⇒千畝は貴重な人材
★千畝:ソ連向け輸出タンカー進水式の「祝詞」をロシア語翻訳した
 (それほどロシア語に堪能)
★千畝:ドイツ語も達者
★リッペンドロップ外相:「ナチス占領下のチェコに外交官は不要、退去しろ」
 ⇒千畝が堂々の反論、外相絶句
★レビン教授の「千畝」:名誉毀損で裁判に⇒原告勝訴