1.リーガルリテラシーなしの裁判員制度は崩壊する

取り挙げようと思いながら取り上げる機会がなかったが、
憲法第18条違反の稀代の悪法、裁判員法が全会一致(!)で成立した。

で、国民の関心は、当然の如く盛り上がらない。
そういう状況を変えたいためか、このようなニュース。

読売新聞HP
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040731i204.htm
中学校で生活に必要な法律授業、法務省が副教材作成へ

 中学生に社会生活で必要な法律について学んでもらうため、法務省は、
契約の結び方や、悪徳商法への対処などを題材にした副教材を作成する
ことを決めた。
 文部科学省の協力を得て、2005年度から全国の中学校で本格的に
導入したい考えだ。
 副教材は、法務省が昨年7月に設置した有識者らによる
「法教育研究会」(座長・土井真一京大教授)が今年秋に作成し、法相に報告する。
 副教材に盛り込まれるのは、「憲法」と「司法」のほか、契約のあり方、
悪徳商法対処などを扱う「私法(消費者保護)」、ゴミ収集場所に関する
町内会規約などといった社会生活を円滑にするための合意形成を取り上げる
「ルールづくり」の計4分野となる。
 「司法」では、検察官や裁判官、弁護人の役割を紹介するのに加え、
2009年5月までにスタートする裁判員制度にも触れる予定だ。
 中学3年生を対象に、4分野でそれぞれ年間3時間の授業内容を想定している。
法務省は、9月に都内の中学校などで模擬授業を行って、副教材づくりに反映させる方針だ。
 同研究会は副教材に加え、法律教育に関する報告書を今秋、法相に提出する予定だ。
この中では、〈1〉裁判官や弁護士らによる出前授業〈2〉学校教諭を対象とした
法研修――などの例を挙げて、最高裁検察庁、日本弁護士連合会が法律教育に
参加するよう求めることにしている。
 現在の学校教育では、法律に関して、憲法の基本原理や、司法制度の仕組みと
いった抽象的な知識を教えることが中心となっている。一方、法の趣旨やルール
づくりを理解させる指導が不十分だとの指摘が出ており、これが米国などと比べ、
日本人の法律への関心が低い一因ともされてきた。

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しかし、裁判員法は、「素人」に刑事罰の運用を「強制」する、というトンデモ
法案なので、素人に「刑法」「刑事訴訟法」場合によっては「民法」も
知ってもらわないと話にならない。
民法」など、T大法学部の人間でも、大学時代に必死に勉強しても、
モノにならないシロモノである。
刑法は民法より多少易しいかもしれないが、刑法をめぐる2大学説、
「結果無価値」と「行為無価値」位知っていないと、裁判員はできないんじゃないか?

で、この刑法の学説等は、中学校で教える必要があるのです。
裁判員は中卒の人も「強制」される可能性がありますから。
まあ、週1回「法律」という時間割がないと、モノにはなりませんね。
学習指導要領変えて、高校の入試科目にも「法律」を入れて、各中学校に「法律」を
教える教師を雇って・・・
今の教師が法律教えられる訳ありませんから、弁護士に高い時給払って雇うんでしょうなあ。

高知県西部とか島根県西部とか、「無弁護士地域」の中学校は、どうするんでしょう?

考えれば考えるほど、裁判員制度維持の為のリーガルリテラシーの維持は、
膨大なコストを要します。

早くこんなナンセンスな制度、撤廃した方がいいよ。