「自立国債」は打ち出の小槌になりえるか?

先日日経に載っていた「自立国債」構想。

http://blogs.yahoo.co.jp/saitaniya_ryoma/14844240.html

○政府がその目的、太陽光発電の普及の為の自立国債赤字国債)を発行。
     ↓
○集まった資金を元に、各ご家庭を中心に、その屋根をお借りして、政府が太陽光発電
 システムを設置する。(ここでは貸し賃も借り賃も一切発生せず、両者の間には一切の
 お金の流れはない。)
     ↓
赤字国債の償還原資は、この各ご家庭の屋根で発電した電力を電力会社に売電したその
 売電料を当てる。
 つまり、各電力会社が政府に対して、売電料金を支払うことで、赤字国債の償還がなされる。
     ↓
○一定期間が過ぎて、償還が完了した後は、太陽光発電の売電料は、それぞれのお宅へと
 支払われる。つまり、この償還が終わった時点で、太陽光発電システムそのものが、屋根を
 貸した各ご家庭の所有へと、所有権が移る。

一見「もっともな制度」のように見えるが、このような「おいしい話」には
ウラがある、と考えた方がいい。

今年から太陽光買取価格の倍額制度、という「大盤振る舞い」が始まる予定だが、
この自立国債制度は、買取価格倍額制度を前提にしないと、成立し得ない。
これは「表面的には電力会社の負担」である。

しかし、「電力会社の負担」については、実は「一般電力料金に転嫁してもいい」
ことになっている。
恐らく、1戸当り100円/月程度、電気代がアップするはずだ。

何のことはない、「自立国債」の利払いは、「電気料金」という形で、
国民が負担しているだけのことである。

・・・であれば、何も「国」という公的セクターが太陽光発電装置の所有者になる必要はない。
民間であれば200万円で設置できるところが、お役所なら300万円掛かったりするのが
関の山である。
というか、「財団法人自立国債設置協会」とか、訳わからない公益法人を設置して、
余計な天下り先が増えるだけである。

民間会社が、第三者の個人宅屋上に太陽光発電装置を設置して、そこから売電する、
その売電価格は約50円/Kwh程度を10年続けることを「保証」する、
10年経過すればその装置の所有権は個人へ権利移転する、このような
スキームを考えた方が、はるかに機動的に普及するはずだ。

様々な問題点、例えば住宅ローン付住宅屋上に設置した際の担保権の設定範囲とか、
そのようなことの交通整理を国は行えばいいだけである。