【9/5⇒10/6 ダッバーワーラーの非合理】

9月22日
★以前テレビかネットかで、インドムンバイの「弁当配達業」、ダッバーワーラーを紹介してた。内容は「驚異の誤配率の凄さ、スゴイ」とダッバーワーラーを誉め称えるトーンだったが、自分は逆に「ダッバーワーラーみたいなシステムを温存してるインド社会の非効率性」が強く印象に残った
★日本人の合理的思考なら、弁当を個別個別配送するのは「著しく非効率」でしかなく、まとめて弁当屋が大量販売する。それが出来ない、と言うのは、恐らくインド社会が食材タブーが多すぎ、宗派毎に「食べられる食材、食べられない食材」が入り組み過ぎてると言うこと
弁当屋による「大量の中食供給」と言う合理的経済活動を、宗教的タブーが邪魔してる/ひょっとしてカースト毎に食材タブーが違うのか?
★ネット見てると「愛妻弁当でなきゃダメ」的理由がダッバーワーラーが続いてる理由でもあるらしい。一見微笑ましい理由だが、インド社会における異様な迄の女性の地位の低さを見てると、額面通りには受けとれない
★嫁入りするのに多額の持参金いるとか、だから貧困家庭では女児の出生は嫌がられるとか、それゆえ非合法な女児堕胎横行でインドの男児女児性比が著しく男児過剰とか
奥さんが「自分が弁当わざわざ作ってダッバーワーラーに届けさせるより、ムンバイ都心の弁当屋やコンビニで弁当買えばいいのに」と内心思っていても、それを言い出せない位にまで亭主が絶対権力だったりして
★恐らく「妻に弁当作らせて、ダッバーワーラーで届けさせている」ことを、会社の他の同僚に見せつける、それ自体が「俺は家庭を支配してる、亭主関白なんだぞ」と周囲にアピールすることになり、インド文化では必須事項なんだろう
★昔の日本の企業文化では「課長がマーク2に乗り、部長はクラウンに乗る」的なお約束があった。そこでは乗用車購入は純経済行為、合理的経済活動というよりは、「社内カーストを可視化させる記号消費、文化消費、非合理的消費」だった/インドのダッバーワーラーも似たようなものなのかも
★他国の文化習慣、食習慣を批判するのはタブー。だからダッバーワーラーの誤配率の少なさを称える番組や記事は成立するが、「そもそもダッバーワーラーって、非効率じゃん?」的な「素朴な疑問」は、表立って記事には出来ない。自分みたいなKYな個人がツイートするしかない
★「暖かい食事を食べたい」というのも、一見もっともな理由。しかし「世界一効率社会を目指す日本」では、「味よりも価格よりも、とにかく速く食べられること」に価値を見いだす人もいる。特に若年男性。牛丼が受けてるのは、「安い」より「旨い」より「早い」
★日本社会の、少なくとも一部の企業戦士では、「個人の味覚、食道楽より、効率性を重視する」価値観が定着しており、それが日本社会全体の効率性アップに寄与してる。ダッバーワーラーによる「美味しい愛妻弁当」を重視するインド社会は、そこまで徹底した効率至上主義になりきれない、ということ