「のってこ!」徹底考察

先述の通り、まる様の反対を「振り切って」、相乗り「のってこ!」を
初体験した。
タクヤ様、ありがとうございました)

東名とか見て思うのは、結構定員5名の普通乗用車に、
1〜2名しか乗車していないという「環境に優しくない状態」が
結構横行している、ということ。

ということで、「理想系」は
「遠距離ドライブ乗用車の乗車人員を平均1〜2名増加させ、
 走行車両数を1割程度減少させること」を社会目標として、その方策を考察する。

逆に言えば、公道上で乗降して道路渋滞や事故を惹起し、かつ超過労働による
過労死や事故を惹起する、ウィラートラベルのようなツアー型(不定期型)バス事業を
「撲滅」することを目標にしている、と言い換えてもいい。
ウィラーがなくても、定期路線高速バスがあれば、相乗りに抵抗がある人は、
そちらを利用すればいいのである。
定期路線高速バスよりも「安さ」を追求したい人に、
相乗りがポピュラーになればいい。
(因みに、ウィラーも、ピーク時には定期バス並みの価格になる)


★そもそも何キロのドライブで相乗りは成立するのか?
 (どの距離のドライブにおいて相乗り潜在市場が存在するのか、を
  考察すれば、ビジネス戦略が立てやすい)

 あまり短距離のドライブだと、相乗りは成立しない。
 いや、一応成立するのだが、相乗り前の事前交渉等の煩わしさを考えると、
 わざわざ相乗りするインセンティブが働かない。
 多少高くてもバス等を利用するか、自家用車を利用する。
 
 感覚論であるが、東京近郊区間(東京通勤圏内)だと、
 あまり相乗りは成立しないのではないか?
 小生は産総研によく行くが、確かにTXの高運賃は「痛手」だが、
 かといってつくばへ「相乗り」するのは、煩わしく感じる。

 これがさらに先、水戸とか日立、袋田の滝とかなら、
 相乗りしてもいいかな、という気がする。

 あるいは、北西方面であれば、森林公園に行くこともあるが、
 ここもわざわざ相乗りする気はしない。
 その先、群馬県が目的地なら、相乗りしてもいいかな、とは思う。

 なので、人にもよるが、概ね50〜100キロ圏外が目的地の場合に
 相乗り需要がある、と考察していいのではないか?
 いわゆる「首都圏外」である。

 しかし、東京〜九州のような、超長距離ドライブの場合、
 需要・供給が滅多に発生しないため、需要と供給のミスマッチが起こりやすい。
 つまり、1月4日に九州に行くクルマがあるが、同乗者がいない、
 あるいは1月5日に九州に行きたい希望者がいるが、クルマがない、のような
 ミスマッチが起こりやすい。
 これが東京〜関西のような距離であれば、それなりに需要も供給もあるので、
 相乗りお見合いが成立しやすい。

 加えて、物理的に東京〜九州だと、1日で走行するのは不可能なので、
 単に相乗りのみならず、「どこで泊まるか?」という問題も出てくる。
 
 つまり、あまりにも距離が距離なので、飛行機やフェリーを選択する人が多く、
 自家用車がほぼ存在しないのである。

 なので、これも人にもよるが、関東から見たら、中国地方や青森(つまり本州)が
 相乗りの「限度」だろう。


★どのような需要があるのか?

 「のってこ!」事務局では、スキー・スノボー・スポーツ観戦のような需要を想定しているようである。
 しかし、これは先日同乗されたタクヤ様の話だが、ミクシィのスノボーコミュのようなところで、
 相乗りを募集して、それで1人当たり2,000円未満でスノボーを楽しんでいるとのことである。

 つまり、「同好の士」を集って、というスタイルは、SNS辺りのコミュが先行しているのである。
 それに、一旦「同好の士の集い」が成立してしまったら、2回目以降は、のってこサイトを使わずに
 直接メールやケータイで交渉するだろう。

 なので、「同好の士」路線は、あまり深く追いかけないほうがいい。
 「一見さんの利用」を追求したほうがいい。

 「帰省」というのは、大きな需要である。
 しかし、年末年始・GW・盆休みの、せいぜい15日間程度の「一時的な需要」であり、
 帰省需要だけでターンタートル(のってこ事務局)は残り350日分の利益を賄うことはできない。

 意外と穴場なのは、「遠距離恋愛需要」である。
 これは「はてな」辺りでよく見かける相談だが、
 「遠距離恋愛のため、毎週のように東京大阪間を往復している。
  交通費がバカにならないので、何とかできないか?」のような相談が、ちらほら見かける。
 当方ははてなでも時々回答しているので、東海道昼特急バスとか、ぷらっとこだまとかを
 回答しているのだが、相乗りがポピュラーになれば、「相乗り」が一番の交通手段ではないか?
 ターンタートルは恋愛相談サイトにリンクを貼らせてもらえばいいだろう。
 (但し、相乗り相手が異性だと、別の恋愛が発展する・・・)

