高齢になると自己幸福感が下がる日本、上がる欧米

5月6日

『幸福感』に詳しい、山田昌弘教授によれば、『封建時代の方が、現代より人々の幸せ感が強かったパラドックスがあったのでは?』説。/封建時代だと、人々は生まれながらにして『幸福の絶対値』が決まってしまい、人生の努力次第での変動幅は殆ど無い

山田教授に言わせれば、『人生次第で、幸福量が増えたり減ったりすることが殆どない社会』だと、人々は『もっと幸せになれた筈だ』とは『そもそも思わなくなる』ので、相対的不幸感を感じること自体がない、という解説

また、江戸時代のような身分制度カースト制度などは、『その身分の中で、役割(ロール)をプレイしていれば』、自動的に社会承認されるので、『現代人のように、社会承認に悩むことが、そもそもない』と山田教授は語る

『自分は、まだまだ幸福になる余地がある』と信じている現代人は、数十年間頑張ってみた結果、思い通りにならなかったら『幸福になれなかった』と不幸館をこじらせてしまう/江戸時代みたく、『自分はこの身分のままで、幸せの伸びしろがない』と諦観してる社会の方が、結果的に不幸感も少ない

今日の日経で、山田教授は『世界各国では、高齢になるほどに、幸福度が増していく』のに、『統計上、日本社会だけは、高齢になるほど、不幸感が増している』と警鐘を鳴らしている/私見だが、『引退を嫌がる日本人』『ドシを取りたがらない日本人』とも関係するのでは?

この『日本高齢者の、(欧米と違って)幸福感に乏しいのは、なぜなのか?』については、ニッセイ基礎研をはじめとした多くのシンクタンクが研究を開始しているが、これといった仮説提示が、どの機関も出来ていない状況/『孫なし比率の増加』とも、関係がある?

アメリカのシニアコミュニティ『CCRC』が、日本ではなかなか根付かないのと、日本老人の幸福感の薄さは、相関関係があるような気がする

昔のブクマサルベージ/欧米ではもっと明白に「老人の方が主観的幸福感がアップ」している、むしろ日本は低い方/諸外国の状況わかってるのか? / “データに見る「老人だけが幸せな国、日本」 | More Access! More Fun!” http://htn.to/8MAYHY

「日本の高齢者に主観的幸福感が足りないから、彼らは年金や社会保障を執拗に要求する」「国家財政維持の為、カネに頼らずに、老人の幸福感をアップする方法を政府は研究しよう」とストレートに書いている自称エコノミストがいたなあ・・・

一般論としては、自分の死期が近づく、寿命が近づくのだから、「死の恐怖」によって、高齢者ほど主観的幸福感は減少して然るべきである/それなのに、欧米において、高齢者の幸福感が「年齢とともに、むしろ増加」しているのは、キリスト教的幸福感が原因か?「死期が近い=天国に近い」

主観的幸福度の年代別比較研究、各国別比較研究は、どうしても、「宗教」と切り離した研究はできないだろうな。