ホクレンとバター不足と学校給食牛乳

11月23日
牛乳や乳製品の需要というのは、結構「学校給食」で作られてたりしてるからね。/学校給食のない夏休みは、大幅に需要が萎む / “11/22放送 ガイアの夜明け「バター不足の真相」に対する反論 - Togetterまとめ” http://htn.to/8Lom513V

昨日のガイアの夜明けネタが炎上してるようだが、乳製品流通は「学校給食需要による歪み」問題以外に、「牛乳の形式だと、千葉などの首都圏郊外の酪農家が有利で、北海道の酪農家は不利」という地理的事情の問題も絡む。北海道の生乳は、結局単価の安いバターとかにしかならない

豆知識。牛乳の消費において、学校給食は1割を占める/なので、学校の夏休みの時期は、牛乳は1割余剰になる

そもそも、バターは不足かもしれないが生乳は過剰だったりするのだから、バター不足の原因はバター用の生乳価格の価格設定ミスの方が大きいんじゃないの?ホクレンの売り惜しみ云々じゃなくて

だから、「牛乳用」「チーズ用」「バター用」の価格設定を、もっと弾力的にできるような制度設計変更する方がいいのかもしれない

ホクレンの関係者?がガイアの夜明けに反論してる。「北海道のどこにいても、工場から近くても遠くても、買い取り価格が一定なので、札幌でも根室でも稚内でも、安心して酪農を営めます」/そもそも、工場からの遠近という立地条件を、一律買い取りで「補正してあげる必要性」が、あるのか?

稚内だと工場への輸送コストが嵩むから、酪農がハンディになる」というなら、稚内の酪農家が協同して稚内に工場作ればいい話/それも出来なくて廃業するのは、冷たいいい方だが「仕方ない」とも言える

あと、バター不足の一因には「そもそも酪農家が高齢化で減少してる」という現実もあるからな。これは何も酪農家だけじゃなく、日本の農業、いや産業全てに共通する課題/誰も信じてくれないが、10年も経つと、今度は「コメを作る人がいなくなってコメ不足になる」から

まあ、ホクレン側も「(マイナーな)テレビ東京だろ?」な感じで、ワキが甘かったのかもしれない。これがNHK辺りなら、もっとガードが硬かったかも

「北海道の企業体」という観点だと、確かに雪印拓銀がお逝きになってるから、ホクレンまで逝かれたら大変なことになるな

北海道の辺境、釧路とか根室とか稚内は、このまま行けば鉄道も廃線になり、酪農もコスト高になる。(自由取引になれば、地理的に不利)。何をして生きていけばいいのか/そういう時の為に、サハリンや北方領土との経済交流が重要なのかも知れない

「学校給食が生乳の需給を歪めてる」というのは、仮に事実であっても「子供の教育」という聖域に触れちゃうので、アンタッチャブルなんだろうか?

つまり、文部科学省的には、「最低でも学校給食の牛乳分だけは、国内の酪農家の生乳生産を、維持してもらわなくては、困る」んだろうな

調べてみたら、「学校給食に牛乳」というのは、「学校給食法施行規則」にあるんだな。法律じゃなく省令/仮に省令に違反したら、それは法令違反ではあるが、果たして国会が関与してない部分まで、そこまで規制していいのか?

それぞれの教育委員会が、学校給食法施行規則通りに牛乳出してるのは、栄養価の計算がラクだから、という実務上の話でもあるんだな。カルシウムを摂取させるのに、「牛乳出しときゃ、いい」となる/小魚でカルシウム摂取させるのは、なかなか大変

ホクレンは表向きは「営利企業ではない」から、営業利益率が1%未満でも、別に構わないんだよな/関係者の給与水準は知らないが

ホクレンが大儲け」というタイトルについて、「営業利益率が1%未満で、全然儲かってない」のツッコミ/そもそも営業利益率って、業界によって全然違ってるけどな。小売業とか、営業利益率が相当低い

ホクレンは道内で買い取り価格を輸送費込みで一律にする必要があるのか?」「根室稚内のような、地理的に不利な立地が、輸送費ハンディで酪農営めなくなっても仕方ないのでは?」ツイートに対し「そうなると稚内とかの生乳生産が減り、バター不足が悪化する」のレス/札幌とかが増産する可能性は?

「その土地に最適な産業が、立地する」という神の見えざる手理論で言えば、首都圏はおろか札幌圏からの距離も遠くて、「本来なら酪農の出荷コストが嵩む」道東道北の最適産業は、酪農じゃなくて風力発電なのかもしれない

まあ、輸送費調整を止めて稚内とか根釧の酪農家が廃業したら、一時的に生乳生産が減って、バター不足も深刻化するかもですな/そうなると、「バター輸入を自由化すればいいじゃん」論議になる