「無主財産管理機構」構想

【コンセプト】
★今の日本の金融資産総額=1,700兆円
 これ以外に不動産資産もある。
★日本人:早晩、「2人に1人の高齢者は、孫がいない」状況になる。
★つまり、理論上は、
 「配偶者&直系卑属以外への法定相続制度をやめれば、半分の850兆円の金融資産を、
  最終的に国が回収できる」計算になる。 
★兄弟や甥姪宛に遺言状を書いた場合は、国庫帰属じゃなく兄弟等に帰属するので、
 850兆円丸々の回収はできないが、
 「遺言状を書くケースの方が、少ない」ので、実際には500兆円程度は国が回収できるのでは?
 (これ以外に、不動産資産も回収できる)
★でも、国に残念ながらそういう発想が乏しい。
 「相続人不存在な財産の管理は、メンドクサイ」という本音がある。
★本来であれば、財務省の理財局が、そういう仕事をすべきだが、
 理財局は「国が意図して入手した財産の管理」が本来業務で、
 「意図せざる財産の管理」は、不得手
 「勝手に転がり込んできた財産の管理」は、不動産財産は勿論、金融財産の管理も、不得手。
 なので「金融財産であっても、そんなの引き受けるのはノーサンキュー」
★なので、「転がり込んできた財産を管理する、専門のプロ組織を組成」し、
 彼らが専ら相続人不存在財産の管理換金実務を担うスキームを作り、
 「相続財産、ウェルカム」な状態にする、それが「無主財産管理機構」構想
 

【機構の役割】
直系卑属&配偶者のいない死亡者の、網羅的把握
 (マイナンバーデータを活用)
★相続人不存在相続における、相続財産範囲の確定作業
★配偶者や直系卑属、利害関係人がいないことの確認、つまり「相続人が不存在であること」の確認
★財産名義を、死亡者から国(機構)へ名義変更する手続き
★信託銀行へ、財産信託コンペの発注
★信託コンペで、参加信託銀行が現れなかった場合に、自ら財産を管理&換金する

【コメント】
★今仮に相続人不存在な財産が理財局に転がり込んだ場合、、理財局は「機械的に、即換金しようとする」から 
 「買いたたかれる」
 例えば、借家人が入っている貸家があった場合に、
 「スグに売らずに、次の更改の際に借家人に退居してもらうことで、売りやすくする=高く売る」
 という工夫もしない。
 「古家を、少し手を入れて、少し高く売る」なんてこともしない。
 あまりにも古い古家だと、かえって更地にした方が高く売れたりするが、更地にするという工夫もしない。
★金融財産も同じ。
 満期まで持っていれば満額償還が確実な債券を、杓子定規に中途換金するから、額面割れになってしまったりする。
 株式だって、相場が最悪なタイミングで換金するより、1年待って相場が回復した時点で換金した方が良かったりする。
★機構設立の趣旨として
 「一番有利なタイミングで、一番有利な方法で、換金化する」ということがある。
 そのために必要な時間的余裕・ちょっとした資金・そして人材を機構内に配置して、
 折角の相続財産を高値で売る。
 換金化の時間軸として「財産引取り後、10年以内に換金化」というように幅を持たせる。
 10年もあれば、借家人を退居させることも可能だろう。
★こういう「相続財産の換金化のプロ」の人材を複数名取り揃えれば、
 おのずと「高く換金化するためのメソッド」が溜まってくる。
 或いは、リフォームなり解体なども、機構が年間100件とかコンスタントに案件を
 抱えることで、専属の業者を確保することができ、コストを下げることもできる。
★ただ、どうしても役所が相続換金のプロを採用しても、結局は「お役所仕事」になりがち。
 であれば、既にそういう知見(不動産の知見と金融の知見)を有している組織、
 つまり信託銀行に外注するのが合理的ではないか?
 機構は「信託銀行が引き受けないような案件だけを行う」のように、補助的な役割に徹する
★信託銀行間の競争を促すため、個々に「競争入札」を行う。
★信託銀行が多数の相続財産を引き受けて管理・換金化することで、コスト面でスケールメリットが出ると思う。
 「三鷹市はみずほ信託が、市内100件の物件をドミナント管理します」「川口市は三井住友信託が、市内150件の物件をドミナント管理します」な感じで、信託毎に特定の市の物件をまとめて引き受ければ、ドミナント効果が出る。
 ドミナント効果を狙って、既に管理している相続財産の近くの物件は、安くても「取りに行く」ようになるだろう。
★信託報酬は、定額報酬+歩合。
 高く売却すればするほど、歩合部分の信託報酬が増える。つまり、信託銀行のモチベーションも上がる。
★ついでだが、「田舎の、国に寄贈したい空き家」、現状では寄贈を認められないが、これも「機構が、一定の手数料を受け取って、寄贈を受ける」という窓口になってはどうか?