読書ノート 満鉄調査部 3

★満鉄「嘱託」:ピーク時には2,000人に達する
★河上清:「左翼初」の満鉄嘱託
★満鉄内「マル経齧っていないと一人前じゃない」の雰囲気
★後藤無き後の満鉄:政友会支配
★満鉄と政友会の「癒着」:憲政会が攻撃
 満鉄株を一株単位で買って、株主訴訟起こす
★満鉄総裁:就任時に伊勢神宮参拝
 鉄道省大鉄局長として小日山総裁を接待したのは佐藤栄作
山陽線と鮮鉄で運賃割引→阪神間の綿布が安く入る
 朝鮮:元々欧米綿布のシェアが高かった→阪神産がシェア奪回
★次は安奉線の運賃下げて満州まで運びたい
 (安奉線:遊休路線化)
★「しかし安奉線だけ下げるのでは道理に欠く、全路線一律下げるべし」論
 →全路線下げてしまうと、大阪商船の大連回りが安いママになる(逆転できない)
★満鉄社内:安奉線単独値下げ反対が多数
 →原敬は満鉄人事に介入して、単独値下げを強行させる
★安奉線単独値下げの最大デメリット:満鉄の拠点である「大連」の地位低下を招く
★安奉線値下げ:日本貨物限定の措置
 →アメリカが「機会均等に反する」とクレーム入れる
★竹中政一経理部長:満鉄を二年で全信号自動化
 →後の満州事変時に全自動化が役に立った
★安奉線値下げ・・・「満州が日本の市場に成り下がる」ことになる
 「満州の産業自立」にはマイナスになる、と若手社員は考えた
★大胆な代案
 「安奉線値下げを破棄する。それで鮮鉄の輸送量が落ち込むなら、
  いっそのこと鮮鉄を満鉄が救済合併してしまえ」
★鮮鉄:旅客輸送は満鉄より多いが、貨物輸送は満鉄のわずか5分の1
 低収益体質
★最後は玉虫色決着「2年間値下げ」
 そうこうしているうちに船賃が暴落し、大連ルートが定着
 鮮鉄は満鉄の支配下
関東軍:元は「関東都督」の参謀部
★満蒙独立運動のルーツは川島浪速(川島芳子の養父)
★満鉄:孫文に援助(犬塚理事が50万円支出)
★満鉄沿線:両側100mは平坦地(林を伐採した)
 ∵森林があると、馬賊に襲われる
★「ソ連馬賊を援助した」説
馬賊:掟が厳重。例=「レイプ即死刑」
★「天高く馬肥ゆる秋」の真意
 「秋は馬賊が跋扈する」
加藤高明岩崎弥太郎の婿
★露蒙通商議定書:外蒙古でロシアの権益認める
 →「ロシアがOKなら日本も」と21ヶ条要求へ
大倉財閥が満蒙独立運動を援助
★日立の久原も孫文援助
清朝の8大王家のナンバーワン、粛親王大倉財閥援助
★政府部内の満蒙陰謀:2ルートに分かれる
 粛親王ルートと張作霖ルート
 →張作霖が念願の奉天将軍になる
 →粛親王ルートが張作霖暗殺計画(失敗)
 そうこうしているうちに袁世凱が急死、陰謀はご破算に
★三井スカウト組「三太郎」
 犬塚信太郎、相生由太郎、楢崎猪太郎
★後藤:大陸浪人の存在が我慢ならない
★後藤の暴論:「シナはアヘンを専売にして、その利益で対日借金を返済すべき」
満州金融:横浜正金(東銀)に扱わせる案→頓挫
 朝鮮銀行や東洋拓殖が取り扱い
第一次大戦に中国が「参戦」することを日本は恐れた
 (講和会議で発言権持って欲しくない)
第一次大戦で列強が中国手薄に
 →中国民族資本が成長
★満鉄:アメリカ製SLを買う
★日本軍部が「皇軍」という用語を使い始める
 →欧米世論が硬化
第一次大戦後不況→満鉄も人員整理
★満鉄:大豆保管をやったおかげで大豆価格安定
★大豆:食用になるだけでなく、大豆油が点灯用、潤滑油に使われた
★大豆の生産力に対して満鉄の輸送力が追いつかず
 →大豆を保管した上で「大豆査証」発行(一種の為替)
 同等等級の大豆を、大連で業者に引き渡す
 →現物を強引に大連に輸送する必要がなくなる
★満鉄:収益の80%が鉄道、その中の85%が貨物
★大豆を麻袋で運ぶデメリット
 ・麻自体が高い
 ・麻袋は嵩張り、スペースを食う
 ・クーリー(苦力)の人件費が高い
 →バラ積み、エレベーター化できないか?
木戸孝允の息子が鞍山鉄鉱を発見
 但し貧鉱(鉄分少ない)→日米合弁案
満鉄調査部の情報収集の鍵
 「いかに日本人に会わないか」
 日本人の情報はバイアスが掛かっている
★昭和になるにつれ、「古きよき満鉄」がなくなっていく
 「お前」で呼ばず、「部長」など肩書きで呼ぶ社風に
★理事:総裁が辞めると、巻き添えを食って半分の理事は辞任
★満鉄の「機密費」:大半は政党や軍閥に流れた
★小平の庄屋「小川愛次郎」:小川の地名残す
 ・・・中国成都で「小川グループ」作る
★昭和19年:辻政信も小川愛次郎も「撤兵」で意見一致
 但し「撤兵が一番難しい」方法論で頓挫
★「社歌」募集
 「帝国の高義を表明」しながらも「支那人の感情を害さない」歌
★満鉄立学校
 満州国建国後は満州国立学校へ移管
 教師は「退職&再雇用」の体裁
 →退職金で家を買う人が続出