インスペクション義務化で、中古は活性化されるのか?

5月11日
家に帰ったら、クロ現でサブリース特集やってて、長島修氏が出てた/ツイート見てると、サブリース問題を知らない人が多いんだな。業界では常識だが

サブリース特集、前半は見てなかったが、「農地の固定資産税負担が重くて、その対策にサブリース」な話だったらしい/サブリースの入口としては、圧倒的に「相続税対策」の方が多いと思うのだが

サブリース「被害」の対策は、長島修氏の言うような「住宅総量規制」も1つの対策だが、根本的には、「根っ子を抑える」、アパート建築を助長するような相続税制そのものを変える必要がある

最近は、「元々の地主」だけじゃなく、「普通のサラリーマン」が、サブリースしたりしてる。「将来の自分年金代わり」/この場合、土地の取得も必要だから、借金も嵩む/シ○ケンとか

サラリーマンが「老後」になってしまう20〜30年後に、サブリース物件の稼働率は悲惨なことになってる、、

サブリースとか、不動産投資は、「普通じゃないサラリーマン」がやる場合は意味がある。外資系ディーラーとかで、一時的に超高額年収で、でも年収が将来不安定という場合、「所得税対策」と「安定副収入」目当てで、投資用不動産を購入するのが合理的

そもそも、相続税を節税したいと思わない。ある程度、子供に税負担の試練を与えた方が、子供の為だと思ってる/そもそも相続税課されるだけの財産はないケド / “相続税贈与税を節税する時に絶対に知っておくべき11の方法” http://htn.to/4zP8AL

これ、都市としての冗長性の不足案件だよね。その点、毎日何十何百のイベントがあり、それを前提に宿泊キャパが整備されてる首都圏は冗長性最強な訳だ / “嵐のコンサートにより学会の日程を延期 宿泊予約ができない状況を鑑みて - ねとらぼ” http://htn.to/7usjWf

長島修氏を見て思い出した話だが、GW前に『中古取引時のインスペクション義務化』って日経に載ってた。実際はインスペクション義務化というより、重説でのインスペクション有無の告知義務に落ち着きそうだが/国交省はインスペクション義務化すれば中古取引活性化されると思い込んでるが、果たして?

インスペクション義務付けは、まあやらないよりは、やった方がいいだろう/問題は、『仮にインスペクションを義務付けた』として、果たしてそれで、『国交省の思惑通りに、中古取引が活性化し、空き家率が減少してくれる』のか?私見ではNoだと思う。

多分、国交省は、過去に中古取引経験者とかにアンケートを実施し、『中古物件を買う際のネック』という調査項目で『インスペクションの不備』という回答が多いから、そのまま安直に、『じゃあ、インスペクションを整備すれば、安心して買うだろう』という結論に達したんだろうが、人間はそんな単純か?

今までなら『築20年戸建』で市場に出ていた物件が、インスペクション義務付けで、『ロクなインスペクション結果が出そうにない』ので、『いっそのこと、古家付土地として売り出そう。土地ということなら、インスペクション免れられるから』ということで、古家付土地が急増するだけでは?

単に『古家付土地の流通量を増やすだけ』という結果になってしまうのなら、国交省のインスペクション義務付け政策は、政策目的(古家の適正利用)を達成できずに『失敗政策』に成り下がる

インスペクション結果の『見せ方』も問題。『この家は築20年ですが、建物強度的には築10年程度です』という数値化した見せ方なら、まあわかる/多分、『この家は、経年劣化が少ないです。でも一部経年劣化しています』的な、ファジーな表現に落ち着くだろう。それじゃあ、買う側の素人は困っちゃう

非常に乱暴な私見だが、日本で「新築」が「中古」より「人気」を博している最大の理由は「広告費の物量の格差」だと思うぞ。山手線とか地下鉄で、新築マンションの宣伝を目にしない日はないが、一方で個別中古マンションの宣伝を見ることもない

仮に自分の仮説が正しいなら、国交省の「インスペクション義務化」政策は、中古の活性化には大して役にたたない、ということになる。

誤解しないで欲しいのは、自分は「インスペクション義務化に反対」している訳じゃない。レモン非対称問題解決のため、消費者保護のために、それはそれで必要でしょう/「国交省が企図している、中古の活性化・空き家問題の解決は、インスペクション義務化だけでは、達成しないでしょ?」と言いたい

