助成金の申請コストを可視化せよ

9月28日
女性活躍助成金の件、年収500万円の職員が、「制度概要の調査」「社内稟議」「書類作成」「書類提出」するのに、まあ延べ5日間は必要だろう。/年収500万円社員は、稼働日数で割り算すると、日給2万円。だが、企業負担の社会保険料とか考えたら、企業の持ち出し人件費は一日当たり3万円

つまり、年収500万円の社員に、女性活躍助成金の申請手続を5日間やらせるだけで、企業は15万円の利益を逸失していることになる。/大企業の助成額が15万円一回限りだから、「申請作業コストが、申請額を上回る」可能性も高い

企業の行動を変容させるには、企業が負担する実質手続作業コストを把握して、コストの数倍の助成額を用意して設計しないと。お役所みたいに「人件費はタダ」という発想は、民間にはない

ただ、企業がこういう助成金を貰う場合、「助成金そのものが目的」じゃなく、「助成金を貰ってる、という事実そのものを、広く対外的にアピールして、企業ブランド向上、そして人材獲得したい」の目的な場合もある。/要は「くるみん」マークと同じ

三井不なんかが、スマートシティで補助金貰ってる。でも、貰える補助金はせいぜい300万円で、申請手続きだけで、高給取りな三井不社員の人件費持ち出しで、採算に合わない/にも関わらず、三井が補助金貰うのは、企業ブランドアップと、マスコミに記事化された場合のメリットが大きいから

だから、今回の女性活躍助成金は、助成金額のメリットそのものより、「女性活躍助成金を貰えるだけの、ダイバーシティな企業だというお墨付きを、厚生労働省が行いますよ、企業アピールになりますよ」なアプローチが、実は正解

因みに、企業に助成金を15万円支払う際に、企業側の申請事務コストは15万円を超えそうだが、役所側も、窓口職員の人件費を計算したら、軽く15万円を超えそうだな、、

たまに仕事で、国土交通省とか経済産業省とか環境省とかの補助金を調べるが、「これ、申請手続きだけで、企業の人件費が補助金額を上回るじゃん」な補助金が実に多いんだが、あれは「補助金そのものを、メリットとして考える」んじゃなく、「役所のお墨付き効果」をメリットに考えるべきなんだな

あと、「誰も利用してくれない補助金」について、役人が大企業に「利用を押し付ける」なんてのもある。ある程度の利用がないと、翌年から補助金予算が打ち切られらからね

大企業には、国土交通省からの天下りなんかがいる訳で、彼らが、後輩の役人からの依頼に応じて「三井さん、国土交通省の○○補助金を、使ってくれませんかねえ?恥ずかしながら、一件も利用実績がないんですよ、、」と利用を押し付ける

今回の「女性活躍助成金」の実績がゼロなのは、「厚生労働省の、大企業への天下りが少ないから」というのが真相なんじゃないか?助成金を押し付ける先が、いなかった/製薬会社なんかは厚生労働省天下りがいそうだから、協力してあげても、良かったのに。

今後、こういう助成金の制度設計する場合、「助成申請するのに、マンパワー的に何日掛かるか?」を役所側が時間計測すべきじゃないか?「この申請には延べ3日しか掛かりません」「この申請には延べ5日掛かります」というのを実計測し、公表する

企業の側からすれば、「申請手続作業が、一体延べ何日掛かるのか、読めない」点が、申請に躊躇させるというのもある。「申請作業がどれくらいなのか」、可視化すれば、多少は申請が増える