政治ブレーク(19) ハンセン病の行政府の責任

政治ブレーク(19) ハンセン病の行政府の責任
(なんでも掲示板 01年05月 投稿済)

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ハンセン病訴訟の真相 投稿者:スルッとKANTO@管理人 投稿日: 6月26日(火)22時54分42秒
  政府としては、敗訴やむない、という考えだったのだが、いざ判決が出てみると、
  「国会と厚生省の責任」と書かれたことにカチンときて、控訴を検討した、というのが真相。
  つまり、国会(=立法府)は「立法の不作為」を言われても止むを得ない立場だが、
  行政府(=厚生省)は、立法府の決めた法律を粛々と実施するのが本分です。
  それを、立法府の法律を超えて「ハンセン病隔離をやめる」と口を出すのは、行政府の
  立法府(=国権の最高機関であり、国民の意思)に対する越権行為なのです。

  ・・・と某役人が語ってました・・・

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いろいろ 投稿者:まる 投稿日: 6月27日(水)01時12分46秒

>行政府(=厚生省)は、立法府の決めた法律を粛々と実施するのが本分です。
>それを、立法府の法律を超えて「ハンセン病隔離をやめる」と口を出すのは、行政府の
>立法府(=国権の最高機関であり、国民の意思)に対する越権行為なのです

これは本当の話ですか??

                                                                                                                                                              • -

中央官庁公務員は民主的すぎる? 投稿者:あじあ号 投稿日: 6月27日(水)12時16分12秒

>>行政府(=厚生省)は、立法府の決めた法律を粛々と実施するのが本分です。
>>それを、立法府の法律を超えて「ハンセン病隔離をやめる」と口を出すのは、行政府の
>>立法府(=国権の最高機関であり、国民の意思)に対する越権行為なのです
>これは本当の話ですか??
ええ。このとおり高校の社会科で憲法について教えられているはずですが。
法律で隔離することとされていれば、隔離するのが行政府(厚生省)の義務です。
それほど不思議なことでしょうか?
ハンセン病訴訟判決についても、控訴はしなかったものの、政府声明で、立法不
作為(=隔離を定めたらい予防法を廃止しなかったこと)に行政府は責任はない
としてます。国会が法律を制定改廃することに行政府は関与できませんから。
実際中央官庁職員は、同じ大学学部卒業者で、他の分野に行かれた方よりも、むしろ
国会による行政のコントロールを厳格にとらえています。
内閣提出法案といえども、それを国会で成立させるためには、国会議員、政党への入
念な説明が必要であり、行政が独裁的に振る舞っていると思っている人は中央官庁に
詳しい人の中にはいないと思います。
ただし、行政(法)関係者以外の、一般国民(「まる」さんのような学歴職歴をお持
ちの方も含む。)がそれがおかしいと考えるのならば、中央官庁の公務員は、国民一
般よりも「民主的」過ぎることが問題なのかも知れません。

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(無題) 投稿者:まる 投稿日: 6月27日(水)12時49分58秒

三権分立という原則は知っていても、一般的な感覚からすると、
日本政府と言った場合、指しているのが内閣なのか、国会なのか
いいかげんなイメージしか持っていない。

今回の場合は、法律に忠実に従ったために起きた事件だから、
内閣でなく、国会の責任となり、
法律違反を黙認したような事件は、国会の責任でなく、政府の
責任になるのだろうか?

内閣というか、日本政府と言うか、すなわち厚生労働省
現状を見て、らい予防法を改正しようなどという働きかけは
できなかったのか。できたとしても、しなかったところには
責任がないということなのか。

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民主主義=無責任行政 投稿者:あじあ号 投稿日: 6月27日(水)16時10分12秒

>厚生労働省が現状を見て、らい予防法を改正しようなどという働きかけは
>できなかったのか。できたとしても、しなかったところには責任がないと
>いうことなのか。
ハンセン病国家賠償訴訟の熊本地裁判決は、この責任を認めているのです。
(その点でこの判決は行政法の分野では驚かれているのですが)
技術的な話になりますが、国家賠償法による国家賠償は国が法律に違反する
行為を行った場合(裁判所の誤判も含む。)に賠償義務が生じますが、そも
そも行政機関が従うべき法律自体が違憲だったらどうするかについては、
最高裁は、一義的に違憲なような法律ならば、賠償義務が生じることもあり得
ると判決しています(ただし、認められた実例はない。)。
熊本地裁も厚生省がどうやってらい予防法を廃止させるのかについては、明確
には述べていません(そりゃそんな権限ない。)。
厚生省が法律の改廃を国会に働きかける「権限」は、一般国民が国会議員に陳
情するのと同じです。お願いすることができるだけです。
内閣から法案を提出できますが、もちろん通常通り審議されます。厚生省は法
律を制定してほしいというただのお願いができるだけです。
たとえば、核兵器について「科学者に責任がある。科学者が政府に核兵器をも
たないように働きかけなかったからだ。」というのと同じ議論だと思いますよ。
もちろん、このような法律論は社会一般の常識と違うかも知れません。
そうすれば、法律論(役所の論理)は、国民一般よりも、より、国会のコント
ロールを重視した民主的過ぎる点に問題があるということになるでしょう。
ちなみに、明治憲法には、緊急の場合法律を改廃制定できる緊急の行政命令(
緊急勅令)の制定権が内閣にはありました。(この緊急勅令により治安維持法
を改正し、重罰化して最高刑を死刑とした。)
そんなものがあった方がいいということでしょうか?
このような議論は無責任だとお考えかも知れませんが、民主主義社会における
行政とは、ある意味、独裁国家の行政よりももっと無責任でなければならない
のではないでしょうか?憲法に書いてますが、国会こそ国権の最高機関です。
そういう国会の議員を国民は選んでいるのです。露骨に言えばハンセン病患者
を隔離していればいいという議員を国民(の多数)は選んでいたのです。

(別に厚生省の擁護をするつもりはなく、また、ハンセン病患者さんの救
済に反対する意図がある訳ではありません。)

ハンセン病訴訟熊本地裁判決骨子
http://www.hansenkokubai.gr.jp/kokkai/kumamot/index.html
詳しい判決要旨は下のとおり(本文は400ページ以上になります。)

http://www.hansenkokubai.gr.jp/kokkai/kumamot/shushi.html

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民主主義・・ 投稿者:あじあ号 投稿日: 6月27日(水)19時43分13秒

本人の同意を得てハンセン病患者の中絶手術を行うことを認める法律
(旧優生保護法 ただし、ハンセン病関係条項は平成8年に削除)が
ありましたが、これは議員提出法案で全会一致で成立したものです。
これについても、ハンセン病訴訟関係の国会審議で、ある野党議員が
厚生労働省に「このような法律を放置したことについての責任」を
問いただしていました。そんなもん国会議員(質問者の所属する党も
含む。)が作ったんで行政府は知らん!と答えるべきかも知れません
が、大臣はお詫びしていました。
これじゃあ、法律に問題があった場合は全て行政府の責任になってし
まう。これが21世紀の民主国家の国会の質疑なのかなあ。