読書ノート 満鉄調査部 2

★後藤の世界観:「旧大陸VS新大陸」
 後々「アメリカVS旧大陸」の構図になると看破
 (ドイツVSアメリカ、ソ連VSアメリカ)
 「ドイツVSフランスは一時的。結果的にアメリカが漁夫の利を得る」
 「日支連合VSアメリカ、となるべし」
★日露戦:日本の背後にアメリカ、ロシアの背後にフランス
 新大陸VS旧大陸の代理戦争だった
★旅順学都論:本当に後藤は実施
 陸海軍用地の召し上げを本当に実施
 その実務やっていたのが、若き日の松岡
★後藤が関東軍に強気で接したのは、背後に寺内大将がいたから
★旅順を学都にすることで、列強にも
 「日本は文治の国」と見せ付けることができる
★東条:満鉄社員を弾圧
★台湾統治:歴代提督は治安維持に手一杯
 「役に立たないから1億円で売っぱらってしまえ」の暴論も
★後藤のインフラ:文事施設も軍事を考える
 例:病院に無駄スペースを多数用意する
 「万一の際に、野戦病院に転用できる」
 例:大連に退役将校集める
 「万一の際に召集できる」
★後藤のポリシー:「文治は最大の防御力」
★後藤と西園寺の間:微妙
アメリカの鉄道王ハリマン「満鉄買い取りたい」
 →政府部内にも賛同者多かった(重荷と感じていた)
 →一旦承諾後、前言撤回(小村寿太郎が強硬に反対)
石橋湛山:「満蒙放棄論」
 吉田茂もそれに近い
★後藤:満鉄人材のリクルートの基本
 「午前8時の人材」を求める
 (「これから」の人間をスカウト)
★実生活も後藤は朝型
三井物産から若手を強引にスカウト
明治維新〜敗戦の間の成長率=4.5%
★発足当時の満鉄:機関車・客車ゼロ
 (ロシア側が引き上げた)
 →内地から車両持込
★満鉄創成期:最初から給与額決めず、仕事振りを見て給与額決めた
 (どれだけの人材なのか、わからないから)
★満鉄:新入社員も気宇壮大
 「北満の水を南満に引いてしまえ」と壮語する新人
★三菱から「石炭の神様」をスカウト
 →撫順の出炭量が25倍に
★満鉄が創立した学校:給与がいい
 内地から優秀な教師が来る
★満鉄:お雇い外国人招聘
 外国人は本国で出来そうもない革新技術を実践
 →満鉄の「成功」が海外で注目される
★満鉄東京本社:列強に対する満鉄のパブリシティ(IR)拠点でもある
★ドイツのチース博士に資料アーカイブ整備のイロハを伝授してもらう
 資料カード方式の整備
 (従来はイロハ順とか、試行錯誤)
 「アーカイブ」という概念を持ち込んだ
満鉄調査部の東京支局
 「東亜経済調査局」・・・日銀調査局より格上
 調査機関連合会のトップに座る
★ロシア国内にトルコ進出派と極東進出派の争い
大川周明:東亜経調局の編集課長
 →経調局のボスに
 反対分子を大連に追いやり、昭和4年には東亜経調局を
 満鉄から独立させる
★「張学良はアヘン中毒」の俗説
 ・・・大川、張と親交、俗説がウソと見抜く
★大川:敵も多い(北一輝や河本大作)
安田財閥が大川を支援→資金配分方法で北が大川に不満
★五高:地理的近さもあって、満鉄入社多い
★笠木良明:大連の大物、若手に人望あり
 「日本のための満州」でなく「満州のための満州」唱える
 関東軍と対立
★満鉄嘱託の橘樸(シラキ):超天才
 五高の受験に遅刻し、入室断られる
 →翌年首席入学
 このとき入室を断った試験官が夏目漱石
★佐倉重夫:満鉄退社して新設の三菱総研へ→中興の祖
満鉄調査部:シナとロシア調査が主
 経調局:南方調査も手がける
★満鉄内に調査部以外にも調査セクションあり
 例「整備局」
 実際は対ソ作戦を所管
 「ソ連侵攻時の緊急ダイヤ作成」など
 シベリア鉄道の輸送力も調査
★満鉄新入社員:中国語検定必須
 合格できなければ半人前扱い
内務省エリート:月給75円
 大連満鉄社員:120円
★調査テーマ選択は「自由」、何書いてもいい
 但しフィールドワークでないと駄目
★満鉄:五高出身者とともに神戸商高出身者も多い
★満鉄販売課の柴田徳次郎→国士舘大学を創設
★満鉄:次男坊三男坊が来るところ
★満鉄若手のレポート
 「鉄鋼価格は高騰は第一次大戦の特需、これが終われば暴落する」
 鉄鋼生産拡大に警鐘
 実際にそうなったのだが、警鐘は日の目見ず
★大戦前:揚子江流域はイギリスが経済支配
 →大戦後は日米が主導権争い
★経済トップ争いに重大な意味
 取引最多国が税関トップ(総税務司)を選べる  
 つまり、関税事務を手中に収めることになる。
★フィールドワークするには馬賊対策必須
 馬賊を雇って護衛させるのが早道
★大学生の人気就職先:満鉄調査部か京大人文科学研究所
★中国:まともな統計が存在せず
 (度量衡の統一がそもそもされていない)
 ・・・なおさら、フィールドワークが重要
★歌手の東海林太郎も満鉄出身
★満鉄のロシア調査拠点「ハルピン事務所」
 「ハルピン鉄道特別調査班」:満鉄内でも知る人が少ない
★ロシア情報:パリと香港に多い 
★ハルピンでソ連とのスパイ合戦
 →ソ連側は後の首相マレンコフがスパイ指揮
★ハル鉄特調(通称「桃太郎」)
 敗戦後、ソ連は「軍人」として扱った(=シベリア抑留)
 しかし日本側は「民間人」として補償せず
中江丑吉:北京で活動
 中江兆民が西園寺の友人だった関係で満鉄へ