デベロッパーの保守本流はビル賃貸

【2014年1月11日のツイートを転載】
日立の基幹事業はインフラ事業。相手先は電力会社、鉄道会社、政府などの公的セクターが多い/公的セクターは予算主義。毎年計画的に予算消化、ブレが少ない/だから日立のインフラ部門は売上を計画通り達成しやすい
一方、半導体や家電部門は「水モノ」。爆発的にヒットする可能性ある一方、全く売れなかったり半導体不況に陥ることも/なので日立の半導体部門、家電部門はしばし予算未達成を責められる。半導体や家電部門は「予算未達成」として責任取らされ、重役や社長への出世は少ない
・・と言う日経の日立内部解説記事を読んで、「これ大手デベロッパと同じじゃん」と思った。収益が安定的な賃貸オフィス部門の方が、マンション市況が水モノな分譲部門より、安定的に予算達成するので、長期的に社内評価が高く、保守本流になる
三菱三井が分譲事業を分社化したのは、多分に「安定事業」と「水モノ事業」を同じ物差しで社内評価した際のデメリットに気付いたんだろう
野村不動産の本流は、今はプラウドを擁する分譲事業/しかし将来、中規模最先端オフィス事業が軌道に乗れば、野村と言えども「賃貸オフィスが本流、分譲は傍流」になるかもしれない
こういうデベロッパ内部の社内力学など、「不動産業界がよ〜くわかる本」みたいな業界情報解説本や、住宅新報週刊住宅なんかに、あまり載ってない。業界の外の人には分かりにくい
ただ、賃貸オフィス事業はBtoB事業だから、外からは分かりにくい。例えばビル部門が大半なダイビルなんかは、あまり一般の知名度がない/知名度がないと、リクルーティングに影響/本業がBtoBな日立のリクルーティングが割と上手くいってるのは、家電があるから
というより、日立のエリート研究者とかだと、大学教授が門下生を紹介して入社させるのパターンが多い。理系は知名度なくてもリクルーティングに苦労しない/不動産は基本的に文系。大学教授からの紹介もないから、知名度ないとリクルーティングに不利
三菱地所が藤和買収したり、「三菱地所を見に行こう」とやってるのは、リクルーティングの意味もある