 これに似ているのが「単身赴任需要」。
 単身赴任の場合、会社がそれなりに経費を出してくれる場合もあるし、
 そこそこ年収がある人が多いだろうが、そうは言っても、経費は抑えたいだろう。
 なので、ターンタートルは単身赴任サイトにリンクを貼ればいい。

 そのほか、介護のために遠距離移動するとか、子育てや出産のために
 手伝いに行くとか、「家庭の事情により遠距離移動する」というのは、案外多い。
 小生の家族でも、そうである。
 (幼子が入院するので、実家の親が手伝いに来た、とか)

 なので、ターンタートルは、子育て支援サイトとか、介護サイトとかにリンクを貼ればいい。
 
 つまり、20代辺りをメーンターゲットとしているターンタートルの戦略を、若干年齢を上方修正
 した方がいいのでは、とも思う。


★移動需要として「東京〜関西」は別格

 年末の「のってこ」カキコを見ても、一番需要があるのは東京〜関西間である。
 これを見ると、「関西の人材が相当東京に流出しているなあ」と関西出身者としては
 一抹の寂しさを感じるのである。(小生もその一員だが)

 それはともかく、東京〜関西間の需要・供給は「別格」であり、
 これを「利用しない手はない」
 
 例えば航空各社は、東京〜伊丹の輸送を「シャトル便」として、他の区間とは「別扱い」をしている。
 各社協調して使いやすい輸送手段、というアピールをして新幹線に対抗している。

 のってこも、この戦略が使えるのではないか?
 つまり、関東〜関西間については「別サイト」にして、一覧でどのようなドライブがあるのか
 見せるのも「手」だし、集合場所とかものってこ事務局でアドバイスするのも手である。
 (例えばインターに近い鉄道駅とかを東京・関西双方で提示する。
  用賀駅近くのこのファミレスだと、東名にも乗れて、長時間駐車できて、駅から近く集合にも便利、とか、
  関西では新御堂の桃山台とか新大阪とかが降車地点としてメリットがある、とか)

 そのようにして、なんとなく
 「用賀〜桃山台のドライブは、1日に数便ある」のような「集約」ができれば、一気に相乗りは
 便利になり、普及が加速する。
 (従来なら、首都圏側の出発地が所沢だったり市川だったり、関西側の降車地が八尾だったり宝塚だったり、と
 分散していて「不便」だったのが、集約すれば「わかりやすくなる」)

 東京〜関西需要を、相乗りサービスの「ジャンプ台」にすべきだ。


★トラックの開放
 http://uetsuhara.com/articles/2008/10/notteco.html
 でトラックの助手席を開放すれば、との提案がある。
 トラックドライバーのメシ代程度は稼げる訳である。

 ただ、「のってこ」は運転手がアマチュアであることを前提として、「白タク」抵触の法的問題を
 回避したと思うので、貨物輸送を対象としているとはいえプロ運転手であるトラックドライバーを
 運転手とすると、白タク抵触問題が再燃する。

 むしろ、ヤマトや佐川の定期トラック便を「改造」して、半分は貨物スペース、
 半分は6人程度の乗車スペースを確保して、高速バスの7掛け程度の運賃で
 定期運送業務を行なった方がいいのかもしれない。
 「ポストバス」の長距離変形版である。


★利用人数考察
  
 「遠距離恋愛」とか「単身赴任」なら、利用者は1人であり、さほど問題ない。
 一方、「帰省」の場合、一人モノの帰省ならいいが、家族持ち(子供連れ)の
 帰省の場合、3人とか4人とかに「ふくれあがる」。
 荷物も相当量に上る。

 通常のセダンだと5人乗りだから、1人のところに4人が相乗りすれば、
 荷物もあるので相当「狭苦しい」
 ミニバンとかワゴンなら狭苦しさは解消されるが、そもそもそういうクルマを持っているのは
 家族連れが多いので、
 「4人家族のクルマに4人家族が相乗りして、8人で運転する」ような構図になり、
 やはり狭苦しい。

 それに
 「ドライバー1〜2人に、相乗り1人+相乗り1人」てな感じが
 「ちょうどいい塩梅」であり、
 ドライバー1人に対して「相乗り側が家族4人」だと
 「居候が家を占拠する」のような図になって、なんか気まずい気がする。
 まあドライバー側は、費用の8割を相乗り側が負担してくれるので、それなりにメリットに
 感じてくれるかもしれないが。
 
