三浦展文庫本コメント

7月22日
三浦展の文庫本を衝動買い/多摩市の2005→2015世代別コーホート人口分析。意外なことに、10歳〜19歳ではコーホーと人口は「増えて」いる。「ニュータウンは黄昏て」と揶揄されがらも、2005年に0〜9歳だった世代では多摩市は「流入超過」なのである

一方で、28歳〜40歳コーホートの人口流出は著しい。/ここから推測されるのは、「子供のいない30代の多摩市からの流出が著しい」反面、「子供のいる30代は流出より流入が多い」ので、結果的に「10代コーホート人口は流入超」になってる

因みに所沢市は10〜19歳コーホート人口でも流出超になってる。つまり所沢市は多摩市と違って「30代子育て世代からも、見離されてる」

30代子育て世代は、わざわざ所沢市まで足を伸ばさなくても、手前の西東京市とかで「飯田のいい家」が手頃な価格で買えるからなあ

さらに、所沢市は60歳以上のコーホート人口減少も著しいらしい。多摩市はこの世代ではあまり減少していない。/多摩ニュータウンの老人は、なんだかんだで多摩ニュータウンに愛着があるが、所沢市老人は所沢市に愛着が無い

ニュータウンは黄昏れて」で、一躍脚光?を浴びた多摩市だが、真の黄昏チャンピオンは所沢市だった、というオチ/結局、「第四山の手」などというミーハーなワードで移住した団塊世代は、第四山の手に愛着なんか湧かずに所沢を使い捨てた訳だ

それでも所沢市は、大学が立地してるので、18歳〜25歳のコーホート人口で大幅増加してるのが救い/そうなると、大学が都心移転する相模原市などはコーホート人口的に厳しい

一方で、コーホート人口が大半の世代でプラス、という市もある。意外なことに川口市が該当する/つまり、親に連れられて移住した幼児児童、上京した若者、結婚して新居を探すカップル、子育てで家を買ったファミリー、全てに選ばれてるのが川口市

川越市は、29歳〜35歳辺りがコーホートマイナスだが、それ以外の世代はおおむねプラス。つまり「選ばれてる街」

東京23区の人口が増えてるのは、「転入数が増えたから」というより「転出数が減ったから」というのが三浦展の見立て。転入数そのものは殆ど横這い/一方で、かつては見られていた「子育ての為の23区から郊外への転出」が激減した

1982の23区内外人人口は10万人だったのが、今は38万人らしい。気付かない間にインターナショナル化が進んでる

三浦展は性比分析もしていて、「埼玉の若者は、女性ほど東京に上京してる」とのこと。男性はマイルドヤンキーで、あまり上京しないのか?/というか、通勤ラッシュ、満員電車耐性が、男性ほど耐性高くて女性ほど耐性が低いからでは?埼京線の痴漢電車に、男性は耐えられるが女性は耐えられない

因みに、埼玉県に社会人になっても住み続ける人の「子供有り率」より、埼玉県から東京都に上京した人の「子供有り率」の方が高いらしい。東京のマンションの高さとか環境とかは、子作りの阻害要因にはならない?

むしろ、埼玉県に住み続けて、埼玉賃金を甘んじていたら、結婚も子作りも出来ない、ということか?/しかしそれだと、「首都圏より首都圏以外の出生率が高い」ことと整合性が取れない/「埼玉県から東京に上京する位にアグレッシブな人は、結婚にも子作りにも貪欲」ということか?

三浦展恒例の「属性別の住みたい街ランキング」、「非正規社員女性」と「専業主婦女性」と「正社員、年収高い男性」の「住みたい街」は一致するらしい/一方で「正社員女性、高収入女性」の住みたい街や「非正規社員男性」の住みたい街はズレてくるらしい

つまり「非正規社員女性」と「専業主婦女性」の価値観は、「高収入男性」の価値観と一致しやすく、なので「高収入男性に嫁入りする非正規社員女性」が多い(→専業主婦になる)ということなのか。

三浦展によれば、埼玉県人男性にヒアリングしたとことろ、短大卒以下には「川越」が人気で、大卒以上には「浦和」が人気だったらしい。/大卒に浦和が人気なのは浦和高校を始めとした文教イメージなんだろうが、短大卒以下で川越が人気なのは「自営業者が元気」だからじゃないか?

埼玉県男性大卒に「浦和」が人気/ならば女性にも「浦和」は人気なんだろうと思ったらさにあらず、女性はどの属性でも「大宮」が圧倒的人気/よく考えたら、大宮はデパートとかショッピングスポットが多いが、文教都市浦和にはショッピングスポットは少ない。買い物好きな女性と買い物嫌いな男性の差?

三浦展自身は「大宮は飲み屋が多いから、それが女性に受けている」な解釈をしているが

短大卒以下女性に千葉ニュータウンエリアが人気らしい/確かに今の千葉ニュータウン中央の雰囲気は、80年代の多磨ニュータウンに通じる/ということは、30年後には、、/この辺は、さかーきーやおさーむーの言う「暴落確実エリア」だが、まあ不動産価値が全てじゃないからね

三浦展によれば、所沢市から狭山市入間市への転出が多いらしい。一見、「都心回帰、職住近接」な流れからすれば逆行してる/だが、これは「所沢市は23区のベッドタウン」という思考から見た勘違いだろう。例えばホンダの狭山に通う人からすれば、むしろ所沢市より狭山市に住む方が合理的

つまり、所沢市を「東京通勤圏」と解釈するのはもはや「時代遅れ」であり、実態は「東京圏と隣接する別な都市圏」と解釈した方が自然、ということ。たぶん、所沢市から23区への通勤人口は昭和時代と比較すると激減してるだろう/つまり、所沢市秋田県とか熊本県と同じ「地方」になった

となると、「工場とか物流基地の誘致」という、東北や九州の自治体がやってそうな「泥臭い企業誘致」が、埼玉県西南部でも必要ということになる。狭山市入間市の方が所沢市よりもそういう活動が活発だったということでは?

まあ、小手指タワーズみたいな「駅直結なタワマン」は、例外的に23区通勤圏だとは思うが/所沢市全体で言えば、駅から徒歩5分以内じゃないエリアは「東京23区通勤圏に包含されない地方圏」なんだろうな