セーフティネットとしての零細農業

7月2日

トカイイシキタカイ民の中で、「平均的コメ農家が、コメでどれ位収入を得ているか?」を知ってる人は殆どいないと思う。クイズしたら「うーん、200〜300万程度は貰ってるんじゃないかなあ」と回答するのでは?
実際は50万円程度の収入しかないのだが、それをトカイイシキタカイ民に言ったら「桁を間違えてませんか?」とまず「信じようとしない」。実際、自分が複数のシティボーイにこの話をしたら、最初は信じてもらえない
マスコミとか経団連界隈の農業改革、コメ改革論議で、ちゃんとコメ農家の収入額を「桁を間違わずに」把握してるコメンテーターがどれだけいるのか、不安
年収50万円が平均的、のカラクリは「第二種兼業農家」と「コメ農家の農作業は土日だけですんじゃう」から。その辺のカラクリを知るトカイイシキタカイ民も少ない
自家消費と、親戚知人にお裾分け、で終わってしまう(つまり商業的に出荷しない)少量生産コメ農家も多いからな。せいぜい数十俵しか生産しないような農家。農家と呼べるかどうかも疑わしい
EUが農家の定義を定めてる。「何ヘクタール以上耕作して、いくら以上出荷して」/日本の農家をEU基準に当てはめたら、大半の農家は「EUが定義する農家ですらない」らしい。
自家消費プラスアルファしか生産しない「なんちゃってコメ農家」がそれでも減らない理由は、彼らの中で、コメ生産が一種の「ベーシック・インカム」「家計安全保障」「家計保険」の役割を果たしているから、というのもある。「何かあっても、田畑さえあれば、まあ飢え死にしない」の安心感は大きい
ソ連崩壊後のロシアが、経済が混乱しても飢え死にしなかったのは、モスクワ市民でも郊外に「ダーチャ」という家庭菜園を抱えていて、何とか自給自足できたから、という話がある。ダーチャが食料安全保障の役割果たした
終戦前後って、一番農村が都会よりも優位だった時代/横溝正史は、戦前はシティボーイで、作品も都会的だった/しかし田舎に疎開せざるを得なくなり、田舎の「豊かさ」に触れた彼は、戦後一転して田舎をテーマにした作品ばかり執筆するようになる
コメ零細農家が、ほとんど収入もなければ、労働時間もない(土日のみ労働でOK)ことを計算したデータ。5年前の計算を発掘。http://www.geocities.jp/surutto_kanto/df/agri.pdf