産総研+αレポート

【写真はここに載せました】
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7月26日に産総研の一般公開レポートがある、とのことで、
わざわざ都内から出て行った。

で、常磐線の車内で(青春18の権利を使うためにTXじゃなくて荒川沖まで常磐線使用、)、
隣の高校生が「環境研究所の特別公開」というチラシを手にしているのを発見。
これは無理してでも環境研も行かねば、と心に誓う。
(その高校生はひたちのうしく駅で下車した。何故?)

荒川沖駅前のセブンイレブン茨城県道路地図を立ち読みして、
環境研の位置を確認して、いざ荒川沖駅からバスで産総研へ。

後でレポート(というか、単なる感想?)を掲示するが、
もろもろの雑感を。

★環境研究所、産総研どちらも、大きな袋を配ってくれて、
 それはそれでありがたいのだが、本来「エコ」を唱えている
 研究所が、エコに反して袋を配りまくるのは、いかがなものか?

 各ラボの説明用チラシも、相当エコに反する・・・
 と言いつつ貰っている小生。

★各ラボで、説明する人で「明らかに日本人でない」人が、結構いた。

 特に環境研は半分程度が非日本人じゃなかっただろうか?

★環境研と産総研で、「矛盾」していることが結構あった。

 産総研で「推進」している遺伝子組み換え食品について、
 環境研の方では「野生種に遺伝子組み換えが交雑していないかどうか、研究」していたり。

 産総研では
 「光触媒をソーラークリーニングタワーや遮音壁に用いて、地表の空気を浄化すればいい」と
 発表していたが、環境研の方では
 「風が拡散しないから、緑化防音壁などは逆効果」と言い切っている。

 その背後には「経産省VS環境省」の対立があるんだろうなあ。

 本来であれば、産総研と環境研は近いのだから
 「統合」して研究の方向性も一致させれば、とも思うのだが。

★で、大人の研究員同士は「異なる研究ベクトル」で対立したりする一方で、
 つくばの小学校では「産総研の子供と環境研の子供が同級生」だったり
 するんだろうなあ。
 面白い世界だ。

★なぜ「7月26日」に全機関開催するのか?

 産総研も、環境研も、さらに言えば農研も、公開日を「7月26日」に
 統一している。
 (農研が7月26日に公開していた、というのは、環境研終了後に
  ひたちの牛久駅のポスターで知った)

 善意に解釈すれば
 「開催日を統一することによって、各施設を巡回したい人の便宜を図った」と
 考えられる。

 しかし、小生などは朝一番から乗り込んでも、
 2つの施設のうち、せいぜい60〜70%しか見れていない。
 3つを見ることなど、不可能である。

 悪意に解釈すれば、
 「各施設は同日に公開日を設定することにより、
  あえて「巡回」ができないようにしていて、
  その結果、各施設間で「顧客獲得(囲い込み)競争」をしている」とも、
 考えられなくはない。

 87年大学入試で、東大と京大は受験日を揃えて併願できないようにしたが、
 そのような姑息なことを、各施設が行ったのではない、と信じたい。

★「ドラえもん」か「サツキとメイ」か?

  環境研の地球温暖化棟の掲示で、
  「あなたはドラえもん型未来がいいですか?」
  「サツキとメイ型未来がいいですか?」という問題提起があった。

  ここでイメージされている「ドラえもん型未来」というのは、
  「環境諸問題を技術力でブレークスルーする社会」であり、
  「技術」「進歩」というものにオポチュニストな社会であろう。
  ※手塚治虫の世界も、基本的にはこちらに該当するだろう。

  他方、「サツキとメイ型社会」というのは、
  「経済成長をある程度犠牲にすることで、環境を維持する社会」
  ということだろう。

  いわゆる宮崎ワールド、というのは、恐らく
  「成長よりも環境」のコンセプトが貫かれていると思うが、
  その辺が、「小生が宮崎アニメをどうしても好きになれない理由」だろう。

  これは以前にも書いたが、「千と千尋の神隠し」を見た
  うちの女性社員〜〜恐らく宮崎ワールドは好きになれないが、
  話題作だから仕方なく見た、という類の社員〜〜が、
  同僚の女性社員に聞いていた。

  「結局、あの映画は何が言いたかったの?」
  「川をきれいにしましょう、ということなんじゃないの?」

  小生は流行に迎合する気はないので、話題作であっても
  見に行くことはないが(なので「千〜」も知らない)、
  この女性社員のやり取りで「見に行く必要のない映画」
  であることがわかった。

  で話を戻すと、結局「サツキとメイ」には戻れない訳であり、
  我々は「ドラえもんを目指さなければならない」のではないか?

