読書ノート・ヤマダ電機

★ヤマダ会長:創価学会員、日本ビクター前橋工場出身、ナショナル電器店経営者の過去
★千代田テレビ技術学校で分解したり実習したりしていた
★日本ビクターで「おべんちゃら使う奴が出世する現状」を見て脱サラ
★カラーテレビ「無料」修理サービス
 ・・・当時そんな先進家電を修理できる街場電器店は皆無、人気に
 →無料修理の傍ら、家電がナショナル製以外なら、自店のナショナル製品薦める
 (当時は訪問販売)
★脱サラ5年で5店舗に成長
 →店舗を任せた優秀営業マンが「独立」して行って、脅威となる
 →思い切って本店以外はクローズした
★支店の在庫を仕方なく処分セール(得意先にDM)
 →瞬く間に売り切れる
 「秋葉原日本橋以外でも、地方でも量販店が成立する、と悟った」
★松下:一時期、ヤマダへの供給を停止していた時期も
 (安売りするな、と圧力)
★現社長の一宮氏:山田会長の甥
★ヤマダ:借地出店主義
 土地担保能力不足なので、銀行が出店費用出さず
 →株式店頭公開で調達
群馬県:1992当時、量販店空白地
 →コジマやデオデオなどが進出し「上州戦争」に
 (大店法改正で、出店しやすくなる)
★店舗レイアウト見直し、キャッシャーを店舗中央に配置
 キャッシャーから店舗見渡せ合理的に
★自前の物流センター廃止
 メーカーの物流センターから直接納入へ
仕入れ方法:返品可能な方式から「買い取り」へ
 買い取りにして返品なしにするから、お前ら安く出せ、とメーカーに要求
 (その分、販売力を上げる必要あり)
★ヤマダ型郊外店:「ピロティ式」の元祖
 1階駐車場、2階売り場。駐車場に雨が降らない。
★先行量販店:比較的小規模面積
 後発のヤマダは、思い切って大規模面積にして差別化
★家電製品の小型化
 →ヤマダ的ロードサイド店舗に有利
 (従来家電は配送式→90年代から車で「持ち帰り家電」増える)
★コジマ:元は日立系家電店
★訴訟合戦
 コジマ「ヤマダはコジマより3%安くする、と言っているが、
 実際には守られてないケースもある」
 ヤマダ「それはコジマ側がさらに下げるからだ。
 値下げ後の価格を言われれば、その3%引きにするつもりだ」
 →和解に
★コジマの群馬進出の「返礼」に、ヤマダも宇都宮進出
 「先着で1円」のゲリラ販売
★カトーデンキ(ケーズデンキ)の牙城茨城にも上州戦争飛び火
 カトーデンキ=モンロー主義、茨城から出て行かない主義、かつ1円戦争に否定的
 しかしコジマが茨城進出、防戦に
 (YKK=ヤマダ・コジマ・カトー)
★加藤:「自分が参戦すれば、公取も動かざるを得なくなるだろう」として
 捨て身で防戦参戦
 →案の定公取が警告、1円戦争終結
★ダイイチ(デオデオ)・・・前橋本社前に出店
 当時ダイイチはヤマダの4倍の規模
 →倒産の危機感じた、「ダイイチだけは絶対に許さない」
★マスコミが「上州戦争」「訴訟合戦」と面白おかしく取り上げる
 →結果的にヤマダやコジマの宣伝になった
 ヤマダは勿論、コジマも急成長
 「北関東価格はアキバより安い」とマスコミ取り上げ、同時にアキバの凋落招く
★そもそもアキバは販管費YKKの2倍、高コスト体質  
★ましてや、群馬の中小「街の電器屋」は壊滅状態
ケーズデンキ:本体は茨城モンロー
 経営不振の他エリア量販店から救済要請があるから、やむなく応じているうちに、
 結果的に全国展開になっただけ
★加藤の哲学
 「トップ企業(ヤマダ)の3分の1の経営規模を維持すればいい」
 これより小さければメーカーに相手にされず淘汰されるが、無理して大きくはしない
★松下:戦前から販売網は強かった
★松下系列店:以前は3段階あった
