リタイア忌避する日本男性のお陰で、年金財政は悪くない★

1月14日
年金が「見込より2〜3割程度少なくなる」ことはあっても「半額以上減る」ことは現状考えづらい。「半額以上減る、破綻する」と不安煽って商売する金融機関・雑誌テレビは猛省すべし / “老後資金:45%が「準備ない」 でも大事なものは… …” http://htn.to/JCJ48R

年金については、確かに「実現不可能な資金運用利回り」で計算してたりして非現実的ではある。出生率回復も甘い予想/しかし一方で、「70歳近くまで、年金を受け取る側じゃなく、年金を払う側」に回る人も多い。雑誌が煽るほどには、年金財政は悪化してない

65歳以上高齢者の「就業率」国際比較データを見ると、日本は突出して高齢者就業率が高い/社会学者は、その理由を「日本の年金水準が低いから(現役時代所得代替率が低い)」の一言で説明している/実際年金水準が低いから、の理由も多いだろうが、それだけの理由か?

高齢者で働いている人のうち、「経済的理由でやむなく働いている」という人もそれなりにいるだろうが、「経済的には働く必要もない」のに「リタイアするのが怖い、リタイアすると生きがいが無くなる、自分の居場所として職場が欲しい」という「精神的理由でリタイアしない人」も、日本では多いのでは?

「経済的にはリタイアしても全然Okなのに、精神的にリタイアするのが怖いから、現役にしがみつく、リタイアを遅らせる」現象を「リタイア・モラトリアム」というらしい。

成人になるのに、社会によっては「通過儀礼」を行うケースがある。昔の日本の元服式、今の成人式、未開部落ではバンジージャンプ、韓国では徴兵制/今の日本では成人式は通過儀礼になってない。だから「精神的に大人になれない、なりたくない20歳以上」が増えてる/老人も同じ

60〜70歳男性にとって、「退職」とは一種の「老人としての通過儀礼」。しかし、「自分は老人だと認めたくない、精神的永久青年」が増えているため、「老人としての通過儀礼であるリタイア」を極力後倒ししようとする日本人男性が多い、それが「60歳代後半の異常な就業率」の正体では?

ちなみに、日本の平均リタイア年齢が69歳程度なのに対し、フランスは60歳を切っているらしい/かの国では、「老人になることを受け入れる」精神風土があるのではないか?

ここで大胆な仮説を書いてみる。「日本のリタイア年齢の後倒しの背景として、孫が出来る年齢の後倒し、ないし孫無し老人の急増」が関係しているのでは?/「孫が出来る年齢の後倒し」って、長ったらしいので、一言で「晩婚化」ならぬ「晩爺化」と称することにしよう

「老人としての通過儀礼」として、「仕事のリタイア」に匹敵する、いやそれ以上のイベントが「孫が出来る」ことである。孫を抱くことで、「ああ自分も老人の仲間入りした」と実感することになる。

いくら「リタイアを後倒しして、永久青年を気取ろうと」したところで、生物学的な「祖父母になった」という事実は変えられない。しかも慶事である(と思われている)/リタイアを拒否して永久青年を気取ってた人が、孫が出来てしまったことで、『自分は老人であるという現実を受け入れて』リタイアする

ところが、最近の子供(といっても、60歳代シニアの子供だから、まあ30歳代)はなかなか結婚しないし、結婚してもなかなか孫を作ってくれない/その結果、少し前なら60歳になったら過半数の老人が「孫持ち」だったのが、最近では65歳、70歳・・・と「晩爺化」が進行している

その結果、以前なら還暦と同時に孫持ちになり、「これで人生一丁上がり」とリタイアに踏み切っていたのが、65歳・70歳と晩爺化することで、どんどん「人生の上がりの見極め時期」が後倒しされてくる。結果、リタイア年齢も後倒しされる。

日本版CCRCがなかなか実現しない一因が、この日本独自の「リタイアモラトリアム・メンタリティ」/ここまでリタイアを嫌がる、老人通過儀式を嫌う国民性だから、リタイアタウンなんて成立する訳がない

ちなみにお隣の韓国も、高齢者就業率は高いらしい。日本以上/韓国が「年金制度が不備だから、高齢者就業率が高い」のかどうか、わからない/ただ、韓国は日本以上に晩婚少子化の国。ひょっとして「晩爺化」で、「老人になることを認めたくない高齢者」が増えているから、韓国就業率は高いのか?

まあ、晩爺化は、年金財政的には喜ばしいのかもしれない。/高齢者の幸福度・満足度的にはどうなんだか/孫持ち老人の方が、孫なし老人より、統計的に有意な確率で「健康」なんじゃないかと思う。孫が生きがいと化し、健康にプラス/ということは、晩爺化は、高齢者医療費を増やしてしまってマイナス?

