「大阪観光=大阪城」のステレオタイプな概念が大阪の魅力を毀損す

確か小学校4年生だったか、当時大阪府下に住んでいた自分は
初めて遠足で大阪城に行った。

お城というと、木造の伝統的建物を想像していた自分だったが、
目の前にあったのは、「大阪城」という名の鉄筋コンクリ造のビルであった。
内部にエレベーターがある、というのが、ますます魅力を減じてしまった。

この原体験があって以降、「大阪観光の目玉は大阪城」と他地方の人から言われると
「あんな場所が大阪観光の目玉と思われるなんて、心外」という想いが募っていた。

こういう想いは自分だけなのか、と思っていたら、外国人観光客の選ぶ
「日本国内観光がっかりポイント トップ3」に大阪城が入っていたらしい。
先入観がない外国人の目から見ても、大阪城は「歴史的価値の無いレプリカ」としか見なされていない。

・・・ということで、一回、「大阪観光=大阪城、という観光の常識を取っ払って」、
人力検索でアンケートを取ってみる。

私見では、梅田の地下街などは、日本はおろか世界的にも出来るレベルの広さ(複雑さ)なので、
大阪城なんかよりははるかに「観光資源としての価値が高い」と思うのだが・・・

大阪城の「天守閣再現」は戦前だったらしいが、当時であれば、観光的価値はあった。
というのは、当時、大阪市内で大阪城は「二番目に高い建物」だったから。(1位通天閣、2位大阪城
高度成長以前の大阪であれば、市内の高層ビルは「31メートル制限」が掛かっていたから、
事実上、大阪城を凌ぐ建物は通天閣しかできなかった訳であり、その意味では
「今の新梅田シティの観光的価値も、当時の大阪城は併せ持っていた」のである。

また、戦前の時点でエレベーターは珍しい存在(デパートにある程度)なので、
その点も「観光価値があった」

今や、100m超の超高層ビル大阪市内に100棟を超える「高層ビルインフレ状態」であり、
大阪城の高さなんかでは、「観光的価値はほぼゼロ」である。
そして、マンションはおろか、個人宅でもエレベーターが付く時代に、エレベーターが
観光価値を産まないのも明白。

要は、高度経済成長までの時代であれば、観光ガイドブックが大阪城を大阪観光の目玉に取り上げるのは
合理的理由があったのだが、マルビルとか大阪駅前第三ビルとか出来た時点で、観光ガイドブックは
大阪城の扱いを縮小すべきだったのに、惰性でそのままの扱いを続けてしまったことがいけなかった。
その結果、今では恐らく「大阪市内で200位に入るかどうか、というだけのレプリカ城」がガイドブックに
載り続けることになり、外人の「がっかり」を誘っている。