ネット・パソコンブレーク83・ブログの名誉毀損には公益性がないの

ネット・パソコンブレーク83・ブログの名誉毀損には公益性がないのか?

(なんでも掲示板 06年03月 投稿済)

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ブログの名誉毀損には公益性がないのか? 投稿者:スルッとKANTO 投稿日: 3月17日(金)17時23分21秒


http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060317k0000m040140000c.html
ブログ小説:元社員に「名誉棄損」で賠償命令 京都地裁
インターネットのブログ(個人の日記風簡易型サイト)に書かれた小説のモデルにされ、
名誉を傷つけられたとして、京都市内のタクシー会社が元運転手の男性(58)に
慰謝料など1100万円の賠償などを求めた訴訟で、京都地裁中村哲裁判官は16日、
「社会的評価や信用を低下させた」などとして男性に100万円の支払いを命じた。
(略)
判決は「男性が主張するだけの事実は認められない」としたうえで、
「同社を知る業界の者が読めば、同社がモデルで、事実と思うことが想定される」と指摘した。
男性は判決後、「内容は事実。今後もブログで公表していく」と話した。
(略)
毎日新聞 2006年3月17日 3時00分

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名誉毀損については、民事と刑事では考えが違うのかもしれないが、
刑事では
1.事実であること
2.公益性があること
3.公共性があること
の3要件が必須であり、ただ犯罪事案については
1.事実であること
2.公益性があること
の2つで足りる。
さらに公務員・議員については
1.事実であること
で足りる。

で、本件事案についていえば、毎日新聞HPによれば
「そもそも事実ではない(1.)」ことが運転手側敗訴の理由になっているように
見える

因みに、事実関係については
http://youzo.cocolog-nifty.com/data/2006/03/post_37c8.html
にもあったが、挙証責任がどうも被告側にあるようである。
なので、仮に事実だとしても、タクシー運転手側が事実であることの
立証に成功しないことには運転手の勝訴は望めないことになる。
(これはこれで、小生は運転手側に厳しいすぎる挙証責任であり問題だと思うが)

なので、
「立証責任で敗れたのか、素人に挙証させるのは難しいだろうなあ」と
思いながら本人のブログを見ると、
http://www.mypress.jp/v2_writers/ansin/
「事実認定で真実と認定されたが、公益性(2.)が認められなかった」
ことが敗訴原因であるような書き方をしている。

例えば、東横インの不法改造問題、あれはどうも内部告発が発端のようだが、
これが大マスコミが取り上げず、ブログのみが取り上げ、それに対して
西田社長が「名誉毀損」と訴えればどうなるのか?

ハートビル法違反、ということだから、「公共性」は擬制される。
で、問題は、「告発手段がブログの場合、公益性が認められる」のか、
ということになる。

つまり
「私怨(もしくは私利)のためにやったのか、義憤にかられてやったのか」
ということが問題になるのだが、もし運転手の言うとおり、
「ブログの場合は公益性が認められない、公益性を認めるのは商業マスコミのみ」
という内容の判決であれば、大問題であると考える。

商業マスコミは公益性を独占できるほどエライのか?
そういえば、先日の新聞記者の取材源秘匿裁判で、
各新聞社は「報道の自由を守れ」と一斉にキャンペーンを張った。

「新聞社は良くて、ブログは良くない」、その線引きについて
オカシイと思うのは小生だけだろうか?

ところでこのように名誉毀損と認定されたブログにリンクを貼る
行為自体が、名誉毀損の幇助になるのか?