  (とすると、サツキとメイをテーマとした愛知万博は否定されることに・・)

★こんなに高度な研究(正直言って、ついていけない)を行っている
 産総研や環境研の研究者に改めて尊敬の念を表したい。

 と同時に、このような超優秀な頭脳を、「裁判員」などという
 司法関係者の自己満足行為に駆り立てようとする法曹関係者の
 アホさ加減には、ただただ絶望するのみである。

 産総研だけでも2,000人の研究者がいるが、単純計算では10〜20人は
 裁判員に「駆り出される」計算になる。

 このような優秀な頭脳を、定年退職者でも誰でもできる「裁判員」などという
 非生産活動に駆り立てることが、科学の進歩にブレーキを掛ける、ということに
 なぜ司法関係者は気づかないのか?

★これは泣き言だが、産総研→環境研の道すがら、「自販機」が
 ひとつも無かった。

 自殺者を多発させる「美しい人工都市」は、炎天下の歩行者に
 とことん冷たい都市であった・・・

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以下、行った順に7月26日(土)のレポート。
まずは産総研のA会場(メーン会場)。

★メタンハイトレード

 俗に「燃える氷」と称されるが、実際そうであり、触ってみるとシャーベット状で
 冷たいのである。

 で実際に燃焼の実験を行ったりした。

 「メタンハイトレード」と呼ばれるが、実際にはメタン以外にもエタンとかも入っているらしい、
 氷分子がバスケット状になっており、大きいバスケットにはエタンが入り、
 小さいバスケットにはメタンが入り、あまりにも小さいバスケットには何も入っていない、
 そういうものらしい。

 深海だと温度が相当低いので(約5度)、かつ圧力が高いので
 このような水+メタンが固体でいられる訳だ。

 で、深海からボーリングコア採取、又は深海潜水艇でメタンハイトレードを
 採取するが、「高圧状態」をそのまま維持して地表へ持ってくる必要がある。

 メタンハイトレードが注目されるのは、天然ガス代替、という趣旨もあるが、
 「減容性が高い」(つまり嵩張らない)という特性もある。

  要は「固体」なのだから、天然ガス(気体)、液化天然ガス(LNG、液体)より
  嵩張らないのは、言われてみれば当然である。

  であれば、例えば船舶輸送が難しい場所、例えば内陸である長野市とか甲府市への
  ガス輸送ツールとして、「LNGを輸送する」のではなく「メタンハイトレードを輸送する」
  方が割りが合うことになる。

  →現在「天然ガスをLNG化して液化して輸送」しているが、
  場所によっては「天然ガスをメタンハイトレード化して固化して輸送」
  した方がコストダウンできる場合がある。

  つまり「輸送ビークルとしての人工メタンハイトレード」というのも
  考えられるのである。

  又、LNGはマイナス170度を維持しなければならないが、
  メタンハイトレードは、高圧を維持しなければいけないが、
  温度はマイナス5度〜10度、つまり通常の保冷車で対応可能になる。

  また、本来のエネルギー源としての利用法以外に、
  エアコン等の熱媒(冷媒)としても有望らしい。

  この手の物質には不純物(硫黄系、窒素系)がつきものであるが、
  メタンハイトレードの場合、「相平衡が変化しやすい」ため、
  硫化水素等が容易に分離しやすいらしい。

  この説明を聞いて「つまり物質の融点の差異によって
  分離させるということですね?」と聞いたところ「融点とも違うのですが・・・」
  ということだったが、素人の理解では「融点の差異を利用して不純物分離がしやすい」
  という理解をした。(詳しい方だれかコメント下さい)。

  これを応用すれば、通常の天然ガスを、「わざとメタンハイトレード化して」、
  脱硫(硫化化合物除去)することができる、ということになる。

  最後に、貰ったチラシに「膨張発電」とある。
  これを見て「高圧のメタンハイトレードを1気圧に戻した際に生じる膨張エネルギーを
  利用しての発電、ということですか?」と聞いたが、違う、との回答だったが、
  これは当方要勉強である。

