将来、孫なし老人の方が多数派になる

3月5日
今日の日経5面、経済同友会の財政税制改革委員長が消費税17%を主張。その中で「『次世代にツケを残すな』のフレーズを『あなたの孫の首を絞めるな』と言い換えれば理解してもらえる」と書いてあって違和感。「あなた(高齢者)に孫がいる」の暗黙の前提そのものが必ずしも正しくない

http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohki/suikei07/P_HP_H1812_A/3-5-2c.html… の国立人口研推計。1985年生まれ女性が『将来孫を持つ確率=50.0%』、1990年生まれ女性だと49.8%。つまり1990年生まれの場合、僅かながら『孫持ち高齢者の方が少数派』に転落する

この国立人口研推計は、出生率が中位推計で推移したと仮定した場合の孫持ち比率推計。実際には中位推計は厳しいだろうから、孫なし比率はもっと増える/経済同友会の税制税制改革委員長は日本生命会長が務めている。ニッセイ基礎研を持っていて人口推計は得意なハズ。孫持ちが実は少数派と知ってた筈

日本生命会長のみならず、政府も、一般の人も『高齢者の過半数は孫がいる』という常識を前提に政策等を立案するし、シニア向けマーケティングを展開する/『高齢者の孫持ち比率の過半数割れ』という前代未聞の事態に、日本の政府も企業も文化も想定しきっていない

今の70〜80歳代の高齢者は、それでも、まだ孫持ちの方が過半数。だから、ある程度『将来にツケを回すな』のトークが通用する/これが60代の団塊シニアになると、一気に『孫なし比率』が上昇する見込み。こうなると、『将来にツケを回すな』のトークが有効性を持たなくなる

まあ、経団連とか経済同友会のような長老クラブにおいては、『孫がいることが入会の前提条件』みたいな雰囲気があるんだろうなあ、というのはよーくわかる/経団連の老人は、『高齢者の孫持ち比率は9割以上』と誤解してるんだろうなあ。

綾小路きみまろとか、孫がいる高齢者を前提にネタを組み立てている。『孫の誕生日は覚えていても、俺の誕生日は忘れている妻』とか/孫なし高齢者が増えてしまったら、綾小路きみまろもネタを作りにくいだろうなあ。

相続法を改正して、配偶者と直系卑属以外へは法定相続割合を認めずに国庫帰属させる。そういう改正をするだけで、日本の個人金融資産の半額を国庫に取り戻せる。『半数の高齢者に孫がいない社会』というのは、つまりそういうこと/もっとも、富裕層は孫持ち比率が多そうだから、うまくいかないかも。