 松下オンリー=ナショナルショップ
 松下中心=ナショナル店会
 松下多め=ナショナル連盟店
 店舗支援もこの順序で濃淡付け
★松下系列店=最盛期に5万店
 →新製品は最低5万台から製造開始できる
 他メーカーより低価格化可能(最初から量産可能)
★八欧:後のゼネラル電気
★三洋:昭30年頃は「洗濯機の三洋」、シェアトップ
★昭30には早川が白黒テレビトップシェアだった
★電気冷蔵庫:重電の応用品なので、重電系各社が強かった
★重電各社の中で系列化の先陣切ったのが東芝
★日立:汎用モーター小売店を日立系列店化
★三菱:ミシン代理店を家電代理店に転換
東京五輪までは系列店で家電販売量急増
 →五輪後、「三種の神器」の過剰在庫が問題に
 問屋がエリア越境しての乱売合戦に
 重電系は他に本業あるので影響軽微だが、家電専業の松下は大ダメージ
★松下系:問屋のエリアフランチャイズを明確化
 (事実上、越境販売禁止)
ナショナルショップ(専売店)だけを救済、混売店切捨てへ
 その代わり、従来以上の支援→ロイヤリティ向上
★家電6社がホテルオークラに集まり、生産調整合意
★一方の混売店は、徐々に「量販店」へ進化、NEBA設立
 また、新規チャンネル(ダイエーなど)も成長、松下と敵対
★NEBA加盟店間で、暗黙の不可侵条約成立
 互いの地盤は荒らさない
★コジマもヤマダもNEBA非加盟
★テックランド:売り場の半分はパソコン関係
 郊外型量販店では異例
ソニーのバイオ:アキバ・日本橋・ヨドバシなどは扱ったが、
 郊外量販店では当初ヤマダしか扱わなかった
 (コジマは最初取り扱わなかった)
ソニー:パソコンは後発(NEC富士通の牙城)
 →ヤマダと組んで、客のニーズを探った
★ノートパソコンにデジカメ組み込み:ヤマダ副社長の発案
★ヤマダ、南下作戦
 名古屋の次に広島進出し、デオデオに「復讐」
★広島中央「本店」を出店(デオデオ本店近く)
 「デオデオから地域一番店を奪取する」と豪語
 「都市型店舗の実験店」の位置づけ
★ヤマダ広島中央本店:目玉商品はスグ売れるが、それ以外が売れない
 客層が若向け
 一方のデオデオ本店はシニア客が多い
デオデオの古くからの客
 「即日で駆けつけてくれる」アフターサービスを重視
デオデオ:大型家電は「配達すれば終わり」でなく、
 据付・動作確認までするのが当たり前
★ヤマダ:チラシ戦法
 デオデオ:固定客へのDM戦法
 質の高い顧客名簿があればこそ
デオデオ本店=紙屋町バスセンター脇
 ヤマダ=八丁堀 
 ヤマダ側は駐車場不可欠だったが、それに欠けた
★ヤマダ広島=ファッションビルを居抜きで借りた
 →エスカレーターも上りしかなく不便
★ラビワンなんば=なんばパークスの南、駅から遠い
 これで「駅前立地」と呼べるか?
 実際、平日の来客が少ない
★ラビワンなんばの立地=都心の田舎、陸の孤島
 駐車場不可欠→無料駐車場設置
日本橋付近:駐車場に不自由
 →日本橋巡りする人が、ラビワンに車止め、ヤマダ&日本橋巡り
 事実上「日本橋から客を奪った」
ビックカメラ有楽町の書籍売り場:マニアックなPC雑誌多い
 ラビワンなんばの書籍売り場にはマニアックさがない、ベストセラー陳列しているだけ
★ラビワンなんば=売れ筋商品を多重陳列、ある意味「勿体無い」
★ヤマダ:品揃えがヨドバシ・ビックほど多くない
 取り得は「安いだけ」
★会長自ら、「ボリュームゾーン以外は捨てる」と明言
★3・7の法則
 売れ筋の3割が、売上の7割占める
★ヤマダの店舗設計=コンビニ的
 売れ筋商品ばかり陳列
 郊外店だとそれでいいが、巨大駅前店でもそれでいいか?
