零細本屋はアマゾンがなくても後継者難で潰れる運命だった

【10月27日の自分のツイートの転載】
@sutannex 多分本屋業界に限らず日本の個人小売業共通。高度成長期に創業した個人商店主が丁度リタイア時期。子供が継がなければそのまま廃業。早晩廃業する予定だから、売上アップにシャカリキにならない。Amazonの普及は個人商店、個人経営商店の廃業を体よく後押ししただけ
高度成長期に成立した社会システムは、次世代が継がない限り、団塊世代の鬼籍入りと共にフェードアウトする。個人経営商店、個人経営工場、個人経営工務店という存在も、あと10年もしたら後継者難で激減する
「日本人の書籍離れ、Amazonの普及が街の本屋を壊滅させた」という論調は皮相的。Amazonが普及しなくても、経営者が高齢化して後継者がいない街の本屋の減少トレンドは変わらなかっただろう。
むしろ、個人経営商店インフラの後継者として「Amazonという書籍流通インフラ」が出現した書籍業界は「恵まれた方」だ
個人経営商店主が鬼籍に入ったあとに後継するプレーヤーがいない業界が一番問題。日本の中小企業メーカーの大半は、経営者が鬼籍に入ったら廃業に追い込まれる。日本のモノ作りの基礎体力が低下する(モノ作りインフラの崩壊)
自分が関係する住宅業界の隠れた課題、最大の課題はこれ。いわゆる「棟梁」「工務店」の後継者が不足している。このままでは「家を作りたくても、建てる人がいない」ということになりかねない
Amazonのせいで街の零細本屋が潰れた」という「分かりやすい説明」が受けるが、街の零細本屋はAmazonが伸びなくても早晩廃業してた筈。個人経営主が高齢化して後継者いないから / “なぜ、Amazonで本を買わないの?” http://htn.to/xz9JM5
宮脇書店とか、地方でも法人組織な書店は生き残ってる。零細本屋廃業理由は、「本が売れないから」というより、「後継者問題をクリアできない個人商店の限界」だと思う / “なぜ、Amazonで本を買わないの? - 琥珀色の戯言” http://htn.to/xSRrTp
たとえば、個人経営が多い「そば・うどん屋」って、ものすごい勢いで廃業してる。しかしその理由を「日本人のそば・うどん離れ」とか「丸亀製麺のせい」と分析するのはトンチンカン。「零細本屋が潰れるのはAmazonのせい」と言うのは、それと同じくらいトンチンカン
まあ丸亀製麺が伸びたのは、個人経営のそば・うどん屋が激減してると言う供給プレーヤーの変化を巧く捉えた、と言う面もある
駅前不動産屋とか、そろそろ創業者が70代でリタイア時期。多分、大手仲介会社が伸びるんだろうな
いわゆる「街の電器屋さん」も、そろそろ代がわりの時期。ヤマダ電機が伸びなくても、早晩廃業する運命にあった
今の団塊世代までは、実家の大半は農家だった訳。農家は一種の個人事業主で、組織人じゃない。「個人事業主ネイティブ」な団塊世代は、高度成長期に結構個人商店を開業した
しかし団塊ジュニア世代になると、企業勤めがポピュラーになり「組織ネイティブ」になってくる。そうなると成人しても創業あまりしないし、のみならず個人商店の息子も跡を継がずに組織に入ったりする
後継者不足問題が一番深刻なのは間違いなく農業。日本の農業はTPPなんかには関係なく、後継者難で失速する
「低い低い」と問題視される日本のカロリーベース自給率だが、曲がりなりに40%程度を維持してるのは、昭和一桁な高齢農業者が頑張ってコメ作ってるから。彼らが鬼籍入りしたら、TPPに関係なく自給率は更に激減する
農水省に知人のキャリアがいるが、農家の高齢化、後継者不足による農業崩壊リスクは百も承知で、でも「打つ手なし」のようだ/Amazonと言う後継者が現れた本屋業界が恵まれてると言うのは、つまりそういうこと