「日本で新築が中古より人気なのは広告量の圧倒的格差のせいだ」という自分の仮説、国交省がやってそうな「なぜ、あなたは中古物件を買わなかったんですか?」なアンケートの中で、そもそも設問に入ってなかったんだろうな/こういうアンケート、設問の作り方が超重要。設問次第で、頓珍漢な結果になる

さっきのツイート、一部訂正。「広告量の格差」というのは「設問」というより「回答選択肢」の中に入れ込むかどうか、ですな。

あと、中古物件が買いづらいのは、銀行のローンが付きにくいとか、そっちの方の問題もある訳でして。果たして、銀行は完済時に築35年以上になってしまう建物に担保価値を認めるのか?

まあ、今はいろんな意味で「新築優遇税制」(固定資産税とか不動産取得税とか)だから、それを税制中立にする(新築の税負担を引き上げて中古の税負担を引き下げる)という改革は必要でしょうな/自治体レベルで、中古物件購入に支援金を交付するような独自政策が、あっていい

先日「北区とか荒川区の中古戸建をリノベして住んだ方が、子育て世帯にはコスパがいい、待機児童が少ないから」とツイートしたが、銀行担保価値問題がある訳です/ならば、荒川区の独自政策で『築35年を超える部分の担保価値は、荒川区が保証します』な建付けで中古ローンを通りやすくする政策もアリ

コトダマ論を言いたくはないが、「中古」というコトバが、イメージをネガティブにしている気もする。国交省が音頭を取って、中古に代わるポジティブ語感なニューワードを公募してはどうか?

「新築の広告量が、中古広告を圧倒凌駕している」というのは、実質的効果としては、「無意識のうちに、新築が検討のデファクトスタンダードになる」ということですよ。そこで「中古をも考える」に至るには、「小一時間、不動産について調べる」という作業が必要なワケ

家を買う人というのは、「熟慮して購入する」という人もまあいますが、案外「衝動買い」なパターンも多い訳です。「そんなに買う気がなかったが、山手線のCM見て、考え始めた」的な/そこから中古へ進むには、「衝動買い」から一歩踏み込むことが要求される

そういう「住宅購入者の、購入過程プロセス分析」みたいなことを、国交省は本当にやってるのかな?「新築は衝動買いはあっても、中古は衝動買いは少ない」な事実の確認から始めないと、中古の活性化の道のりは険しい。

5月12日
これ、クロ現は「地主のおじいちゃんの失敗」を取り上げてるケド、今は「普通の、土地も持ってないサラリーマン」が「年金代わり」にワンルーム投資してるんだよ。そっちの方が将来悲惨だぜ。 / “アパート建築が止まらない  - NHK クロ…” http://htn.to/EtQ8qj1

5月16日
NHKクロ現で、D東建託の詐欺まがい商法が一気に『クローズアップ』されてきたが、これって『むやみに100人採用して、メチャクチャなノルマを課して、クリアできない90人をクビにして、ノルマクリアな残り10人に超効率歩合』な『ブラック営業』とセットで語らないと本質は伝わらない

『大企業に入る能力がありながら、あんな人を騙す仕事して、楽しいのか?』なはてなブコメがあったケド、住宅営業の人材のレベルって、はてな民に正しく伝わってないと思った。D東建託とか、『体力と押しの強ささえあれば、オツム的能力は、ほとんど問われなくて中途入社できる』よ?

大和ハウスが上場企業最多の新卒数を採用するのは・・・オット、誰か来たようだ。

大和ハウスの営業は、出来る営業はそのまま新築住宅営業に残り、新築を売れない営業はリフォームに回り、それも出来ない営業をロイヤルホームセンターとかホテルとかに『飛ばされる』と聞いたことある。まあD東建託のようにクビにしないだけマシなのかも。

一番サブリースの現状に危機感を抱いているのは、当のD東建託自身だと思うよ。歩合アニマルな営業マンは兎も角として、『なかのひと』の、経営企画セクションでは、『このビジネスモデルは、早晩破綻する』としてケンケンガクガク議論してるんだろうなあ

D東建託が大量に羽生市とか高崎市に遺したアパート群を、植物工場とか国会図書館分室とかにリノベできないのか?と夢想したり