★監視カメラ、テレビ会議で高崎が全店に指示
★ヤマダ:店長のクビをすぐスゲ替える
★大阪:事実上ヨドバシ梅田が「一番店」
★ヤマダ:ヨドバシ梅田からラビワンなんばまで「無料シャトルバス」運行
 大阪のオバチャンはバスただ乗りして、店に入るそぶりも示さない
★職安法違反容疑:読売大阪がスクープ
★ヘルパー:もとは秋葉原が発祥
 「一匹狼の販売のプロ」が、アキバ量販店と歩合契約して売りさばく
★ヤマダ:急拡大に人材育成が追いついていない
 店舗レイアウトとかも「買いたくなるレイアウト」じゃない
★ヤマダ:ラビワンなんばのチラシを京都まで撒く
 裏返せば「チラシで集客してしまえ」的感覚になり、きめ細かな「売るための工夫」が疎かになる
★ヤマダ:ラビワン開業の都度、テックランド店長クラスを引き抜き
 →テックランドでは青二才(20代)が店長に
★メーカー:「少しでもいい売り場に置いてほしい」ので、ヘルパー派遣に応じる
★ヤマダ:相次ぐ増資で山田会長の持ち株比率2%まで縮小
 外国人株主比率高い
 →矢継ぎ早の成長が必須
★広島では「サービス」のデオデオに地域一番店奪われ、
 大阪博多では「品揃え」のヨドバシに地域一番店奪われる 
★他店チラシを勝手に張り出して「このチラシより安くします」とお行儀悪い
★娘が交通事故死:会長を諌める人がいなくなる
★山田会長の持ち株比率=2%程度、なのに行動はオーナー然
★「娘は50歳で社長にするつもりだった、だから逸失利益は社長給与で計算」として
 6億円を事故加害者に請求
村上龍インタビューで「個人商店時代が懐かしい、戻りたい」と発言し、
 龍を驚かす
 (松下幸之助も同趣旨のことを言っている)
★テックランド:持ち帰りしづらい大型家電中心
 ラビ:情報家電、AV家電中心
★ラビ池袋進出・・・池袋自体のパイが拡大、ビックも潤う
 →シワ寄せは郊外のテックランドに
★日本総本店:家電以外も多角化
 これでは昔の百貨店やダイエーと同じ
★2009年に多角化できるよう定款変更
ダイクマM&A、ぷれっそHDをM&A,キムラヤM&A
 (ぷれっそ=サトームセンマツヤデンキなど)
ベスト電器M&A失敗
★ヤマダの先客順特売:大半は転売業者に買われる
 一般消費者は入手しづらい
★中国の家電量販店(蘇寧・国美):実は場所貸し業
 メーカー別売り場構成、メーカー側売り子が販売(歩合給)
★松下:規模が小さいナショナルショップだと、フルラインの展示が出来ない
 →フルライン展示が可能な(売り場広い)ヤマダは、それなりに有難い存在
エディオンビックカメラ経営統合(破談)・・・松下が仕掛けた
 (ヤマダに並ぶ会社を作りたい)
★ヤマダ:小規模商圏はFCに任せる戦略
 (当初自らFC指揮したが失敗。不得手なのは自らわかっている)
 FC展開していた豊栄家電と提携→コスモス・ベリーズ
★そもそも「街の電器屋」は、仕入れ価格がヤマダより高い(不利)
 →コスモス・ベリーズだと仕入れ価格がヤマダ同等になるメリット
★山田会長:コスモスベリーズ加盟店に「ヤマダ購入者へのサービス・メンテ」を期待
★コスモスベリーズ加盟店のジレンマ:ヤマダの下請けになるか、従来の顧客を重視するか?
 忙しい時に、ヤマダ顧客と従来顧客、どっちを重視?
★ヤマダ:補修・修理を外注(自社内にいない)
ナショナルショップ:代替わりの時期→後継者難
★高齢の店主:デジタル家電の勉強が付いていかない
★2000年中村社長就任:ヤル気ないナショナルショップの切捨て
 ヤル気ある店だけ残す
 その分、量販店ルートを重視
 →松下がヤマダに営業ノウハウアドバイス求めるように
★2008年、本社を前橋から高崎駅前(ラビワン高崎内)に移転
 「東京に本社を置くのと変わらなくなる」 
★メーカーの販売員派遣
 派遣費用を有償化するのはハードル
 例:家電会社側の会社定款に「人材派遣」と記載されてなければ、
 会社法的に有償派遣行為が出来ない