人力検索はてなで理科の質問をしましたが、その背景です。
http://q.hatena.ne.jp/1308914791
カンのいい人だと分かるかもしれないが、これは「地熱発電のために、地面に埋めた円筒」である。
地熱豊富な高温異常域であれば、地温勾配は10℃/100mはある。
深度1,000メートルで120℃、深度2,000メートルで220℃。
70立米の水を注入した場合、深度1,000メートルから深度2,000メートルまで水が溜まるので、
平均すると170℃の熱が「常に円筒の外側に存在し続ける」
で、20℃の水が●時間経ったら170℃になるので、(●の部分を人力で回答求めます)
その時点で170℃の熱水70トンが存在することになる。
この熱水を使ってフラッシュ発電またはバイナリー発電を行う。
というよりも、予め「熱水を涵養する井戸」を数百本単位で掘削し、
数分毎に各井戸に注水し、「170℃に熱せられた井戸を数分単位で発電に利用する」と言った方が正しい。
従来型の地熱発電は、基本的に「既にある地下熱水を地熱発電に使う」という前提に立っており、
その場合、源泉の枯渇とか温泉業者の反対運動とか地下熱水中の不純物による結晶化などの
トラブルを抱えることになる。
これを打開するために、既存地下熱水を使わないで
「地表から水を投入し、高温岩体で水を熱水に温め、それで発電する」という次世代型地熱発電も研究されている。
(高温岩体発電、電中研の海江田先生が国内第一人者)
この場合、水を注入する注入井を掘削し、その近くに水を取り出す井戸も掘削し、
地中で水が注入井⇒熱水取水井を移動する、というイメージになる。
しかし、注入した水が、計算どおりに熱水取水井から取り出せる、という保証はなく、
別の場所へ逃げていく恐れもある。
(熱水の挙動をコントロールすることがなかなか難しい。)
かつ、注入した水も、地中を通るうちに各種鉱物を含むようになり、目詰まり(ケーシング)の原因になる。
そのため、「地表からの注入ルート、地表への取水ルート、双方を一つの管に入れてしまう」という
アイデアもある。(産総研盛田先生のDCHE)
しかし、このDCHEは、喩えて言えば、
「注入したその場で熱水を得ようとしている」ので、どうしても無理がある。
いくら地中が200℃あろうとも、管を通過する水が簡単に200℃になってくれないのだ。
であれば、DCHEのコンセプトは生かしながら、
「温まらぬなら 温まるまで待とう ホトトギス」という発想が、あってもいいのではないか?
仮に熱水涵養の所要時間が1時間なら、次のような運用。
★午後1時に、1つの井戸(仮にA井という)に70トン(70㎥)の水を投入
★午後2時に熱水涵養完了。
★午後2時から午後3時まで、このA井の熱水をポンプアップしてフラッシュ発電ないしバイナリー発電を行う。
その後、午後3時から再度水を投入し、1時間熱水涵養し、午後4時〜午後5時に再度発電を行う。
★A井で「熱水涵養」している時間帯は、B井で発電を行う。
A井で発電している時間帯は、B井で熱水涵養を行う。
この発電の成否は「熱水涵養の回転率」で決まる。
1時間で涵養されるのか、30分で涵養されるのか、2時間かかるのか?
(それを人力検索で聞こうとしている)
涵養に1日も掛かるようでは実用化不可能なのでは?
【メリット】
★「地中の熱水の挙動」を気にする必要がなくなる。
→発電の確実性がアップ
(高温岩体発電の欠点を克服)
★ケーシングをキチンとすれば、スケール(目詰まり)問題を回避できる。
(地中を経由した熱水を取得するのではなく、地上水を熱水化したものを採取するため)
★クローズドシステムなので、熱媒体を水に限定する必要がない。
低沸点媒体(アンモニア水)なども使用可能
★盛田教授のDCHEとの比較・・・DCHEは投入した水を「その場で熱水にして」利用しようとしている。
→熱交換時間が短時間、従って得られる熱量(発電量)も少量
一方、この方式の場合、熱交換時間が長時間なので、充分な熱量が得られる。
★最大の利点は、既存地下熱水系と影響し合わないシステムなので、温泉枯渇等の心配がない。
⇒温泉との共存も可能。草津温泉にも設置可能。
【考えられるネック】
★温度170℃程度の熱水で、例えば八丁原並みの蒸気フラッシュ発電能力が期待できるのか?
結局は能力の低いバイナリーにならざるを得ないのか?
★ポンプアップの動力費
(蒸気状態にならないのなら、ポンプアップ必要?)
★ケーシングをキチンとしないと、熱水が井戸外に逸失してしまう。
★蒸発ロスを押さえないといけない。
★地上に上げている間に冷めないか?
★システムに流れ込む熱水:A井・B井で頻繁に切り替え
→切り替え手間がかからないか?
切り替えが多いと故障につながらないか?
【必要な技術】
★深度1,000m、深度2,000mの地温を的確に把握する技術
★掘削コストの大幅削減
★熱伝導率が高く、一方で耐久性が高い材質を選択する技術
(深度=1,000〜2,000m)
★熱水を「冷めないように」地表へポンプアップする技術
★高熱と注入水との熱交換面積を最大化させる技術
例:口径30センチの坑井内に、熱伝導に優れた「ワイヤ」を蜘蛛の巣状に張り巡らせ、
地中の高熱を円筒部以外のワイヤ部分でも熱交換させる。
★最適システム構築技術
・口径サイズは何センチが最適か?
口径が短ければ、㎥当り熱交換面積が増えるので、熱水涵養の回転率は上がる。
但し、短口径地熱井を多数本ボーリングすると、当然コストが掛かる。
最適な口径はいくらなのか?
・深度は何mが最適か?
深度を深くすれば、熱水温度も上昇(若しくは熱水涵養スピードが短縮)するので、
発電効率は良くなるが、一方で深度が深くなれば深くなるほど
累進的に掘削コストが掛かる。
コストと発電効率の最適解は?
・坑井同士はどれくらい離すのが最適か?
あまり坑井同士を近づける(=面積当り坑井密度が高い)と、
地熱が冷えてしまう恐れがある。
かといって坑井同士を遠ざける(=面積当り坑井密度が低い)と
発電所敷地面積も広くなるし、タービンまでの配管距離が長くなって冷えてしまう。
その最適解は?