読書ノート 満鉄調査部 6

★事変後の奉天:物資不足状態
 →イギリス系の藩海鉄道を復興させる案も
 表向き藩海鉄道は「排日」だが、給与遅配で従業員は経営者から離れていた
 関東軍でなく、満州中間層の「満州青年連盟」がお膳立て
満州国構想:「理想の民主主義国家を作りたい」という勢力もあった。
 大統領制案も
★石原、土肥原などは共和制を主張
 板垣は溥儀に固執。溥儀擁立の背後に森、大川
★溥儀擁立:満州青年連盟には不評
 「あほらしい、溥儀のために死ねるか!?」
 建国に功労していない人物を首班に据える必要ない
★「清朝復辟は漢民族の反感を買う」
 民族協和に逆行
★仮に漢族の中で信用されている人物をトップに据えておけば、
 満州国への中国人の心証は良くなっていた?
関東軍
 「新国家の公文書に日本語の訳文付けろ」
満州青年連盟が地方へ指導員派遣
 指導員は支那側公吏に対し命令
 形式は兎も角、実質は日本の占領国家
★政友会犬養内閣
 犬飼地震満州での中国主権を認める考えだった
 内閣書記官長を務めた森と閣内対立、5・15の遠因に
★溥儀:「執政」
 「5〜6年、徳治をすれば、皇帝にしてあげる」
 満州青年連盟内の共和制論に配慮
★満鉄の笠木:満州国内に「資政院」を設置
 ・・・純情な熱血漢が多く、関東軍と対決
 理想家の笠木「ガンジーを資政院に迎える」
★満鉄の本拠=大連
 「いつまでも大連でいいのか?」
 今後の開発中心は北満→北満に本社移転すべきでは?
関東軍:「調査部とは別の調査機関を奉天に作れ」
 →経済調査会発足、十河が委員長
 レポートは満鉄総裁を通さずに直接関東軍
★経済調査会のテーマ
 「日本人の満州入植をいかに増やすか?」
リットン調査団:本来の調査そっちのけで、自らの中国研究の
 調査ばかりする団員も
★満鉄内に経調解散論と拡充論
★「経調が関東軍に対する防波堤になっている」
★満鉄:拓務大臣所管
 →関東軍は自軍の所管にしたかった
関東軍:満鉄分割案
 持ち株会社の下に各事業がぶら下がる
 鉄道、鉱山、発電、ガス、農業、・・・
★満鉄分割案:満鉄社員が東京日日新聞にリーク 
 →満鉄株暴落
★鉄道部門社員の中には分割案に賛成する者も
 (赤字部門が邪魔と考える)
★満鉄:法でなく勅令で成立
 →改組手続きも議会・枢密院の承認は不要
★満鉄社員による中央政界工作(分割阻止)
★結局満鉄は分割されなかった。その理由は不明
張作霖爆殺の河本:満鉄分割に反対
満州国関東軍満州開発5ヵ年計画」
 満鉄が農村基礎調査を実施
関東軍=新京、満鉄=大連
 「新京が・・・」と地名が隠語化
 (「永田町が・・」「霞ヶ関が・・・」と同じ)
関東軍「満鉄は運賃が高い、独占会社だ」と批判
椎名悦三郎:商工省から満州国役人に
★椎名「満州国行政官の立場からすると、満鉄の調査は鉄道経営に関係する
 調査しかしていないので、使えない」
満州国、満鉄、関東局で権限争い
 →調整するのは関東軍
★内地からの派遣官僚
 「昭和16年を国際的有事の年とする」との目標を与えられた
 ・・・昭和16年に何をするつもりだった?
満州に行った人
 上も下も、「自分の親方は日の丸である」と意識
 →「親方日の丸」の言葉のルーツ
★軍内部:三派に分かれる
 「華北進出」「対ソ進出」「満州確保」
★石原を中心に「満州国産業開発5ヵ年計画」策定→東条が弾圧
★浅原健三
 日大法科→日本製鉄→スト指導(バリバリの左派)→転向
★浅原:石原を総理にする構想を練る→東条が弾圧
★西南中央銀行構想
 イギリスの香港上海銀行に対抗したい
 関東軍が構想し、十河に協力迫る
 高橋蔵相が「イギリスと全面戦争になる」と反対し、頓挫
★「興中公司」昭和10年設立
 満鉄の華北進出の足がかり
 板垣征四郎や森が奔走
★松岡:駐米大使になりたかった
 →姉の反対で満鉄総裁になる
 →腹心をニューヨークに送り込む
ウォール街とワシントンで、極東政策の考えにズレ