先日、「9000万円溜めて、早期リタイアを考える2ちゃんスレ」というのを読んでいたが、「経済的には働かなくても全然かまわないのに、近所や世間の目があるから、仕方なく働いている」という人の書き込みが結構多かった。恐らく相続で1億円とか2億円とか手に入れた人のカキコ

2億もあれば、薬品会社とかみずほ銀とかの高配当株式に突っ込めば、利回り3%で年間600万円の配当収入が得られるから、一生遊んで暮らしていける/ところが、そういうライフスタイルすら世間の目で否定しちゃうのが今の日本。個人的にはツマラン国だと思う。

老人儀式を拒否する60歳代、とツイートしたら、「形として、老人式みたいな儀式が必要では?」のツイート返しが複数。確かにリタイアを拒否し、孫もいない今の60歳代へは、「老人式」で以て半強制的に「老人の自覚」を持ってもらう必要があるかも

2015年9月15日の横浜市老人式の式次第。「認知症予防講座」「振込詐欺に注意しましょう」「子どもへの結婚のすすめ方」「CCRCはいいですよ〜」

遺産で2億とか5億貰った人は、それ相応の相続税も支払ってるし、また運用配当へは(NISA限度額を超えるから)それなりに課税はされるのだから、正々堂々と「働かずに、遊んで暮らして」欲しいんだな。こういう人が堂々とアーリーリタイアしてくれないと、日本にリタイア文化は根付かない

子どもの結婚が後倒しになってるから、「子どもの結婚の時までは、肩書を維持したい」という理由で現役続けている60歳代って、結構いるような気がする。リタイアしちゃうと、披露宴とかで大きな顔が出来なくなっちゃう。

太宰とか、「一生働く必要がなくて、実際働いてなかった」人の文学だもんな。あのころは、一生働かなくても許されていた。

外資系とかで、年収2,000万円的な人って、それ20年勤続したら生涯年収が4億円。40代半ばでリタイアして、十分bおつりが来る/でもそれでリタイアした人の話をあまり聞かないのだが、後ろ指刺される日本を脱出して、海外に高飛びしてるのかな?

1月15日

ちきりん女史だったか、「日本人はリタイアしなさすぎる」とブログに書いていた/ちきりん女史の言説は評価分かれるが、この「リタイアしなさ過ぎる」言説には激しく同意

AさんとBさんは60歳時点で、いずれも7000万円持っていました/Aさんはその後も働き続け、70歳まで毎年200万円づつ貯蓄を上積みました。年金も払いました/Aさんは70歳時点で財産が9000万円になりました。これから退職して人生楽しもうと思った矢先に、70歳で亡くなりました

一方Bさんは60歳でスパっとリタイアし、毎年400万円ずつ消費しました。65歳からは年金収入が200万円入ってきますが、70歳の時点で7000−400×10+200×5=4000万円まで貯金は目減りしました。それで70歳で急死しました。

・・・というAさんBさんを想定。言うまでもなく、日本の多数派はAさんである/年金財政だけ見れば、Aさんが多い方が望ましい/でも、日本経済全体を見れば、Bさんの活発消費による波及効果の方が、年金財政への寄与より、大きいのではないか?

Aさんの子供は9000万円を相続、Bさんの子供は4000万円を相続。Aさんの子供は「得した、ラッキー」と思うだろう/しかし、Aさんの子供が、この差5000万円をそのまま消費に回すとは限らない。恐らく、この5000万円分が消費で使い切られるのに20〜30年かかる

そう考えると、Aさんの子供(或いは孫世代)が「Aさんが60歳代で溜めた5000万円を、20〜30年のタイムスパン後で使い切る」経済効果より、「Bさんが、今(2015年)使い切る」経済効果の方が、乗数効果も考えれば、効果大なんじゃないか?

そう考えると、今日の毎日新聞記事にあるような「年金制度が崩壊するような言説を煽って、シニアに過剰な家計防衛を仕向けるような雑誌記事」というのは、日本経済にとって百害あって一利なし

いろいろ書いたが、自分の最終目標は「30年後に、孫が寄り付く爺になること」だから/孫が寄り付かない爺ほど悲惨なものはない

1月16日

世界23カ国調査の結果、「働く必要があると考える年齢」より、「リタイアしたいと思う年齢」が上回ったのは「日本のみ」/日本人のリタイア拒否症状は重症 / “定年より長く働くことに高い意欲を示す日本人 (@DIME) - Yahoo!…” http://htn.to/5yXwe3

『日本では、「働く必要があると考える年齢」が60歳に対し、「リタイアしたいと思う年齢」が62歳で、調査対象23の国と地域の中で唯一「より長く働きたい」と考えていることが分かりました。』

『日本国内では、性別、学歴、職位問わず、「リタイアしたいと思う年齢」が「働く必要があると考える年齢」を上回る結果でした。学歴による差はありませんでしたが、性別では男性、職位では特に管理職が、より長く働きたいと考える結果でした。』

『管理職の方が長く働きたい』という調査結果は、すなわち、日本人のリタイア後倒し現象が、経済的理由に起因するものではないことを裏付けている。管理職なら、経済的には『働く必要がない』のに、あえて働いている。

恐らく、管理職の『まだまだ若いモンには、ウチの会社は任しておけねぇ』という訳判らない『責任感』が、リタイア先延ばしにつながっているんだろうなあ。

これ是非とも、「年収・資産」と「いつまで働きたいか?」のクロス統計を見てみたい/諸外国だと『年収資産が多いほど、希望リタイア年齢は低い』の相関関係だろうが、日本だと『年収資産の多寡と希望リタイア年齢は無相関』、ないし海外と逆相関の可能性も。

猛烈な勢いで、80〜90歳台「生前、使えなかった数億円の遺産」の、子世代(50〜60歳台)への移転が進んでいる/1億の遺産を手にした人はさっさとリタイアすればいいのに、それを許さないのが日本社会 / “相続が量産する富裕層 節税の…” http://htn.to/KMijDEGr