『自治体崩壊』読書メモ 新潟市のスプロール化について

田村秀『自治体崩壊』読書中。ネタに事欠かない本だ/氏は新潟大法学部長で、新潟市のアンチ・コンパクトシティぶりを批判。その典型が『県庁の郊外移転』/でも、新潟市スプロール化って、私見では『新潟地震を受けた、防災対策』の歴史的結果なんだと思う。新潟地震がトラウマになり、過度に郊外化

長岡市は、壮大な失敗に終わった『長岡ニュータウン』のトラウマから、中越地震を契機に一気にコンパクトシティ化に舵を切る。氏は長岡市の取り組みを評価したうえで、『1985竣工の現県庁舎も早晩老朽化するから、その際は長岡市に県庁移転しちゃえ』と大胆な提言

明治初期、新潟県は全国で一番人口の多い県で、大地主による資本蓄積も起こっていた。その結果、若いナンバーで『第四銀行』が設立された/でもその後の発展スピードは遅かった/明治期に先進都市だった新潟に、銀行のみならず『帝国大学』が誘致されなかったのが痛かったのでは?都市格が違ってくる

新潟って堀割の街だったのを、残さず埋め立てて駐車場にしちゃったらしい/私見だが、それが『都市の風格を下げ』てしまい、観光客がやってこない街に成り下がったんだと思う

新潟のスプロール化を停めて、コンパクトシティ化する方策をいろいろ筆者は書いているようだが、そんなのカンタンだよ、アルビレックスを都心(古町)に移転しちゃえばいい。カープと同じ理屈/ビッグスワンの跡地はテキトーに使ってくれ。そんじゃーねー

過疎対策に、年間2兆円が投入されているらしい。過疎エリアの人口は1,000万人強/一人当たり年間20万円/40年掛けて、過疎エリアから非過疎エリアに移住させる政策を取ったとして、1人当たり800万円。なんとか移住できるのでは?

『2016年は島根県の過疎エリアを一掃して都市部移住させます、17年は山形県の過疎エリアを一掃して都市移住させます』な風に、40年かけて各都道府県の過疎エリアを一掃。総予算80兆円、年当たり2兆円。暴論か?/理屈上、『浜通りエリアの移住』が『成功』したのだから、他エリアでも可能

2008年に自民党が『1,000万人移民構想』を提唱したが、政権交代でおじゃんになった、と書いてある。そういえば、そういう話もあったねえ/前の自民政権時代の、いろんな『幻の政策』を掘り起こしても面白いかも。再チャレンジ議連とか

よくフランスは、子育てに国費予算が投入されたことで出生率が回復した、非嫡出子も差別されないから出生率が回復した、とされている/『自治体崩壊』の199頁では、フランスの合計特殊出生率の低下⇒回復は『数字のマジック』でしかない、と冷酷に書いている

合計特殊出生率だと、ある世代で『出産を後倒しして、高齢出産』した場合、一時的に出生率がダウンして、また回復される現象が観察される。/コーホート出生率で本来分析すべきなんだが、コーホート出生率は50歳にならなければ確定しないので、途中時点での分析には不向き

独身税』構想にも言及。『ヘタに独身税を導入しても、ビンボーな若者は更に結婚できなくなるから、悪循環』/年収制限加えればいいじゃん。『年収1,000万円以上の独身者には、独身税を課す』だと、文句も出なかろう/実際、自分の周りには、年収1,000万円クラスの独身がうじゃうじゃいる