めぞん一刻の九条明日菜さん【ネタバレ注意!!】

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の質問につき、回答制限がかかったので、こちらに書きます。

吉田秋生から路線を変えて、怒涛の恋愛マンガ「めぞん一刻

ここで五代君・音無さんのシーンを紹介すると思った皆さん、残念でした。
ここでは名脇役の九条明日菜さんが出てくる第14巻を挙げたい。

五代君の恋のライバルは「金持ち」「プレイボーイ」である三鷹さん。
しかし、三鷹さんは「妊娠騒動」により九条明日菜さんと
「仕方なく」結婚する羽目になった。

※妊娠したのは、九条さんの愛犬だった。
 泥酔していた三鷹さんは、自分が九条さんを妊娠させたと誤解して
 「責任を取った」のであった。

で、三鷹さんは結納の席でも、「作り笑顔」で九条家を歓待していたのだが、
その「作り笑顔」は九条明日菜さんには見抜かれていた。

三鷹さんの笑顔が作り笑顔であることをズバリ三鷹さんに指摘した明日菜さん。
「私どうすればいいでしょう・・」と落ち込んだ明日菜さん、
「あなたが泣くことはない!」とかばう三鷹さん。

しかしこの後の明日菜さんの切り返しは、意表をついた。

明)「魚屋さんの おやじが 驚いた ぎょ!」
三)「は??」
三鷹さん、目が点。

明)「・・・ごめんなさい、こんなギャグ言ってしまって・・
  ただ、もっと素直に笑って欲しくて・・」
三)「そうか、アハハハハハ」
明)「いえ、無理に笑ってもらわなくても・・」
三)「そうですね。
  まだまだたっぷり時間はありますから、これから幸せになりましょう」

この明日菜さんのオヤジギャグにより、三鷹さんは前向きに明日菜さんとの
結婚生活を送ろう、と決意したのであった。

この1シーンは、
「最愛の人(三鷹さんにとっては音無さん)と結婚できなくても、
 「何気ない日常の幸せ」を感じることができれば、結婚生活は幸せにできる」
ということをさりげなく語った、日本の恋愛マンガ史に残る1シーンであると思う。

作者、高橋留美子氏は、最終的に五代君と音無さんを結ばせてハッピーエンドにしようと
ストーリーを作っていたと思うが、「恋敵である三鷹さんをハッピーにする」のは、
「五代君をハッピーエンドにする」ことより十倍も百倍も難しいことである。

この難事を、この脱力ギャグでスマートに収めてしまう辺り、高橋留美子は只者ではない。