読書ノート 満鉄調査部 5

★全満日本人自主同盟
 幣原外交否定する満州中間層の団体
 会員に小沢征璽の父も
★大連新聞社の「企画」としての
 「満州青年議会」
 (本土の普通選挙実施を意識)
 満州在住のプチブルや農場経営者、インテリが参集
 →満蒙の日本権益維持が総意
★満鉄:極端な東大閥社会
★満鉄の関連事業がことごとく鮎川の満州重工業に取られる
蒋介石田中首相
 箱根富士屋ホテルで会談
 張作霖(日本の傀儡)と蒋介石が休戦して、中国内乱を終結させる、という
 幻の密約
蒋介石が北上して山東省へ
 →「日本人保護」の名目で出兵せよ、の声
 田中は慎重だったが、森が強硬→しぶしぶ出兵
 (済南事件)
★「満州青年議会」開催中に済南事件が起こる
 →「山東占領」を決議
★これを機に、満鉄内に「政党」が乱立
 「権益派」VS「協和派」
  権益派:帝国の権益確保を最優先
  協和派:中国革命・統一・近代化を支援
★田中内閣:最初は森に押されて渋々出兵
 なのに3回も出兵
 →アメリカの対日世論が変化
 (第一回出兵時はむしろ日本に好意的だったのに・・)
★満鉄の起債
 ロンドンからニューヨークにシフト
 世界金融がニューヨークへシフトしつつあった
アメリカの対日感情
 アメリカで起債する満鉄には死活問題
★満鉄:投資意欲旺盛
 ある意味、アメリカの「お得意先」
張作霖爆殺・・・場合によっては、その時点で満州事変が
 前倒しで実施された可能性もあった
大川周明張作霖爆殺の後始末
★張学良:「父は日本に殺された」を直感
 →極秘に奉天入り
 →「張学良に代理権あり」という
  「作者張作霖」の偽文書を捏造して、指揮権掌握
★張学良部隊内:対日協力派と対日対抗派(蒋介石協力派)に二分
 →日本政府の圧力が高まる
 →かえって張学良は反日に傾く 
張作霖葬儀の「弔問外交」の場で、日本は張学良を恫喝
 「内政干渉と言われても辞さない」
★田中側:張学良をヒヨっ子扱い
 恫喝すれば日本に従うと甘く見た
★張学良
 「貴国天子(昭和天皇)と自分は同い年」としてヒヨっ子扱いに不快感
★張学良:奉天で易幟強行
 (旗を北京政府の青天白日旗に変える)
 奉天で演説「これは中国版大政奉還、これで中国は集権化する」
★易幟を機に、満州でも排日が横行
★満鉄の弘報(=広報)を作った高柳保太郎
 元は陸軍随一のロシア通
 芸者に恩賜煙草をあげたスキャンダルで陸軍クビ→満鉄へ
 志賀直哉などを満鉄に招待し、提灯記事書かせる
支那の排日教材がいかにヒドいか、という本を高柳が出版
★昭和4年
 「太平洋問題調査会」が京都で開催
 (今でいうダボス会議みたいなもの、各国知識人が参加)
 理事長は新渡戸稲造
★松岡が太平洋問題調査会で名演説(新渡戸も涙流す)
★松岡の主張
 「露支秘密条約で、ロシアは列強に内緒で満州に権益確保」
 →日本が進出しなくても、満州はどのみち(ロシアの)半植民地になったはず
★田中内閣:張作霖爆殺を天皇に説明できず辞職→浜口内閣
 同時に幣原内閣復活
 幣原の部下、佐分利公使・・・箱根富士屋ホテルで怪死
 公式発表「自殺」
 右手にピストル・・・彼は左利きなのに?