  ということで、この日の最大の収穫は「メタンハイトレード」だった、という気がする。

★大規模屋内施設向け歩行者ナビ

 建物内GPSも使うが、それはあくまで「サブ」の役回り。
 メーンは歩行者の腰につけているジャイロのようなもので、
 これによって「歩行者が基準点からどれだけ、どの方角へ歩いたか」を
 計測する。

 要はニンテンドーウィーフィットと同じ技術である。
 実際、来場者がこの機械を身に付けて産総研会場を歩き回るという
 デモ実験を行っていた。

 見ての感想は、「携帯電話に組み込めば面白い」。
 既にあるナビウォークを高機能化する、ということだろう。

 また、アクティブ型情報提供も考えられる。
 地下街を歩いていたら、お店の前を通り過ぎる際に
 その店のお得情報がケータイ宛に発信される、というように。

人工心臓、人工骨

 医療は門外漢であるが、ひとつ勉強になったのは、
 従来型の人工心臓は、ポンプに軸があるため、
 そこが磨耗したり、軸に血栓が出来たりする、ということ。

 そのため、最新型では、軸なしのポンプにすることが考えられている。

 又、人工骨の研究では、いかに非破壊で品質管理するか、の技術が出ていた。

★バーチャル映像によるものづくり支援

 タイトルだけだと訳わからないが、要は「ヘッドマウント型ディスプレイ(HMD)」
 を左目につけて、他方右目は裸眼で対象物を見る。

 で、たとえば鉄板をカットしたいが、どのラインでカットすればいいか
 わからない、という場合に、左目のHMDに表示されている
 「ここをカットすればいいですよ、という指示線」に従って、
 右目で対象物を捉えながら作業する。

 うまく趣旨が伝わったかどうか不安であるが、実際小生もこのHMDを
 使って作業を行った。
 これはコツがあって、一旦右目をつむって左目だけでHMDを見て、
 その後右目を開けると「うまく見える」。

 これによって、非熟練者が作業を行う際に、熟練者のノウハウをHMDに
 インプットすることにより作業が行われやすくなる。
 又、この手法により「ものづくり」の伝承を行う、ということも
 考えられる。

★人造ダイヤモンド

 最初、ダイヤモンドの優れた特質を示す実験があった。
 氷にさまざまな物質を当てて、「ひんやり感」が手に伝わるかどうか、
 の実験。

 銅とかアルミとかステンレスよりも、はるかにダイヤモンドが「ひんやり」していた。
 つまり、熱伝導率が圧倒的に高いことを体感できる。

 で、人造ダイヤの合成手法として、メタン系ガスにマイクロ波を照射することにより
 分子構造(CH4)を破壊しC原子を取り出し、それでダイヤモンド化する技術が
 紹介されていた。

 また、将来は「ダイヤモンドデバイス」(ダイヤモンド半導体)が有望、との
 紹介があった。
 何でも、Si(シリコン)の34〜20,000倍の性能指数を示しており、
 「高電圧でも動作」「低損失」「高信頼性」「高温動作」という様々な
 優れた特性を秘めているらしい。


★プルシアンブルー顔料印刷

 プルシアンブルー錯体は電圧を与えれば青に発色する特性があるが、
  これをナノ化することで「印刷」ができるようになった、という話。

  ガラス面に「印刷」すれば、
  「電圧を掛ければ字が浮かび上がるガラス」となるため、
  広告媒体等への応用が見込まれそう。

★化学事故データベース

 戦後以降現代までに発生した化学事故
 (化学プラントは勿論、学校の理科実験室から花火会場に至るまで)を
 データベース化した、ということだが、同様の発想で、
 「建築災害データベース」「交通事故データベース」を作った方が、
 より「社会のため」になる気がする。

★エアゾールの特性研究

 俗に言う「スプレー」(可燃性噴射剤)の危険性の研究。

 案外この手のものは静電気を発生させるため、火花が引火して
 大事故、ということがありえる。
 そのため、噴射剤による静電気量の違いとか、
 「どの高さに噴射すると、どれくらい噴射剤が空中に残るか」
 という研究していた。

 特殊カメラでエアゾールを可視化して広がりを解説していたが、
 そもそもそんなカメラを使わなくても可視的に噴射剤のありかが
 把握できる(噴射後1分程度は)新しい噴射剤を開発した方が
 いいと思うのだが。

