「銀河鉄道の夜」は石炭蒸気機関車じゃない

【2014年1月のツイートを転載】

連続ツイート。子供が「銀河鉄道の夜」というアニメをYouTube視聴。登場人物が猫になってる奴/妻が教育上ダウンロードしたんだろう/自分は銀河鉄道は石炭SLだと思っていたし、恐らく過半数の日本人は石炭SLと思い込んでる。だが原作は違う(続)
(続き)宮沢賢治原作では「この列車、石炭で動いてないね」「アルコールランプか、電気で動いてるんだろう」とある/宮沢賢治は、当時の鉄道の標準型である石炭SLじゃなく、電気機関車ないしディーゼル機関車牽引という「当時としては最先端の動力」を提示してた。(続く)
(続き)「アルコールランプ牽引というのは、ディーゼル内燃とは違うのでは?」との突っ込みもあるが、多分宮沢賢治は「ディーゼル内燃と書いても、(ディーゼルを知らない当時の読者には)通じない、読者に通用する表現にしよう」としてわざと表現を変えたんだろう(続く)
(続き)実は同じ指摘は鉄道評論家の杉山氏もしている、「なぜ日本人は銀河鉄道といえばSLをイメージするんだろう?」とも書いている/断言出来る。日本人が「銀河鉄道=石炭SL」という固定観念を抱いているのは、松本零士が「石炭SLで」マンガを書きアニメを作ったからだ(続く)
(続き)宮沢賢治が有名になったのは死後。「銀河鉄道の夜って、タイトルは聞いたことあるが、中身は知らない」という日本人も多い。団塊世代だと、1970年時点で「銀河鉄道の夜という作品を知らない」人の方が多かったと推察(続く)
(続き)たまたま、中学時代に宮沢賢治ラジオ朗読劇を聞いて感銘を受けた松本零士が、「宇宙を走る列車」という宮沢賢治のアイデアと、自身の小倉→東京の上京SL列車の体験を掛け合わせて作りあげたのが「銀河鉄道999」に。これが宮沢賢治原作を知らない多くの日本人に爆発的ヒット(続く)
(続き)当時、SL引退時期で、「SLブーム」が起きていた。銀河鉄道999は、松本零士が設定をディーゼル機関車電気機関車じゃなく、SLにしたことで、時代の流行に乗っかった(続く)
(続き)その結果、「最先端技術の鉄道」という宮沢賢治の原作コンセプトは、70年代の「反進歩、レトロブーム」の影響で「レトロ鉄道」になってしまう。/映像の力は大きい。原作は映像なかったが、松本零士がSLで映像化したせいで、日本人の固定観念が出来上がった(続く)
(続き)現代に宮沢賢治が「銀河鉄道」を描いたら、多分リニア鉄道で描いてただろう/しかし、冷静に考えれば「宇宙を列車が走る」って、奇想天外な発想だな。宮沢賢治はすごい(続く)
(続き)宇宙を列車が走る、というSF設定は、日本人にはお馴染みになってしまい、ドラえもんにも類似設定の映画がある/欧米人などは「宇宙を列車が走る」という設定に馴染みがないのでは?銀河鉄道が日本人の宇宙SF観念を変えてしまった感(完)
銀河鉄道って英訳すればギャラクシーレイルウェーだと思う。宮沢賢治的世界だとギャラクシーレイルウェーだ/しかし銀河鉄道999、ゴダイゴ的世界だと「ギャラクシーエクスプレス」になり、世間的にはギャラクシーエクスプレスで定着してしまった
映画のテーマソングを、当時のさだまさしとかオフコースとかに依頼してたら、銀河鉄道999のイメージは宮沢賢治的世間になっていたかも/テクノポップゴダイゴに依頼した為、銀河鉄道999は「レトロな外見」と「最先端なエクスプレス」の合わさった鵺的印象に仕上がった
松本零士がSL的外観にこだわったのは、作者の上京時の原体験もあるが、出身地小倉が筑豊産炭地に至近だったからだろうなあ。国鉄専用の炭鉱なんてのもあった
70年代歌謡曲に登場する列車は「汽車」が多い。「なごり雪」も「心の旅」も汽車/「心の旅」は福岡のチューリップ。福岡県人の原風景は汽車/これが電車化したのは「あずさ2号」辺りからか?/ゴダイゴの「エクスプレス」は汽車か列車か電車か明言してない点がウマイ
どうせなら設定を「原子力列車」なんかにすれば面白かった。「原子力船むつ」なんかもあったから。
松本零士の「銀河鉄道999」がYouTubeにあって子供が見てた/「ビフテキを食べる」と言うシーンがあった。今時ビフテキなんて死語ですがな。子供はこの言葉理解できたかどうか