★張学良:対ソも強硬
 ソ連の東支鉄道を武力接収試みるも、失敗
★今度は張学良は「非武力」で日本に対抗しようとする
 満鉄のライバル線建設へ
★大連に対抗できる港湾を遼東半島西側に建設する計画(オランダ・アメリカ資本導入)
★昭和4年:満州大豆は全世界の大豆の60%占めた
★現代のアメリカ大豆産業・・・実は満州大豆の農業技術を移入したもの
★対満投資:日本の対外投資の6割を占めた
★大豆輸送:満鉄VS東支鉄道VS張学良
 東支鉄道&ウラジオ経由で輸出?
 満鉄&大連経由?
 張学良鉄道&張学良新港経由?
★張学良の鉄道:運賃が半額な上、「銀建て」にした
 満鉄は「金円建て」
 →金銀為替差で満鉄敗北
張作霖=豪傑、張学良=クール
★満鉄付属地に税関作り、満鉄経由輸出に課税
 しかも、正式の官吏でなく「請負制の官吏」なので、日本が抗議しても通じず
 又、日本資本企業従業員にストけしかける
★張学良の「非暴力的排日」で、満鉄は経営不振に
★山本総裁の次」仙石総裁・・・親憲政会、親三菱
 社内の人望少なく、おまけに糖尿病
★満鉄立学校:高給で教師引き抜き
 しかし、高給なだけではなかなか集まらず
 →師範学校設立へ
伊藤博文の六男も満鉄へ
樺太庁北海道庁に住み切れぬ人材が行く
 台湾総督府:官僚制度好きの人材が行く
★満鉄社員、村田の文書
 「エリート社員が奥地に行きたがらないことが満鉄不振の一端」
 「南京虫を嫌がっているようでは駄目」
★満蒙占領陰謀:様々なプランが乱れ飛ぶ
★仙石総裁の次の内田総裁・・・事変を日時まで予期していた
★満鉄内で、ある程度「事変」は予期されていて、
 その際の満鉄の対処法もシミュレーションしていた
★ロシア通の調査員、宮崎正義
 「満州国」のグランドデザイン作る
 彼は戦後日本の復興計画も作った。
 癌で急逝しなければ、戦後一の大物になっていた。
★中国の木材税の「非合理」
 本数比例課税(大小や長短を無視。どれも同額課税)
 →日本の官吏が「これは非合理」として、
 「一本一本の大小に応じた課税に改めた」
 →業者は今まで手間ひま掛けて、山奥の大木を切っていたが、
 大小比例課税に改まった途端、手間ひま掛けずに
 「手っ取り早く川の近くから一斉に伐採」
 →スグ禿山に
 教訓「一見非合理な規定・慣習も、それなりに意味がある」
満州事変:国際的空白時に起きる
 アメリカ:大恐慌
 イギリス:マクドナルド内閣が総辞職
 ソ連:第一次五カ年計画の途中
★松岡」事変の知らせに一時動揺、「外交は破産した」と思った
 ・・・松岡は根は外交官
関東軍:「顧問」として、法学者の派遣を東京に要請
 (国家作りの法的ブレーンが必要)
関東軍軍縮で金欠
 関東軍:実業家に借金して事変起こした→借金返せない
 実業家「真相を英文にして、欧米にばら撒く」と恐喝
 →満鉄に資金で泣きつく
朝鮮軍の援軍:東京の不拡大方針で援軍できず
 →甘粕が吉林の治安を乱して、
 「吉林法人の保護されたし」と「援軍の名目をでっち上げ」た。
★十河理事:積極的に関東軍に協力
★十河理事:一時阪神の顧問に
 阪神を京都延長して京阪神急行にする構想をすすめた
 (小林一三が反対)
 そのうち阪神社内で不祥事があって、計画頓挫
★十河:一時映画制作に嵌る→フィルムが火事に遭い、足を洗う
 (火事がなければ映画人になっていた)
★幣原:内田を満鉄総裁に推薦→内田が豹変
★民間から、事変へ「義勇軍」を募る動き
 それ程までに民間人は事変を支持