バイオエタノール精製技術

 従前の蒸留法精製だとコストがかかるので、膜分離法によって
 低コストで精製できないか、という研究。

 木屑系セルロースをまずは10%程度のエタノール(日本酒レベルですな)
 にして、その後膜分離法で純度100%エタノールウォッカを凌ぐ)に
 する、ということ。
 (100%にしないとガソリン代替にならないし、バイオプラスチックにもならない)

★共生細菌

 アブラムシ(アリマキ)が草を食べられるのは、
 あれはアブラムシが草を消化しているのではなく
 アブラムシ体内の共生細菌が消化している、という話。
 (アブラムシといえば、アリと一緒に「対テントウムシ共同戦線」を
  張っているが)

 で、そのような共生細菌を昆虫から取り除けばどうなるか?という研究。
 ダイズの害虫マルカメムシは、これも実は共生細菌がダイズを分解していたので、
 この細菌を除去すればマルカメムシはダイズを食べられなくなってしまった。
 逆にダイズを食べない虫の体内にこの共生細菌を移植すると、ダイズを
 消化するようになったとのこと。

 あと、ショウジョウバエの共生細菌はオスの卵を「殺す」ため、
 ショウジョウバエはメスが多いらしい。

★カエルのES細胞研究

 済みません、ここは深くメモしていません。
 知らない人のために書いておくと、ES細胞(未分化細胞)を用いれば、
 その細胞は心臓にも脳にも足にもなりえる、よって再生医療に応用できます。

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以上がA会場の「サイエンスコーナー」であって、その他A会場には
「チャレンジコーナー」があったが、こちらは小中学生向けの実験が主なので、殆どパス。

と言っても、気になるところはメモしている。

液状化実験コーナーで
 「液状化を逆に産業に応用できないか」という研究をしている、とあった。
 「液体のガス化」「高濃度水素製造」「光触媒による汚染物質処理」
 「効率的燃焼技術」、そして「空調への応用」・・・

ソリトン
 波の学問というのは素人だが、通常の波が
 「押し寄せるように」何回も来るのに対して、
 船が出る時の波のように「1回だけの波」をソリトン波というらしい。

  展示は「ソリトン波を作りましょう」の展示であるが、
  ここでいう「波」は、「水」の波に限らない。

  電子・光子の「波」でソリトン波を起こすことにより、
  「超伝導ソリトン波」、あるいは
  「電気を流すプラスチック」等の研究ができるらしい。

  また、「産総研が世界初の2つの波のソリトン」を
  作ったらしく、それを用いた超高速コンピューターも
  考えているらしい。

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昼食後C会場へ。

★自転車

  まず入り口で最新型自転車の試乗をやっていた。
  以前紹介したと思うが、空気抵抗を最小にするために
  乗員が寝そべって漕ぐタイプ(リカンベント)自転車があるが(これは欧米で普及している)、
  坂道でも漕ぎやすくするために「円を描くのではなく、上下にペダルを往復させる」
  特殊サドルの自転車である。

  あと、「足で漕ぐのではなく手で漕ぐ自転車」も展示していたが、
  これは足が不自由な人向けだろうか?

太陽電池

 これはいろんなタイプが展示されていたが、
 ・CIGS太陽電池・・・「フレキシブル太陽電池」になる。
  つまり「紙やカーテンのように曲げられる」ことになり、
  設置場所のレパートリーが増える。
  因みに入り口に「フレキシブル太陽電池 富士電機システムズ提供」とあったが、
  これはCIGS型なんだろうか?
 ・有機型・ポリマー型太陽電池
  「葉っぱ型電池電池」なんてのが出来ると、
  造花とか子供のおもちゃとかに「違和感ないデザイン」で
  太陽電池を組み込むことができる。
 ・シースルー型太陽電池
  これも先日紹介したが、これは「?カネカ提供」とあった。
  既に実用化しているのか?
 ・HIT型太陽電池
  両面で発電できるらしいが、どのようなシチュエーションで
  「太陽電池の両面で発電する必要があるのか」、思いつかない。
 ・リサイクル可能太陽電池
  これは知らなかったが、寿命が先に来るのは
  「太陽電池本体でなく、モジュールの方」らしい。
  なので、「モジュールを簡易に入れ替えられる構造にして、
  電池の方は再利用」することがエコになる。
 ・集光系球状シリコン太陽電池
  これはうまく説明できないが、要は「丸いお椀」の中に
  「ガラス球のようなもの」を置いているような構造らしい。
  お椀側がマイナス側、「球」がプラス側となっていて、
  太陽光がは「お椀」で反射して「球」に入り、
  あるいは「球」に直射した太陽光は屈折したり一部はお椀側に
  行ったりする。
  ・・・要は「お椀」「球」の組み合わせで、反射屈折を用いて
  最大限太陽光を利用し尽くそう、という代物らしい。
  (因みに「お椀」「球」いずれもサイズはミニサイズ、
  せいぜい1ミリか2ミリです)

