CM自粛のダメージは将来に現れる

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9月19日
キリンビール元社長が「私の履歴書」に書いているが、70年代ってキリンビールは「CMを自粛」してたんだな。独禁法の関係で、「これ以上ビール事業のシェアを大きくできない」として「自主規制」してた

大体幼稚園〜小学校時代のCMから、ヒトは記憶を始めるのものだが、自分の幼少時の脳内には「サッポロビール」「アサヒビール」「サントリービール」のCMの記憶が強かった。特に大阪在住だったからか、サントリービールはしょっちゅうCmしていた記憶がある

他方、言われてみれば、「キリンビール」のCMを見た記憶は、小学校時代までは無かったと思う。キリンビールのCMを見たのは、80年代になって、風変りビール競争(ドライ戦争の前)になってからじゃ、なかったか?

その結果、自分が「世の中には、キリンビールという企業が存在している」と覚知したのは、相当後、80年代になってからだったと思う。そして「実はキリンビールの方が(当時は)シェアがダントツ」と知ったのは、中学3年の社会の授業で、独禁法について習った時点だった

ここでわかるエピソードは、「有名すぎるからと言って、宣伝を自粛してしまったら、『生まれた時から、そこのCMを見ていない世代が成人した際』には、その企業はシェアダウンしてしまう、ということ。

90年代以降のキリンの不振って、70年代の『CM自粛』が、ボディブローのように効いてしまった面も、あるのでは?

でも、『キリンレモン・オレンジ』とかのCmは、割と見ていた記憶はある。それがビールメーカーの子会社の事業である、とは、小学生の自分は認識してなかったんだろうが

で、キリンレモン・キリンオレンジのCMを、70年代の自分がよく目にしていた、というカラクリも、私の履歴書を見れば一目瞭然。つまりビール事業を大きくできなくなったキリンは、ソフトドリンクや医薬・化粧品等への『多角化』するしか、成長余地が無くなってしまったんだな

因みに、アメリカのビールメーカーは、『禁酒法』が制定された際に、一気に多角化していったらしい。国がある業界を法律でシメ上げても、企業というのは『形を変えて、生き延びようとする』

日経の『大機小機』で、『投資家のポートフォリオと、企業のポートフォリオ』という面白い話が載ってたな。企業の側は、多角化してポートフォリオを多様化することでリスクヘッジを図ろうとするが、それって、投資家からすれば『余分な行動』

投資家からすれば、自身の投資先を分散化してポートフォリオを組めばいいだけ。キリンがソフトドリンクとか医薬に乗り出さなくても、投資家側がコカ・コーラとか武田薬品の株を追加で買えばいいだけで、キリンの多角化は、投資家目線では『余計な行動』