相続埋蔵金を探せ!

週末のWBS(ワールドビジネスサテライト)で、
「日本の農地が集約化・流動化されない隠れた理由」として
「地価が安く税金も安い農地では、まともに相続手続きもされていないので、
 相続法上は「法定相続人が数十人も数百人も存在」している状況になっているため、
土地の売買もままならない。」という問題をクローズアップしていた。

この問題は現場の行政書士司法書士はさんざん直面していた問題だし、
小生が以前関与していた金融商品でも似たような話はあった。

地価は数百万円程度で、相続人が100人いれば、「1人当たり数万円」の手取りでしかなく、
その手続きのために数十万円も使えば、完全に赤字。
なので、「法定相続人」とされる人間も、「遺失物感覚で、別にもらえなくてもいいし、
というよりもらっても迷惑だし、共有地だから利用もできないし・・・」ということで手続きにしり込みする。
というより、そもそも自分が法定相続人だ、ということ自体を「知らない」。

この問題は既に小生のHPでも警鐘していたが
http://d.hatena.ne.jp/itarumurayama/20060418
ようやっとマスコミが気づいた、というわけだ。

ここであじあ号様にお尋ねしたいのですが、農水省なのか国交省なのか
法務省なのか知りませんが、このような「相続手続未了放棄地」の実態を、
どこまで把握されているのか?

現場の司法書士行政書士が苦しみ、自治体職員も苦しんでいるのですが、
まさか霞ヶ関は「そのような問題が発生している、という事実そのものを認識していない」
なんてことはないでしょうね?
民主党質問趣意書を出させればいいのか。

この問題を解決すれば、1兆円以上の経済効果は見込めそうだ。

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http://plaza.rakuten.co.jp/onsama/diary/200902200000
途中で零時になり、WBSを観ました。その中で相続と土地の所有権の問題が取り上げられていました。
農地にしろ都市部の土地にしろ一つの区画に多数の権利者がいるという問題です。
今に始まったことではないけどこれも政治的に解決できる問題だけど行政は動かないから
問題を複雑化させ解決を困難にします。
例えば小さな200万円の土地を道路などに収用する場合に権利者が多数いるという現実があるそうです。
その調査などに1千万円を超える費用が発生する場合もあるとか?
問題を整理するためには覚えの無い人たちを探し当て同意を取り付けなければなりません。
M市の団地を造成する場合にあぜ道の権利を取得する場合に多数の人を探して団地にしたという話は
30年以上前の話です。こういう制度を温存しても何の意味もありませんね?

http://eiji.txt-nifty.com/diary/2009/02/post-8993.html
週末のWBSでは、売っても200万円にしかならない土地の権利者が何十人もいて、その相続手続きは、
いちいち記名変更しなくても権利が成立継続されるものだから、放置されたまま権利者も解らない。
その権利者を捜し出すために1年以上1千万円を超える経費が掛かる。農地の集約化どころか、
道路の拡幅すら出来ない状況がレポートされてましたけれど、そういう所も、早急に法改正しなきゃならない。
私が相続税100%を訴えるのも、当然この辺りの実態があってのことで、預貯金はともかく、
土地の相続を容認し続けるメリットって、社会として何もないでしょう。

http://worklifebalance825.blog32.fc2.com/blog-entry-501.html
今日(2/20)のテレビ東京ワールドビジネスサテライト」(WBS)の「金曜フォーカス」では
不在地主農地」の増加に焦点をあてて、「切り刻まれる日本の土地」を検証
するというもので、内容は大体、こんな感じだった。

農地などがきちんと相続されずに代を経ることで、相続する権利を持つ「法定相続人」が数十人から
百人以上に増える。その全員の承諾を得なければ、土地を処分できないが、その承諾を得るのに、
時間と土地代の何倍ものお金が費やされてしまう。土地が荒れたり、区画整備などで、このことが
障害となっている。

番組の中で、土地の処分のために動く司法書士の方が
「自分が法定相続人であると知らない・そういう意識がない人が多い。こういう問題を回避するには、
その一代できちんと相続をすべき。」
と語っていたが、本当にそうだなあ、と思った。
土地の高い都会では、相続なども早めになされるのだろうが、いかんせん、田舎では固定資産税などの
負担も少ないということもあり、いい加減になっている土地が多いのでは、と思う。

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この問題では地方自治体の現場も悲鳴を上げている。

これは和歌山県のHP。
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/081100/chihou/jinsoku_pdf/teigen-1.pdf

「公共用地取得の隘路となっている長期間放置された相続未了土地について、
 簡易な手続きによる解決方法を国が法的整備すべきである。」

山古志村の災害復旧工事に携わった湯沢砂防事務所の悲鳴
http://www.hrr.mlit.go.jp/library/kenkyukai/h19/pdf/h/h_04.pdf
「多数相続や共有地の処理が用地処理の隘路となる場合が多いため、
 例えば一定期間相続登記が放置されるような場合には、固定資産税納付者等に
 相続人を限定するような特別措置が検討されてもよいのではなかろうか。
 現時点の登記簿上の権利関係が継続されれば、半世紀後には中山間地における
 事業着手は相続処理のために不可能になることが予想される。」


しかも、明治時代の閉鎖登記簿の廃棄が始まっている。
こうなると公的事業のために土地収用したくても、法定相続人の同定が不可能になって
事業執行そのものが、いくらカネを積んでも「物理的に不可能」になりかねない。
(相手方が特定できない)
そのような場合は土地収用法の適用が可能なのだろうか?