 で、いろいろと太陽電池について知らなかった点が勉強できた。

 ・太陽電池は、「低温の方が効率的に発電できる」。
  つまり、同一の日射量であれば、熱帯地方よりも寒帯地方の方が
  発電効率は高いらしい。

  もっとも、熱帯地方(=赤道に近い)は日射量が多く、寒帯地方
  (=極に近い)は日射量が少ないので、実際にはうまくいかないのだろうが、
  「赤道なのに温度が低い地域」、具体的にはアンデス高山地帯(ペルー等)
  であれば「もっとも発電に最適」ということになるのではないか?

  貼られていた日本日射量地図によれば、
  日本では太平洋側諸都市とか、沖縄とかが年間累計日射量が多いようだが、
  一番日射量が多いのは「帯広の南東のスポット」のようだ。
  帯広であれば「寒冷」であるので、なおさら太陽電池向けである。

 ・太陽電池の性質によっては「一部に影がかかると、全部が発電しないので注意」
  というのがあった。
  つまり各モジュール同士を「直列」でつなぐと、「影のせいで発電できなかったモジュール」が
  電気を止めてしまうらしい。
  最近では影で発電不能なモジュールの影響をカットする太陽電池も開発されているようだが。

 ・これは知らなかったが「LEDは太陽電池と全く同じ原理を、全く反対に取り出した」
  ものらしい。

  つまり光子を電子化するのが太陽電池であり、電子を光子化するのがLED。

★酸化チタン光触媒と近紫外光で有害物質除去

 クリーニング店とかが放出する「揮発性有機化合物」を、光触媒で浄化しよう、
 という発想であるが、その際に「中が鏡になっている煙突」を作り、
 「煙突の中に太陽光を導き」、その煙突の中で有害物質除去をしてしまおう、
 という「ソーラークリーニングタワー」が展示されていた。

 地表付近の有害物質入りの大気は、タワー下部から上昇してタワー上部に達し、
 そこで光触媒反応を受けて浄化されながら再度下降し、最終的には相当浄化されて
 排気されるらしい。

 (なぜ空気が下降するのかいまいちわからないが)

  で、この装置を見たときの小生の感想は
  「道路標識柱や電柱をこれに取り替えればいいじゃん」
  と思って質問すると、既に道路標識柱では実例があるそうです。

  円筒タワー形式以外にも、高速道路の遮音壁に用いて
  NoXを除去することも考えているらしい。

  あと「透明薄膜光触媒」も研究していましたね。

★未来の光ネットワーク

 従前の光通信は、スイッチ部分では光信号を電気変換してスイッチングし、
 又光変換していたため効率が悪かったらしい。

 これを「光でスイッチングを行う」研究をしているらしい。

★超音波血液検査

 採血せずに血液検査できる技術、ということで、
 痛いのがキライな小生向けの技術であるのだが、
 何と係員が不在で、質問等はできず・・・

★年齢軸生命工学

 女性向けに肌年齢チェックとかやっていたが、本来は免疫系の研究らしい。
 あまり詳しくメモしていません。

★触媒研究
ジメチルエーテル自動車
カーボンナノチューブ

 ここは全くメモしてません。相済みません。

ユビキタスステレオテレビジョン

 これはうまく説明できないが、カメラが左右2つあるカメラで
 対象物を把握することにより、対象物の距離情報を瞬時に把握できるらしい。

 これを産業的に応用すると
 「立入制限エリアでの安全確保センサー」
  (具体的には踏切、ホーム。東急電鉄と共同研究中らしい)
 あるいは
 「ショッピングセンターにおける顧客動線分析」
 に使え、又重度身障者の車椅子操作に応用できないか
 研究している。

 実は娯楽的応用もできるらしく、
 「0.1秒前の自分のいた場所」
 「0.2秒前の自分のいた場所」・・・を
 画像に表示するメディアアートを展示していた。

・・・・・・・・

この後、地質系展示のB会場に行ったが、実はここはあまり特筆するものが
少なかったりする。
トリビア的知識としては
南関東は世界的なヨウ素生産地」(世界2位、液晶ディスプレイに使用)
とか
「北海道には黒い砂が多い」とか。