 あと、ファミリーユースの場合、チャイルドシートの問題が付いて回る。
 本来チャイルドシートをしないといけないとは思うが、独身ドライバーとかが
 チャイルドシートを持っている訳がないので、同乗する側が用意しなければならない。
 事実上、中古品でもなんでもいいから「購入」しなければならなくなる訳であり、
 その辺が子連れ利用でのネックになりそうだ。
 ターンタートルでチャイルドシートのレンタルをすれば、案外受けるかもしれない。

 ただ、子連れの場合、ベビーカーとか着替えとかオムツとか
 荷物量がハンパでなく膨大になり、その荷物を持って新幹線乗り換えとかするのは
 はっきり言って「拷問」である。
 (まあ宅急便で事前に送ればいいのだろうが)
 なので、荷物を運んでくれる「のってこ」サービスは、実は子連れにとってはありがたいサービスであり、
 チャイルドシート問題のうまい解決法をターンタートルには期待したいものである。

 (子連れだと子供が騒いだり泣いたりして気を使う、という点も指摘される。
 この点もうまい解決策ないですかね?)


★信用問題

 以前の「のってこ」は、クレジットカードで手数料を徴収していた。
 このクレジットカード決済は、ターンタートルの収入源にもなっていたが、
 同時に「相乗り参加者の身元保証機能」も果たしていた。
 つまり、同乗相手はカード会社の審査をパスした人ですよ、ということが
 相乗り参加時の不安解消につながっていたのである。

 しかし、このクレジットカード方式を、ターンタートルはやめてしまった。
 手数料無料にしないと思うように参加登録者が増えない、というデメリットがあり、
 それと同時に「クレジットカードを持っていない学生の参加ができない」というデメリットがあったからだ。
 相乗りの潜在需要として、学生が最大需要なのである。

 クレジットカード方式をやめたとたんに、登録者は一気に増えたが、他方、同乗時の不安は
 ついてまわることになる。
 実際、小生の相乗りも、妻とか妻の実家には「反対」されたのである。

 なので、クレジットカード方式を基本的には廃止しつつも、本人確認手段の1オプションとして
 カード所有を選択できてもいいと思う。
 例えばアメリカンエクスプレスのゴールドカード所持者であれば、まあドタキャンとか、不払いとか、
 目的地以外の場所へ拉致する、なんてことはないだろう、と「相手を信頼する」のである。
 
 というか、ゴールドカードの所有メリットって、そういうことじゃないのか?
 以前アメックスが「ゴールドカードでポイントためればおもちゃ取り放題、いかがですか?」と
 言われたので加入したが、「思ったほどおもちゃはゲットできなかった」ので、
 無料期間終了とともに退会した。
 ゴールドカードを持つと、一流料亭を紹介してもらえるだの、成田でラウンジが使えるだの、と
 いったサービスがあるそうだが、全く利用しなかったし、利用する価値はない。
 第一、自腹で一流レストランに行く人がどれだけいるのだ?
 ああいうところは接待で行くものであり、会社負担だからカードホルダーを相手に
 そのようなサービスを展開しても、何のメリットもない。

 しかし、例えば「のってこ相手方はゴールドカード所有者」とわかれば、妻も安心して
 「のってこ」を利用する、と思うのである。
 で、そういう対外信用創出効果があるのであれば、ゴールドカードを退会することも
 なかったかもしれない。

 先述の通り、ターンタートルはターゲット層を従来の20代から、もっと上の層へ
 変えるべきと思う。
 その際のもっとも大きなネックは「相手が信用できるかどうか」であり、
 クレジットカード所有情報は、信用判断の重要なメルクマールとなるのである。

 一方で、クレジットカードを持っていない学生が同乗者でもいい、と判断する人は、
 自己責任で、そうすればいい。
 小生のように、多少はアドベンチャー気分で、若い人と交流したい、という人は
 クレジットカード非保有者のクルマに同乗するし、妻のように安心を求める人は
 クレジットカード保有者に同乗するのである。


★余談

 これは思い出だが、88年と89年に、1年上の大学先輩のクルマに同乗して
 関西に行ったが、このクルマがスカイラインで、東京〜名古屋間を2時間で走行していた。
 この先輩は「山梨県警は覆面パトがいないんだよ〜」と豪語して、深夜の中央高速を
 時速180キロ超で疾走したり(88年)、豪雨の東名川崎を150キロで
 疾走していた(89年:このとき川崎は大雨被害が出た)なあ。

 この名車を我々は「アグリキャップ」と命名した。