事件事故ブレーク4・新大久保事件雑感

事件事故ブレーク4・新大久保事件雑感
(なんでも掲示板 01年1月 投稿済)

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新大久保駅で3人がJR山手線にはねられて死亡した事件。
週刊新潮的見方をするのは嫌いなんですが、JRはこの3人に「損害賠償」を
請求するのでしょうか?
酔っ払って転落した人はともかく、「助けようとして」線路に飛び降りた2人にも
「損害賠償」を請求する可能性は、あります。
つまり電車をストップさせた損害金、復旧要員を現場に派遣した人件費、等々。

これら「損害金」をJRは請求する可能性があります。
というのも、線路に故意に降りることは、JRは「おやめ下さい」としているからです。
鉄道営業法違反です。)
つまり、線路に降りた時点で、JRの走行を「妨害」した(威力業務妨害)、と認定するのです。
酔っ払い1人が死ぬだけなら、JRでしょっちゅう起こる人身事故の1つに
過ぎず、簡単に復旧できたでしょう。

JRは本音では「奴ら(=助けようとした2人)が飛び降りたせいで」復旧に時間がかかり、
大雪前で忙しい中、要員を派遣しなければならず、挙句の果てにはマスコミや鉄道ファン
から「ホームドアを設置しろ!!」と非難される、と思っているでしょう。

JRが遺族へ見舞金を支払うか、それとも損害賠償を請求してくるか、けだし見物です。

小生?勿論ホームドア設置支持派です。
ホームドアは、設置費用を大幅に上回るメリットがありますから。
1)自殺・事故の防止
2)ホームの有効利用が可能。
  即ち「危ないので白線の内側に・・・」の白線が無くなりますから、
  ホームが目一杯使えます。
3)天井までの覆いにすれば、夏・冬に乗客が暑い(寒い)思いをしなくて済む。
  雨も吹き込まなくなります。
4)これが最大のメリットなんですが、電車は通過時に最大速度で進入できます。
  京浜東北線の快速運転などでも、現状はホーム進入時に減速してますが、
  これがフルスピードで進入できて、スピードアップになります。

ですから、JR東日本よ、損害賠償請求なんてケチな考えは捨て、さっさと
新大久保を手始めに設置しなさい!!

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昨日(2/2)のニュース23によると、JR東日本は酔っ払って転落した人の遺族に
「千万円単位」の損害賠償請求を検討する模様です。
そのニュースの中では、「助けようとした2人」へは「損害賠償を請求しない」ともありました。

つまり、「法的には『助けようとした2人』への損害賠償請求は可能であるが、ここで
請求すると、JR東日本の企業イメージが丸つぶれなので、泣く泣く請求を断念した」と
いうことでしょう。

アメリカのような国なら、優秀な弁護士がJR側につけば、「助けようとした2人」の
遺族から損害賠償を取りたてること位、朝飯前でしょう。

ポイントは「JR側がホームの安全措置を取らなかった」「駅員を配置しなかった」過失割合と、
「電車進入寸前の線路に飛び込む、という判断ミス」の過失割合の軽重です。
冷酷に言えば、そうなります。
で、日本の裁判は、大きな組織(=JR)の過失責任は認定しない傾向にありますから、
もし裁判になれば、遺族への損害賠償判決が出たりして(爆)
この場合、かえって陪審制度の方が常識的判決を期待できそうです。

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・・・と投稿したところ、まる様から「威力業務妨害は刑法じゃないの?」という指摘がありました。
威力業務妨害は、まる様ご指摘の通り、確かに刑法上の概念です。
過失の場合は適用対象外です。

しかし、この「助けようとした2人」は、「故意」に線路敷に進入したのです。

つまり、血も涙もないJRサイド弁護士なら、「2人が電車進入直前に線路に下りた、
ということは、「電車をよけられないかもしれない」という可能性を予期しえたにも
係わらず下りた、ということで「電車に撥ねられても仕方が無い」という『未必の故意』が
存在したので、2人(の遺族)はJRに賠償すべき」という主張をするでしょう。

あるいは、電車に撥ねられることを予見しなかったことについての『重過失』が成立
するかもしれません。

小生は、なにもJR東日本に損害賠償を「助けようとした2人」に行え、と煽っている
訳ではありません。
法律、というのが、解釈の仕様ではトンデモになってしまう、ということを
主張したいのです。
そのトンデモがまかり通っているのがアメリカです。

逆に言えば、裁判官、というのは、そういうトンデモな訴え(=しかし法的な論理は
通っている)を却下できる「コモン・センス」が要求されるのです。

しかし、裁判官に過度の「コモン・センス」を期待するのは無理がありますし、トンデモ
裁判官がトンデモ判決を出す弊害も大きい。
ならば、このようなケースでJRは損害賠償請求をできないような立法措置を採る必要が
あります。
それが立法府の仕事です。

これに近いのが製造者責任法、いわゆるPL法です。
企業に証明責任を課することにより、企業のトンデモ訴訟を封じたのです。

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どのマスコミも報じないようなので暴露するが。

新大久保駅事故で俄然注目された「列車防護スイッチ」だが、JRは
「いたずらの多発」を理由として、スイッチの削減やスイッチの存在のPRの
自粛を行って来たのである。

このような会社なら、やはり安全確保についての過失責任は免れないであろう。