医師と介護士の深刻な対立

2014年07月23日(水)10 tweetssource

最新の週刊ダイヤモンドの第二特集が考えさせられる。/厚労省の「医療・介護連携」が、現場レベルで画餅だというレポート。/平たく言えば、エリート意識の高い医師が介護職を「見下し」、現場の人間関係が最悪になっているというレポート。/こういう話は、厚労省審議会では絶対出てこない貴重な話

こう言ってはなんだが、医師の世界は年収1,000万円の世界。一方、介護の世界は年収300万円もあればいい方。普通であれば、決して交わることがない人種が、厚生労働省の政策で交わらざるを得なくなっている。/偏差値で書いてもいいが、いろいろ批判浴びそうだからやめておこう。

医師側は、医療介護の連絡会を平気ですっぽかしたりしている。介護職への話し方も、上から目線、上司口調/一方、介護職側も、ぶっちゃけオツムは弱い人が多いので、医師への話し方が要領を得てない。それが忙しい医師をますますイライラさせる。

本音ベースで解決するなら、厚労省委員会とかで「偏差値も年収も高い医師と、偏差値も年収も低い介護職との、円滑コミュニケーションの方法」なんてのを真剣に議論すべき。/しかし厚労省は「医師が年収や偏差値で、相手を差別扱いしてる筈がない」というタテマエ論に立脚し、問題を見て見ぬふり

なぜダイヤモンドや東洋経済で、この手の良質記事が出るのか、少し考えてみた/ダイヤモンドも東洋経済も、ベースとなる読者は、いろんな分野の基礎知識を既に有している人が多い。今回の記事であれば、「地域包括ケア」というタームを、読者は知っている、という前提で記事を進める

これが朝日新聞とかサンデー毎日だと、「まず地域包括ケアとは・・・」という解説からスタートさせなきゃならないから、記事がどうしても浅くなりがち。一定レベル以上を前提としている経済紙2紙は、その点「効率よく」論旨展開でき、だからより深い記事が書ける

しかし、本来読者レベルがダイヤモンド・東洋経済並みである筈の日経ビジネスで、この手の記事を見ないんだよなあ。はやり財界御用新聞・雑誌だからか?

ちなみにダイヤモンド特集、現場の人間関係問題を描く一方、厚労省内の「老健局」(介護担当)と「医政局」(医療担当)の救いがたい縦割り行政の弊害も描写していて、そちらも必見/老健局は医政局と縁遠く、むしろ畑違いの国土交通省と仲が良くて、一緒にサ高住やりました、なんて件は、もはやマンガ

これは野次馬の推察だが、たぶん医政局は、キャリア・ノンキャリアに加えて第三勢力である「医療系技官」が存在しているから、余計に他の局と交われないんじゃないかな?