未来ニュース社1面記事 「裁判員調査票返信率 わずか20%台」

★この話はフィクションです(多分)★

裁判員候補へ送付した調査票の返信率が、返信期限の●日時点でも
わずか20%台に留まっていることが法務省の調査で判明した。

調査票は、候補者が裁判員として適任かどうかを判断するための
重要な材料であるが、この返信率のままでは来年5月の制度実施は困難となる。

法務省では、未返信の候補者へ再度督促のDMを送付する等の対策を急遽検討しているが、
「そもそも未返信の候補者は、裁判員に協力する意思がない人が多いため、
 督促を行っても効果は殆どない」との指摘が法務省内でもなされている。

法務省内では「裁判員候補者を大幅に追加するしかない」との意見も出ているが、
この場合来年5月の制度実施はスケジュール的に難しくなるため、
法務省内では制度実施の延期検討も浮上している。

(関連記事は社会面に)

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社会面記事

「笛吹けど踊らぬ候補者 制度反対の電話圧倒的」

裁判員調査票の返信率が20%台と著しく低く、制度実施に黄信号がともり始めた。
裁判員制度に戸惑い・反発する「裁判員候補者」の実情を報告する。

レポ1〜フリーダイヤルの現場で〜

「なんで協力せにゃならないのか?」
「調査票を出さなくてもいいんでしょう?」

法務省は、調査票郵送に合わせて、記入方法等の疑問に回答するために
フリーダイヤルを設置した。
しかし、そのフリーダイヤルに掛かってくる電話の大半は
「辞退できないのか?」「調査票を返信したくない」という
「制度反対」の電話ばかり、という。

フリーダイヤルを担当する村山さん(仮名)が「裁判員制度の意義」を電話口で強調するものの、
殆どの人は「聞く耳を持たない」状況で、
「怒って電話を切る人も多い」(村山さん)。

又、仕事への影響を気にする電話も相当多い。
「自営業をしているが、辞退が認められないために生じた損害を国は補償してくれるのか?」という
質問が相次いでいるが、この質問に担当者は「正面から答えられない」。
サラリーマンでも「職場にいづらくなる」「同僚に迷惑掛けてしまう」という電話が
多いという。

「自営業者は辞退を認めないと、損害賠償に発展するのではないか」
村山さんはこう心配する。

あと意外に多かったのが
「調査票は個人情報。むやみに出したくない。」という
「プライバシー懸念」を理由に調査票を渋る候補者。
「調査票への回答がプライバシー侵害につながる、という論議は今までなかった。
 何らかの対策を打たないと、候補者は協力してくれない」と
村山さんも指摘する。

又、昨今の振り込め詐欺架空請求詐欺の横行の影響で、
「裁判所から郵便物が来ているが、これは本物なのか?
 何らかの詐欺じゃないのか?」という問い合わせも多い。
「調査票が届いていても、架空請求詐欺同様にみなされて、
 そのまま捨ててしまっている候補者も結構いるのではないか?」と
村山さんは心配している。

想定外だったのが
「家族の者だが、本人は別居している。どうしたらいい?」という問い合わせが
相当数に上っている、ということ。
候補者は選挙人名簿から選定される、つまり住民票上の住所を基に
送付されているのだが、
「市役所の住民課担当によれば、数%の住民は、住民票上の住所と別の場所に生活の本拠を置いている」
という実態もある。
「若い単身者の場合、住民票を実家から移していないケースが多い」が、
調査票は「実際には住んでいない親元の実家」に送付されてしまう。
このような場合、選挙のはがきも親元に送付されてしまっている訳であるが、
「もともと選挙を棄権するつもりの若者は、選挙はがきが自宅に届かなくても気にしない」ため、
なかなか住民票を移そうとしない。
今回、「裁判員候補者調査票」の手続きで、初めて「住民票住所」と「実際の住所」の
ズレが相当数存在する、という現状が「露呈」された格好だ。

また、村山さんとは別の担当が受けたケースで、
「郵便局の手違いで、別人宛の調査票が自分のポストに入っていた。
 どうしたらいい?」という問い合わせもあったという。
本来であれば、「裁判員候補者に選ばれた」という事実は、
「第三者にオープンにしてはいけない」とされ、罰則まで用意しているのだが、
「郵便事故により、第三者裁判員候補者の氏名を知ってしまう」ということは
「全く想定外だった」と法務省幹部も認めている。
日本郵便によれば、普通郵便の場合、「0.01%程度の確率で郵便事故が発生する」と
されるため、全国で20万人裁判員候補者がいれば、
「計算上、20人の候補者には調査票が届かない、あるいは別の家に調査票が届いてしまう」
ことになる。
調査票の返信の場合でも、同様に郵便事故が懸念される。
郵便事故を少なくするには「書留で送付」することがベストであるが、コストが嵩む上、
「不在時には再配達手続きや郵便局受取をしなければならず、候補者から面倒くさいと
 新たなクレームになってしまう」ため、「普通郵便で送らざるを得ない」(法務省関係者)

「返信率20%台」という危機的数字の理由として、
このような「想定外の要因」が積み重なったことが考えられる。