【介護研究を公費で行え】

2月8日
以前借りた雑誌ニュートンに「パズル特集号」があった。その中に、「セールスマンが得意先周りをする場合の最短ルートを求める」という命題には「解法が存在しない、スーパーコンピューターでもそれは解けない」と書いてあって、少しビックリした。てっきり解法は存在すると思いこんでた。
ところが、先日日経に「訪問介護会社セントケアは、千葉銀系のIT会社に、訪問介護の最短ルート検索システムの開発を依頼」という記事があった。じゃあ、ニュートンの記事は嘘だったのか?/力技で全部のルートの距離を演算して、比較してるのか?
千葉銀系のシステムは、介護者の資格・スキル・体力、被介護者の要介護度に合わせた最適訪問ルートを演算算出する優れものらしい。/介護事業者内で、この「介護ルートの作成作業」というのは、実は相当な作業量らしい。しかも、苦労して作成した訪問ルートは、最短ルートとは限らない
被介護者の健康状態は日々変化する。介護提供者側も日々変わる。どちらかが「急病で今日は行けない/行く必要ない」という事態は毎日起こりうる。だから訪問ルート作成作業は毎日発生する。自販機ドリンク補充ルートなら固定的だが、訪問介護ルートは極めて変動的
このニュースを見て、「ニュートンの嘘つき」と感じたのと同時に、「介護事業には、まだまだIT導入で合理化する余地はあるんだろうなあ」と感じた/更に「でも多くの事業者は、こういう合理化投資をする余力がないんだろうなあ」とも感じた。業界大手のセントケアだから投資できた
しかし、零細介護業者が合理化投資すら踏み切れすに、非効率が温存されてしまうのは、単に零細介護業者が困ってるだけの話じゃない。我々の介護保険財政にも直結する話。/つまり、この手の合理化研究を、介護業者任せで放置するのでなく、厚生労働省が費用出して研究し、介護業者に無償還元すべき話
農林水産省が税金で「新品種」の開発研究して、その結果を農家に還元してるのと同じ。個々の農家は零細過ぎて、個々に品種改良研究する資金も時間も能力もない。しかし農家が品種改良しないのを放置してると、社会全体にマイナス。だから国が税金で研究することに合理性/介護も全く同じ
セントケアも、この最短ルート検索システムを一社で独占する、というシブチンなことを言わずに、ぜひ他の介護業者にも広く開放して欲しい