ベントナイトの実験とか火砕流の実験とかは、時間が無かったのでパス。

さらにD会場では高磁場NMRが公開展示されていたが、説明自体が
チンプンカンプンだったので、結局NMR内部は見ず。
D会場の電子顕微鏡も見ず。

E会場は「実験ショー」「職員文化活動(コーラスサークルの発表等)」、
「高校生のサイエンストーク」「脳学者茂木健一郎氏特別講演」の
類がありましたが、全てパス。
また特別会場では「ヒューマノイドロボット特別デモンストレーション」が
あったようで、これは時間があれば見たかったが、パスした。

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で歩いて(!)環境研展示会場へ急ぐ。

こちらはかなり駆け足見学になり、かつ見切れなかったのだが
順次紹介すると、

★循環・廃棄物研究棟

 ・「エコリュック」を紹介していた。
  モノを作るのに必要な鉱物や水の量を「リュックに詰めて」、
  その膨大さを体感する(「見える化」ならぬ「感じる化」)の展示。
 ・面白かったのは、
  「携帯電話等をリサイクルするに際して、携帯会社自身が
   どのような鉱物を用いているか、把握していない」という
  研究者の話。
  携帯会社の代わりに環境研が調査している訳だ。
 ・あとは廃家電の経路調査。
  環境研の調査の結果、「海外に不法輸出されている」実態がわかったようである。
 ・最終廃棄物処分場を、いかに速く「浄化」するか、の技術。
  つまり、放置すれば数百年は「汚染」が残る処分場を、せいぜい「1世代」
  (約30年)で「浄化」ができないか、という研究。
  そのためには「地中に空気を通す」「透水性を高める」ことが重要らしい。
  (空気が通らないと、嫌気性バクテリアによるメタンが発生してしまう)
  で、その技術を東南アジアに輸出しようとしている。
 ・ゴミ焼却プラント内の挙動解明。
  そのために、焼却炉内を可視化すべく「金メッキ」を施しているが、
  もったいない気もする。
 ・最近、プラスチック等も焼却処理しているので、「溶融スラグ」が
  相当量出るようになったらしい。
  従前はアスファルト化したりして再利用していたが、それだけでは
  「有り余ってしまう」ので、別の再利用方法を研究しているらしい。
 ・廃棄物系バイオマス(要は生ゴミ)を、サーマルリサイクルしたりする
  技術はあったが、CaO触媒により水素生産ができないか、という研究もあった。

★ナノ粒子健康影響実験棟

 ・いわゆる「粉塵公害」(排気微粒子等)の研究であるが、
  「遺伝子に影響がないか」「肺へ細菌進入しないか」「脂肪肝にならないか」
  「体が酸化ストレスを受けないか」という点について、動物実験を行う棟。
  研究結果の発表、というより「幼児向けにモルモット等を見世物展示」して
  客集めしていたが・・・
 ・一方で、「この先、バイオハザード防止のため立入り禁止」という
  おどろおどろしい掲示があった・・・

★生物環境調節実験施設

 ・悪性オゾンが植物に与える影響を研究していた。
 ・悪性オゾンは光化学スモッグで発生。
 ・アサガオが一番オゾン感受性が高いらしい。
 ・アサガオ・ゴーヤ・ナスが水耕栽培されていた。

★RI・遺伝子工学実験棟

 ・外来生物による国内生物への影響の研究
 ・トピックスではカエルツボカビ問題とか。
 ・外国産クワガタの大量輸入で、日本原産クワガタが脅かされている問題。
 ・鹿食害対策として、個体レベルの行動を分析するのではなく、
  群れのDNAを解析することで、群れ全体の行動エリアを推定する研究。
 ・突然変異を起こす物質を「変異原物質」と呼ぶが、
  どの物質が「変異原物質であるか」を、「遺伝子組み換え魚」を
  用いて探し出す研究。
  これなどは「遺伝子組み換え」を積極的に「活用」した事例。
 ・一方で、「遺伝子組み換えの生態系汚染」も研究しており、
  「アメリカから輸入された組み換え菜種のタネが、日本国内固有の菜種と
   混じっていないか」を研究。
  輸入輸送の際の管理が「ずさん」だと、道端にタネが落っこちてそれが
  発芽し、めぐりめぐって開花して、「国内固有種と交配」する恐れがあるので、
  その研究をしている。