http://oshiete1.goo.ne.jp/qa1136799.html?ans_count_asc=2
相続人の子供の数が多い場合ねずみ算式に関係者が増えますから、司法書士
早期にご相談されること をお勧めします。明治時代の戸籍が法定保存期間を経過し
破棄されていますので、このまま放置すると 相続人の確認さえできなくなるおそれがあります。

http://www.npo-sumai.jp/article/13214753.html
戦後の改正相続法により、法定相続権は配偶者及び子供達に平等に及ぶようになりました。
民主主義・平等主義、非常に心地よい言葉の響きですが、それは権利が保証されているという面での話。
裏返しとしての義務の話になると、我々愚民はいっせいにそっぽを向きます。
タダでもいらない土地の相続の登記手続は、お金がかかることなので誰もやろうとしません。
ところが世の中面白い。道路買収や民間開発等で突然金目になる土地の話に。
農地ならほとんど戦後の農地解放での取得ですから、遡るのも簡単です。山林・雑種地・原野等になると、
大体が明治の生まれで昭和に亡くなった3代から4代前のおじいさんの名義。
昔は兄弟・子供の数が多かったので、法定相続人の数はねずみ算式に100人は軽く突破。
この土地が1億円くらいになるのなら夢中になって人は動きます。でも道路買収等の公共事業も
採算度外視なので何年かかっても手続します。この土地の話が数百万円だったら、手続をするのに
同額くらいかかるので、個人間での売買話だったら中止の上、永遠に手付かずです。
ほっておくと相続人の数がどんどん増えます。全国にこんな土地いっぱいあるんでしょうね。

当センターで相談を受けたケース。103人でした。
相談者は頑張って顔も知らない、全国に散らばっている従兄弟等と連絡取り合って、
102人の実印と印鑑証明・戸籍謄本を集めました。
103人目の方、長野在住、76歳でご健在。事情を話して売買に同意と相続登記手続に
ご協力をお願いしたところ、名義人のじいさんの顔も知らないが、死んだ親父から兄弟についての
恨みつらみを聞かされており、私の目の黒いうちは絶対にハンコは押さない。
・・・この法律何とかしましょうよ。

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金額が「はした金」なのに関係者数が膨大で、そもそも法定相続人が自らの権利の
認識すらない、といういわゆる「遺失物的相続財産」について、
小生は感覚論で「これを国庫帰属させれば1兆円以上の経済効果はあるのではないか」と
書いた。

で、預金の世界にも似たような例はある。
少額過ぎて預金者が預けたことを忘れたり、遠隔地に引っ越して解約手続きが面倒になったり、
そもそも預金者が死亡して法定相続人が存在そのものの認識がない、という預金を
各銀行は抱えており、これを「休眠預金」とか「睡眠預金」とか言われている。

・・・チリも積もれば1兆円とも5兆円とも言われている。
http://money.jp.msn.com/banking/columns/Columnarticle.aspx?ac=fp2005101234&cc=05&nt=05

>今年4月にペイオフ解禁が話題になりましたが、これに先立ちりそなグループは、昨年4月に
>口座の名寄せ作業コスト等軽減のためと、睡眠預金が不正利用されないことを目的として、
>新規預け入れの普通預金口座の利用が2年間ない場合、口座の管理手数料として年1,200円を
>徴収することにしました。また、今まで10年だった時効までの期間を5年にしました。
>このことは、昨年9月の中間決算に大きく表れました。時効までの期間を5年にしたことで
>過去5年分の睡眠預金247億円をその他計上収益として計上したのです。
>要するに、りそなグループだけで毎年50億円ずつ睡眠預金が発生するという計算なのです
(中略)
>民間銀行分の睡眠預金とあわせて1兆3000億円が文字通り眠ったままであるといわれています。
>国民1人あたり10,000円の計算です。

実はこの睡眠預金は、銀行にとっては「お荷物」以外のなにものでもない。
>しかし睡眠預金口座のほとんどは残高が1,000円もなく、預金者にとっては手続きが面倒であり、
>銀行としても収入源というよりは銀行の説明するようにデータ維持等のコストのほうが大きいのかもしれません。

これを一定の手続きの上に国庫帰属させれば、国もトクをし、銀行も維持管理コスト削減でトクをする。
これこそ掛け値なしの「埋蔵金」である。

※因みに林野庁の「埋蔵金」7兆円は、国有林野の山林の「簿価」のことであり、
 実勢価格ではその何十分の一である上に、環境保護上も国有林野の切り売り取り崩しは
 考えられない。なので霞ヶ関埋蔵金伝説は都度都度検証する必要がある。

実はそれを訴えている政治家もいる。
自民党萩原誠司代議士は、株式等も含めると「睡眠資産は5兆円」と試算している。
http://www.hagiwara-seiji.jp/houkoku_policy/policy2008/080808_1.doc

なので、預金も株式もそして不動産も、「金額僅少」とか「数次相続により、権利者自身が権利の認識がない」
ような場合に、一定の手続きの上国庫帰属(その上で市場で売却又は国有地競売)すれば、
立派な「埋蔵金発掘」になる上、公共事業も円滑に進行し、「死産の有効活用」になり、
耕作放棄地防止になる。