MRI

 ・よく脳検査で用いられるMRIが公開されていて、小生は初めてMRIを見た。
 ・MRIに植物を入れると、どこに実が詰まっているかわかるほか、
  「味もわかる」らしい。
  (スペクトル分析で、「クエン酸の濃度」とかわかるそうです。)

★環境リスク研究棟

 ・これは初耳だったが、
  「日本では年間数百もの新たな化学物質が「発明合成」されている」らしい。
 ・これら「新物質」を、さまざまな生物(カナリアの役割を果たすような、メルクマール的生物)を
  使って「生態系に影響がないかどうか」、チェックしているとのこと。
 ・また、水中の貧酸素現象とか、環境ホルモンナノマテリアルアスベスト等)も研究している。
  環境ホルモンパーキンソン病ドーパミン神経疾患との因果関係とか。
 ・薬剤耐性がある害虫(殺虫剤が効かない方へ「進化」を遂げた害虫)の研究。

★環境生物保存棟

 ・絶滅危惧の「藻」を、後世のために保存・培養。その数2,594株。
 ・というか、名称からすれば種の保存・培養だけを行っている機関のような
  気がするが、実際には「藻類の総合研究」を行っている。
 ・一番インパクトが大きいのは
  「バイオマス原料になる藻」の研究。
  これって環境研よりも産総研、又は農研が研究しそうなテーマである。
 ・また、農業肥料として藻が利用できないかどうかの研究。
  これも産総研的だ。
 ・有毒な藻類である「アオコ」の研究、あるいは硫黄化合物を排出して
  環境汚染する「円石藻」の研究も。

★環境試料タイムカプセル棟

 ・将来、不慮の環境悪化が発生したときのために、
  「現在の環境」や「現在の生物DNA」を凍結保存して、
  「有事」にはそれを取り出そう、という機関。
 ・今は環境の代表選手として「二枚貝」を試料としているそうですが、
  何かいい試料がないか、「提案を受け付けている」そうです。
 ・棟内はタイムカプセルが並んで「壮観」でした・・

★水環境実験施設

 ・水質を「クウシンサイ」(中華料理にも用いられる野菜)を
  用いて浄化する研究がされていた。
 ・クウシンサイは「食べられること」により、
  「水中から窒素分を除去」されることになるそうです。
 ・クウシンサイの周辺ではミジンコも生息するようになるので、
  生態系は豊かになるそうです。
 ・あと、浄化槽エリアにおいて、「吸着剤で浄化槽内のリンを回収し、それを資源化する」
  研究もしていた。
 ・「人工湿地システム」という展示もあったが、時間が少なくて見切れなかった。
  想像するに、意図的に湿地を造成して、それで土地浄化を行うシステムなのだろうか?
  (要調査)

★水環境実験施設の隣にクレーン車がいて、
 「クレーン車からサーモグラフィーでヒートアイランドを眺める」
 という企画があったようだが、時間がないのでパス。

★大気拡散実験棟

 ・煙突から、汚染物質がいかに拡散するか
 (もしくは、「拡散しないか」)を研究している。
 ・冬などは、温度の「逆転層」が発生して、なかなか拡散しないそうです。
  (いわゆる「放射冷却現象」で、地表温度が上空より低くなる現象)
 ・風洞実験施設とか展示していましたね。
 ・幹線道路に「緑化による汚染物質浄化」を狙って、「グリーンウォール」を
  設けている事例がありますが、「風を遮って逆効果ではないのか?」という
  研究もしてました。
 ・対策として「とにかく風を通すこと」
  「トラックの排気管を上向きにして、できるだけ上空に汚染物質を排出すること」
  「拡散効果が高い高架道路へ、できるだけ交通をバイパスさせること」を
  提言してました。

地球温暖化研究棟

 ・もうここに来た時には終了時刻(16時)をとっくに過ぎていたので、
  単にチラシを貰う程度で終わりました。
 ・チラッと「民間航空機を使って上空Co2を計測する計画」の展示パネルが
  盗み見ることができましたが。

★研究本館

 ・ここは全く見れていません。
 ・パンフによれば、
  「放射性炭素測定による過去の気温変動の解明」の研究とか、
  「ダイオキシン類の分析」の研究とか、あるいは
  「(温暖化防止研究用)スーパーコンピューターの展示」
  だったようなので、まあ、見れなくても仕方なかったかな、と。